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次世代メンテナンス技術
設備管理・保全人材不足解決のカギは「DX」と「処遇改革」 2024年度メンテナンス実態調査より
【執筆】 日本プラントメンテナンス協会
設備中心のモノづくりがますます進んでいる。製造業における設備管理・保全人材の不足は、設備稼働だけでなく生産活動の継続にも関わる深刻な課題となっている。
処遇改善—将来の競争力
経済産業省の調査によれば、製造業の9割以上の企業が人材確保に課題を抱えており、およそ3割ではビジネスに影響が出ている。特に技能人材の不足が顕著で、求人倍率は2012年の1・1倍から23年には4・4倍にまで上昇している。
日本プラントメンテナンス協会の「2024年度メンテナンス実態調査」によれば、各社が講じた設備管理・人材の確保および定着に効果的だった対策では、「情報技術によるスキル支援」が71・4%と最も高かった(図)。
業務の標準化やムダの削減、自動化などを通じて属人化を防ぎ、若手や未経験者でも一定の品質で業務を遂行できる環境を整えるといった設備管理・保全業務の効率化におけるデジタル変革(DX)の重要性が再確認された結果だ。
しかし、今回の調査で特筆すべきは「仕事評価と給与の関係を抜本的に見直す」処遇改善策が、効果率68・4%と高順位となった点だ。一般的に、設備管理・保全職種は技術職として扱われることが少なく、突発対応や休日・夜間対応といった業務負荷の高さはもちろん、高度化・ブラックボックス化する設備への対応力も要求される。そのため、より高い処遇を求める声を聞くことが多く、人事制度の見直しが設備管理・保全人材の確保に有効であることの現れとみられる。
人材確保は採用活動だけでなく、企業文化や制度の根本的な改革が求められる。処遇改善はコストではなく、将来の競争力を高めるための投資だ。経産省でも「現場力の再構築には経営力が問われる」とし、人材育成や働き方改革に取り組む必要性を強調している。
設備管理・保全人材の確保は、これからのモノづくりにとって喫緊の課題だ。あらためて本気度が試される局面が到来している。
