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医薬品
生活者の身近で健康支える/OTC医薬品
一般用医薬品(OTC)は生活者の身近で健康を支える。近年はコロナ禍での経験や健康意識の高まりを追い風に、高付加価値の製品を求めるといった消費行動の変化も生まれた。こうした中、大正製薬は内臓脂肪と腹囲の減少を助ける「アライ」を発売した。
ダイレクトOTC/安全な使用 徹底
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大正製薬の「アライ」
アライの開発に携わった大正製薬の藤田透グループマネージャーは、「アライが健康を考えるきっかけになってほしい」とし、OTC医薬品が貢献する範囲をさらに広げることを目指す。
摂取した脂肪は脂質分解酵素「リパーゼ」によって分解され、脂肪として貯蔵される。アライはリパーゼの働きを阻害し脂肪の吸収を抑えることで、内臓脂肪の減少を助ける効果が期待される。アライの使用の対象となるのは、腹囲が85センチメートル以上の男性、90センチメートル以上の女性で、生活改善に取り組んでいることや糖尿病などの慢性疾患がないといった条件も設定される。
アライは、医療用医薬品としての発売を経ずに一般用医薬品として販売する「ダイレクトOTC」として販売している点も特徴だ。処方箋は不要だが、購入には認証を受けた薬剤師との対面による確認が必要となる。購入者が使用の対象に合致しているか確認を徹底し、例えば生活習慣病の治療中の人に誤って販売するといった不適切な販売や使用を防ぐのが目的だ。販売時のヒヤリハットの事例は国への報告のほか販売する薬局へ情報共有するなど、安全な使用を徹底する。
こうした仕組みは、アライの安全使用に加えて使用者の意欲向上にも効果があるという。大正製薬の増田啓太グループマネージャーは「薬剤師からの対面販売とすることで、使用者からは『本気で取り組む意志が芽生えた』というポジティブな意見が聞かれる」と説明する。摂取した脂肪が漏れるといった事象を心配する声もある一方、便として排出された脂肪が目に見えることは効果の実感につながっているという。
肥満は生活習慣病のほか、心疾患など重篤な疾患のリスクとなり得るため、対策を考える人も多い。一方で、生活改善のやり方の多様化が進み、手段の選択が難しい、また取り組んでも続けるのが難しいといった課題も多い。藤田マネージャーは「内臓脂肪を減らす選択肢としてアライが浸透し、当たり前になってほしい」と話す。
アライの販売を通じて大正製薬が構築した薬局や薬剤師などの医療ネットワークは、将来的にさらなる活用が期待できるという。「(医療用医薬品からOTC医薬品に切り替わった)スイッチOTCの種類や対処できる疾患領域が今後拡大した場合、製品の適正使用において今回作り込んだ販売基盤やノウハウを生かすことができる」(藤田マネージャー)。自分自身で健康を管理し対処する「セルフメディケーション」の考え方が少しずつ広がる中、OTC医薬品の持つ価値や貢献できる範囲もさらに拡大する。大正製薬は、OTC医薬品を適正に使用する仕組みを整備しながら、アライをはじめとした製品を通じて健康への貢献を目指す。