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次世代メンテナンス技術
回転機器の状態監視を効率化—進化した予知保全技術
【執筆】 旭化成エンジニアリング 営業統括部 商品サービス営業グループ 黒澤 義之
ISO18436—2機械状態監視診断技術者(振動)カテゴリーⅣ資格保有
旭化成エンジニアリングは回転機器の状態監視を効率化する新製品「ニアライン—PM」を発売した。ここでは、新製品の主な特徴や顧客の導入効果などを紹介する。
現場で簡単に状態確認
従来、モーターやポンプなどの回転機器のモニタリングは常時測定のオンライン型か、作業員が巡回して測定するオフライン型が主流だった。ニアライン—PMはその中間に位置し、1日1回の自動測定によって補機から重要機器まで幅広く対応する。
同製品は2017年発売の先代モデルの後継機。無線通信による配線不要の設置性を継承しつつ、電池寿命を約5年に向上した。振動センサーは村田製作所のOEM(相手先ブランド)でありながら旭化成の独自仕様で、測定周波数は軸受の初期異常を早期に捉える17キロヘルツの高周波数に対応。専用台座とねじ固定による高感度な取り付けも特徴だ。また、通信周波数は920メガヘルツに変更した。
当社は1970年代から振動診断技術の研究を続け、自社工場での実践経験をもとに現場目線で使いやすいシステムを開発してきた。ニアライン—PMもその延長線上にあり、化学や電力、鉄鋼、自動車、医薬、半導体など幅広い産業での使用実績がある。
状態監視によって機器が故障で停止する前に必要箇所の補修が可能となるため、保全コストの削減が導入効果として期待できる。日本機械学会が認証するISO18436—2準拠の資格を持つ当社の技術者が設備ごとに最適な閾値(しきいち)を設定するため、ユーザーは専門的な知識や煩雑な設定を行うことなく、プロ仕様の環境で設備の状態を直感的に可視化できる。
これにより、センサー導入費用や日々の監視業務が無駄になることなく、現場で継続的に実用的な状態監視を行える仕組みとなっている。さらに、当社はISO18436—1に基づく日本機械学会認定の振動診断技術者訓練機関でもあり、診断の質を支える体制が整っている。
導入企業からは「機器の異常を早期に把握でき、計画的なメンテナンスが可能になった」「現場のパソコンで簡単に状態を確認できるため、保全業務の効率が向上した」などの声が寄せられている。
監視はセキュアなオンプレミス(自社保有)環境で行い、専用アプリで精密診断が可能。今後は防爆エリア対応モデルの展開も予定している(図)。
