-
業種・地域から探す
続きの記事
南東京特集
地域経済支える金融機関 持続的な発展に貢献
長引く物価高騰や人手不足など、経営環境が激変するなか、地域金融機関の果たす役割はかつてないほど重要となっている。今回は城南信用金庫、さわやか信用金庫、東日本銀行、横浜銀行の4金融機関に焦点を当てた。地域経済の持続的な発展を支える各者の最新の取り組みや、東京都目黒・世田谷両区内での話題を取り上げる。
城南信用金庫/三宿・碑衾支店建て替え計画進む 地域のプラットフォームに
-
28年2月完成予定の碑衾支店(完成イメージ)
城南信用金庫(東京都品川区、林稔理事長)は築50年以上が経過し老朽化した三宿支店(東京都世田谷区)と碑衾(ひぶすま)支店(同目黒区)の建て替え計画を進めている。同信金が店舗づくりで重視しているのは、金融業だけではない地域とのつながりだ。そこで、住宅ニーズが両地域では高いことから、低層階の支店で従来の利便性を維持しつつ、高層階で住まいを供給する。支店機能と賃貸住宅を組み合わせた建物は同信金としては初めての試みだ。
建て替えにより、耐震化・不燃化を進め、特定緊急輸送道路の通行確保や背後住宅地の防災力の向上、騒音低減にもつなげる。また、地域に開いたフリースペースも設けるほか、住戸はワンルーム偏重ではなく、DINKS(子どもを持たない共働き夫婦)やファミリー向けを厚くする方針。街の暮らしを支える“器”を更新する考えだ。
店舗づくりでは環境面も重視している。その象徴が建て替えを終え、2月9日に新店舗で営業を開始した新横浜支店(横浜市港北区)だ。省エネルギー性能を高めた環境配慮型の拠点として整備し、1次エネルギー消費量を50%以上削減した建築物に与えられる「ZEB Ready」水準とした。同信金は事業で使う電力を再生可能エネルギー100%に切り替える国際イニシアチブ「RE100」に国内銀行業界で唯一加盟していることから、今後の新築店舗でも同水準を目指し、非常用自家発電設備など災害対応も含めて機能を磨く。
同信金が掲げる「地域・コミュニティーのプラットフォーム」は、建物という実装を伴っている。管財部の中尾賢治部長は「地域に寄り添う信金だからこそ、街の将来像と足元の経営課題を同じ地平でつなぐ役割を目指している」と話す。
東日本銀行/経営課題に最適ソリューション提供 日本庭園作庭で国際貢献
-
小杉造園は15年にバーレーンで日本庭園を作庭した
東日本銀行は「中小企業のトータルパートナー」を目指し、「お客さまをより深く知る」を行動指針に営業活動をしている。1943年創業の小杉造園(東京都世田谷区、小杉左岐社長)も優良取引先の一社だ。同社は約350年前に現在地で始めた農家が起源。大正時代に農業と植木生産業を兼業し、昭和初期には植木職として発展してきた。
1978年に3代目社長に就任した小杉左岐氏は旅好きで30代には米国旅行を経験。ここから何事にもチャレンジする精神を大切にしている。他人にも同様の精神を持ち続けてほしいとの願いから、職人の技術向上と伝承を目的に、2003年に熱海に研修所を開設。「『見て覚えなさい』は年々難しくなってきている。一つひとつ教えないと職人は成長しない」(小杉社長)との認識から、現在も造園業界では珍しい研修所を所有しているという。07年開催の「第39回 技能五輪国際大会日本大会」で同社職人が金メダルを獲得したことも、モノづくりに携わる若い力を育て始めた成果と言える。
技能五輪国際大会で金メダルを獲得したことで海外から注目されるようになり、日本庭園で国際貢献する取り組みが加速。毎年新興国3カ国から優秀な学生6人を日本へ招待する取り組みや、日本庭園の海外での作庭も急速に広がっていった。バーレーンでは15年に続き、2カ所目の庭園を作庭する予定だ。小杉社長は「関わった海外の人々に日本庭園の素晴らしさを伝えたい」と話す。
東日本銀は同社との長年の取り引きの中で、その時々の経営課題に応じた最適なソリューションを提供してきた。今後も顧客とともに明るい未来を切り拓いていくパートナーとして、同社を含む中小企業の顧客と真摯に向き合い、課題解決に貢献していく。
さわやか信用金庫/大手企業保有の開放特許を活用 取引先の本業支援強化
-
2月に開いた知財マッチング会では6組が個別相談に臨んだ
さわやか信用金庫(東京都大田区、篠啓友理事長)が取引先企業の本業支援の強化に乗り出した。取引先の中小企業に大手企業保有の開放特許を活用してもらうことで、自社製品開発を促進し、販路拡大を支援する新たな取り組みだ。
大田区との包括連携協定に基づき大田区産業振興協会が後援し、東京都中小企業振興公社が協力する中、2月5日に区内で「知的財産マッチング会in大田区」を実施。区内モノづくり製造業を中心に社長ら34人が参加した。
中小公社が運営する東京都知的財産総合センターの製品化コーディネーターが「開放特許の活用と知財マッチング」をテーマに講演し、その後、医療機器メーカーのアークレイ(京都市中京区)と日産自動車、パナソニックIPマネジメント(大阪府門真市)、産業デザイン(東京都品川区)の4社・団体がシーズを発表した。
シーズ発表後の個別相談には6組が臨んだ。日用雑貨の企画・開発を手がけるROUNDS(ラウンズ、同区)の簡達也代表社員は「大手企業が未活用の技術を活用できたらと思って参加した。こうした機会を作ってもらって良かった」と満足げだった。
同信金執行役員の伊藤浩康コンサルティングセンター長は「今回は大田区製造業が中心として参加したが、情報通信業・サービス業でも知財活用のチャンスがある」とした上で、「当金庫営業エリアである目黒・世田谷両区の中小経営者らにもこうした機会をチャンスととらえて参加してもらえれば」と話す。
同信金が知財に関するマッチング会を開いたのは今回が初めて。中小の成長と持続的発展に向けて新製品開発と新事業創出を支援するため、大田区産業振興協会主催の「社会連携コーディネーター認定事業」に参画したことがきっかけとなった。
横浜銀行/ESG金融への取り組みが高評価 間接金融部門で環境大臣賞
-
第7回「ESGファイナンス・アワード・ジャパン」間接金融部門で「銀賞(環境大臣賞)」を受賞した
横浜銀行の環境・社会・企業統治(ESG)金融への取り組みが高評価を得ている。環境省が主催する第7回「ESGファイナンス・アワード・ジャパン」において間接金融部門で「銀賞(環境大臣賞)」を受賞した。第6回(2025年)の同部門での銅賞に続いて、2年連続の受賞となった。
独自商品の開発と手厚いサポートを通じて、顧客のサステナビリティ経営実現における負担軽減と体制構築に貢献している点が評価された。中でも、特に高い評価を受けたのが独自商品の「〈はまぎん〉マテリアリティ・サポートローン」である。ソリューション営業部サステナビリティ推進室は「本商品はステークホルダーとの対話促進や従業員の行動変容などお客さまのサステナビリティ経営に貢献している」と強調する。
同アワードは、環境・社会・経済に対してインパクトを与える取り組みを促進する金融機関などについて、先進的な取り組みなどを評価・表彰し、広く社会で共有することにより、ESG金融のさらなる普及・拡大とその質の向上につなげることを目的としている。
同行が受賞した「間接金融部門」は、ESG要素の考慮による取引先の価値向上や金融・非金融の取り組みを通じて、産業の競争力強化や地域循環共生圏の構築等に資するポジティブなインパクトを創出している取り組みを表彰する。
営業戦略部でサステナビリティ戦略企画を担う担当者は「お客さまに寄り添い、金融・非金融の両面から伴走支援することが重要だ」としており、商品開発やESG金融の普及・啓発に注力する考えだ。
