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大分県座談会2026
大分県は多様で厚みのある産業集積地として国内外から注目を集めている。台湾積体電路製造(TSMC)の進出を契機に九州の半導体関連産業が活性化する中、その存在感が高まる。今回、佐藤樹一郎知事をはじめ産学官のキーパーソンをお招きし、ビジネス拠点としての大分県の強みや将来性について討議した。
未来を創る提言/グローバルマーケット開拓
地域イノベーションを後押し 渡辺氏
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大分大学 理事(教育担当)・副学長 渡辺 博子 氏
―人材を社会に輩出する大学としては、いかがでしょうか。
渡辺 企業PRは小中高大と、それぞれの目線に合わせて訴求することの大切さを感じました。普段の生活から県内のモノづくりが学べるという点では、県作成の『おおいたものづくり発見!ブック』は、よくまとめられています。
本学では入り口と出口をしっかり見据え、まずは初等・中等教育から大学、大学院教育までをつなぐ「人材育成の生涯ループ」を実現しようとしています。
学生だけでなく、社会人のリスキリングやリカレント教育を通じて、学び直しが当たり前となる環境を地域全体で整えていくことが重要だと考えています。本当の意味で、社会に開かれた学び場が必要ではないかと思います。今後もさらに産官学など連携を深めながら、「人が育ち、人が循環し、産業、企業や組織、そして地域が持続的に成長する大分モデル」をともにつくっていければと思います。
―最後に大分県をいかに発展させ、未来を創るかについて、ご提言をいただきたいと思います。
渡辺 国内外に存在感を示す知の拠点として、大学がプラットフォーム(土台)となり、人が集い、学び、挑戦し、新たな価値が生まれる地域を目標に、その成果として地域イノベーションの持続性を高められればと思います。
地域課題の解決や地域イノベーションの創出のためにも、若者たちのアントレプレナーシップ(起業家精神)の醸成、起業や創業への後押しや教育、事業が軌道に乗るための支援などにも力を入れていきます。
本年度、経済学部ではFIGさんと連携して、大分の課題をDXで解決するというコンテスト形式の授業を行いました。フィールドワークやグループワーク、プレゼンを通じて、さまざまなアイデアを学生たちから引き出していただきました。これからも大分で人が育ち、知が蓄積され、イノベーションが連続的に生まれる地域として、本学には共に未来を創るパートナーが多分野に存在するという一翼を引き続き担ってまいりたいと思います。
地域共創をベースに域外へ挑戦 村井氏
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FIG社長 村井 雄司 氏
村井 当社グループは上場して10年ほどがたちました。大分県に本社を置くからには、大分の皆さんに愛される会社にならないといけないと思います。学生向けのビジネスコンテストは私たちの事業を知っていただこうという思いから実施しましたが、私たちも学びの場になりました。
現在、地域との共創をベースに、外の市場にも挑戦を広げています。北米やインド、タイといった海外にも進出しています。大分に本社を構えることで、お客さまや地域との距離が近く、事業を通じて誰かの役に立ち、喜んでもらえる手応えを実感しながら成長しています。その積み重ねが国内外で通用する競争力につながっています。今後も大分の一企業として、地域に貢献していきます。
各社とともに国際競争力強化を 山田氏
山田 「明日のくらしを化学で支える」、をパーパスに次世代石油化学カンパニーを目指し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。それには製品単位のCO2排出量を示すカーボンフットプリント(CFP)の算定で、CO2の見える化を図るとともに、物流を含めて低CO2負荷製品を市場に供給できるようにしたいです。引き続き大分石油化学コンビナート内外各社と連携し、国際競争力を高めていきます。
“コトづくり”が付加価値生み出す力 菅原氏
菅原 私は関東出身なので地元ではないからこそ、気づく付加価値があります。大分は住みやすく食事もおいしく、豊かな自然は最高です。産業もそうですが、良いものはどんどん発信していくべきだと思います。そうした点から大分県の半導体関連産業を、どう発展させていくかですが、グローバル化と地域活性化の視点が大事だと思います。大分県、さらに九州の半導体産業は、供給側としての生産は強いですが、これからは需要側としての応用、つまり”コトづくり”ができることが必要です。
コトづくりは生活を豊かにする新しい付加価値を生み出す力です。まだ世の中にない私たちの生活を豊かにする付加価値を実現するには、新しい半導体を応用として利用することになり、供給側”生産”のさらなる活性化につながります。
大分県は高度外国人材、グローバル人材の宝庫です。さまざまな国の方が考える「世界をよくするための新たな付加価値」もたくさんあると思います。グローバル人材が県内で活躍する場をつくり、半導体の需要を喚起する”コトづくり”と半導体の開発、生産の正のサイクルを回すことができれば、大分県の半導体産業はさらに発展していくと考えます。
広域交通整備 広がる“半導体ベルト” 佐藤氏
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将来に向けてさまざまな意見を交換した
―人材と情報が成長には重要です。
佐藤 菅原社長がおっしゃるように、もっと情報を発信していきたいと思います。25年12月に、世界的に有名な「ハローキティ」など、サンリオキャラクターが集う屋外型テーマパーク「ハーモニーランド」を大分県日出町で運営するサンリオエンターテイメント(東京都多摩市)がリゾート化構想を発表しました。本県はモノづくり産業の集積に加え、豊かな観光資源を生かした分野でも多様な産業が根づいていることを感じています。
本日皆さんからお話を伺って、本県がさらに成長、発展を遂げるよう、これからも企業誘致や県内事業者の挑戦を後押ししていきます。多くの方が本県に訪れるように広域交通ネットワークの整備は必要です。TSMCの進出により九州が全国的に活力がある地域として注目されています。この機会に中九州横断道路の整備を進めることで、アクセスが大幅に短縮します。
さらに、四国にも半導体関連企業は多数立地しているため豊予海峡が陸路でつながると九州から四国、関西へとつながる”半導体ベルト”が広がります。
今後、世界と勝負できる産業基盤と産業競争力の高まり受け、グローバルマーケットの開拓に取り組み、人材の育成・確保もスピード感を持って取り組みます。
―ありがとうございました。
