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南東京特集
キラリと光る我が社のイチ押し製品・サービス
独自の高度な技術を武器に、産業の最前線を支えるトップランナーたち。今回はICT(情報通信技術)を通じて新たな価値を共創するコアをはじめ、日東工器、冨士ダイス、大崎電気工業、巴工業の5社を紹介する。社会課題の解決に挑む各社の「イチ押し」を深掘りした。激変する社会情勢のなか、各社が磨き続ける製品・サービスの現在地を追う。
コア/「CagouIT点呼」に業務前自動点呼機能を追加
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業務前自動点呼では、体温などの生体情報の測定も加わった
コアはICT(情報通信技術)で社会課題を解決する「ソーシャル・ソリューションメーカー」だ。価値を共創する企業としてサステナブル変革(SX)の実現に取り組んでいる。
取り組みの一つとして、主に自動車運送事業者向けに2020年9月にサービスを始めたクラウド型点呼システム「Cagou(カグー)IT点呼」がある。業務終了後に行われる対面点呼と同等の点呼として24年に「業務後自動点呼」機能を追加。さらに業務開始時における「業務前自動点呼」機能を25年12月に追加した。
この最新の業務前自動点呼では、アルコール検知や指示事項の確認に加え、体温・血圧などの生体情報の測定ができるようになった。また、自動点呼の実施場所の規制緩和を受けて、業務前・業務後ともに、従来の営業所や車庫に加えて、事業用自動車や待合所などでも自動点呼ができるようになった。
最小ライセンスは月400回までの点呼で年間3万円(消費税抜き)。標準機能で全ての点呼が可能なことや比較的安価なことから、2月現在約5万ドライバーが利用している。今後について、執行役員の小野進関西カンパニー社長は「他システムとの連携を図り、運送業向けシステムのプラットフォーム(基盤)化を推進していきたい」としている。
冨士ダイス/鋼の4倍の耐摩耗性を持つ新合金投入
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開発した新合金「サステロイ STN30」
冨士ダイスはモノづくりに必要な超硬合金製の工具・金型メーカーだ。素材開発力・精密加工技術に強みがあり、超硬耐摩耗工具市場で国内トップシェアを誇る。原料粉末の調製から焼結・機械加工・製品検査まで一貫生産体制で幅広い業種の顧客と取引している。
満を持して2025年10月に市場投入したのが、新たに開発した合金「サステロイ STN30」だ。汎用超硬合金と同等で鋼の4倍の耐摩耗性を確保した。比重は鋼程度で超硬合金の約5分の3。回転工具に使うと、装置への負荷軽減による電力削減などが見込める。汎用的な超硬合金に比べて研削加工性は同等、耐食性は高い。
新合金の主成分はニオブ炭化物で、金属部分の摩耗を極力抑制する材料設計と、通常焼結技術を用いた結合剤の最適制御により、混錬工具対応と粉砕工具対応の両条件下で優れた耐摩耗性を実現している。
同社は地政学リスクに影響されない安定供給を目指し、産出地が偏在するレアメタル(希少金属)の使用量を抑えた合金開発を進めている。新合金は汎用の超硬合金に比べ、タングステンとコバルトの含有量を約9割削減している。技術開発本部長の篠宮護取締役は「サステロイのシリーズ化を着々と進めていく」としている。
日東工器/ベルトサンダー、自動機向け機種拡販
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自動機向けベルトサンダー「ベルトンB―10―RBT―S」
日東工器は迅速流体継ぎ手「カプラ」を主力に、機械工具やリニア駆動ポンプなどの製造・販売を手がける。研究開発力を強みとする同社は、ベルトサンダー「ベルトン」シリーズの自動機向け機種を拡販している。
「ベルトンB―10―RBT―S」は、ロボットに取り付け、機械加工・ダイカスト部品のバリ取りや研磨を行う。長時間の安定稼働に貢献する設計が特長。二つのセンサーを内蔵し、モーターの起動不良と摩耗などによるベルト切れを検知する機能を備える。自動機内で作業未完のまま次工程に進んでしまうことによる不良品の発生や不具合を防ぐ。モーターは空圧式で発熱・発火の心配がなく、電気式に比べ部品が少ないのでメンテナンスが容易だ。
ベルト切れによる稼働停止対策として、人の介在なくベルト交換ができる装置「B―10―RBT―HLD」も開発した。2026年夏ごろの発売を目指し、製品の評価を進める。
同社は「ベルトン」の手持ち向け機種で加工工場などに高い知名度を誇るが、自動機向けは新規参入となる。このため、機工第一開発部第一課の東賢典係長は「加工の後処理は今後自動化が発展する領域。時代に先駆けていち早く市場を獲得していきたい」と意気込みを示す。
大崎電気工業/スマートメーター、国内外で新製品投入
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海外市場向け次世代スマートメーター「NEOS」
大崎電気工業は電力会社向けスマートメーター(通信機能付き電力量計)の国内トップメーカーとして、長年にわたり高品質な製品を提供している。
国内では2025年に第2世代スマートメーターの生産を開始し、26年1月から本格的に販売を開始。従来のスマートメーターに比べ、通信機能や計測粒度を向上させており、再生可能エネルギーの導入拡大に伴う電力の安定供給、電力レジリエンス(復元力)強化に貢献している。
また、海外でも次世代スマートメーター「NEOS(ネオス)」の市場投入がオセアニア地域で始まった。計測・通信機能の向上に加え、ソリューションシステムと組み合わせることで、より高精度で電力使用量の計測が可能となった。高速通信にも対応しており、電力会社は異常検知や使用状況をリアルタイムで監視でき、より迅速な制御を行える。
常務執行役員の太田毅彦グリッドシステム事業部長は「スマートメーターのリーディングカンパニーとして、国内では第2世代、海外では『NEOS』導入により新たな価値提供による社会貢献の実現を目指す」と話す。同社は今後も国内外の多様なエネルギー課題に応え、次世代の電力インフラを支える企業として持続的な成長を指向する。
巴工業/水素関連製品、国内市場に積極展開
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水素濃度センサー「TCD3000」
巴工業は機械事業と化学品事業を展開している。遠心分離機で国内トップ規模のシェアを持つ同社が、次の成長領域として位置付けるのが水素関連製品だ。欧州メーカー各社と提携し、日本市場への展開を積極的に進めている。
中核製品の一つが、ドイツ・アーチガス社製の水素濃度センサー「TCD3000」だ。ガス中の熱伝導度の変化を測定することで濃度を算出する。水素のほか二酸化炭素(CO2)中の酸素や空気中のメタン、水素の純度など幅広い測定に対応する。配管に直接取り付けられるインライン型で、水分に強い構造を持つ。応答速度は30ミリ秒で、一般的なセンサーの数秒から大幅に短縮する。従来型の水素センサーの約1万倍の精度である数ppm(ppmは100万分の1)単位から測定できる。
仏メーカー製のACプラズマトーチや固体水素貯蔵タンクも扱い、顧客用途に応じた提案に力を入れる。東京ビッグサイト(東京都江東区)で19日まで開催している「H2&FCEXPO」では、水素センサーを活用した新たなデモ機を披露している。機械本部新事業開発部の加藤暢明部長は「製造から計測、貯蔵まで幅広い製品群で水素社会の実装を後押ししたい」としている。
