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九州中央支局特集
~「Re」につなぐ企業①
モノづくり再生 独自技術・サービス磨く
九州で「Re」をテーマにした取り組みが広がる。半導体受託製造(ファウンドリー)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の熊本進出は「シリコンアイランド九州」の再興(Revival)の象徴となった。
2024年には長崎で大型複合施設、長崎スタジアムシティ(長崎市)が稼働し、連日のにぎわいをみせている。佐賀では従来の国民体育大会から改称後初となり、再始動(Restart)した国民スポーツ大会「SAGA2024」が盛大に開かれた。バトンを渡したのは23年に国体を開催した鹿児島だ。
九州中央支局(佐賀県鳥栖市)の管内には佐賀県、長崎県、熊本県、鹿児島県の4県全域と福岡県南部の一部においてモノづくりなどで「Re」に関する活動を活発化させ、輝く企業が多い。独自の技術・サービスで再生(Reborn)や改修(Renovation)に取り組み、永年の事業継続でこれまでの歩みを思い起こす(Remember)節目を刻む企業は、地域経済の活性化に貢献する尊重(Respect)すべき存在だ。
こうしたさまざまな動向は産業界にも気付き(Remind)を与える。九州中央支局管内の「Re」につなぐ企業を紹介する。
創立100周年 大きな節目/戸上電機製作所
「トガリラ」と名付けられた佐賀大の施設
戸上電機製作所(佐賀市、戸上信一社長)は、開閉器や制御機器を手がける。電力会社向けの配電機器も実績豊富だ。電気工事の施工管理などを含めて、電気の安定供給やインフラ全般を支える幅広い業務で社会基盤の維持に貢献している。
3月12日に創立100周年を迎える。時代が変化しても新しいことに挑み続ける思いを込めたスローガン「さぁ 挑もう つくろう かえていこう」を策定した。駅伝などで活躍する同社陸上競技部選手のように、勢いよく走り出す人をモチーフにしたビジュアルとともに創立100周年の大きな節目を彩る。
1月から佐賀大学との間で、理工学部大学院棟1階自習室を「トガクラ」、理工学部5号館1階休憩室を「トガリラ」と名付けるネーミングライツ(命名権)契約を結んだ。仁部和浩取締役上席執行役員は「佐賀の会社として佐賀をもり立てたい思い」と話す。地元を中心に企業認知度を高め、ともに挑戦する人材確保につなげる。
カスタマーサポートも重視/アサヒエンジニアリング
半導体封止装置「COSMO」シリーズ
アサヒエンジニアリング(福岡県久留米市、石井正明社長)は半導体製造装置メーカー。半導体チップを樹脂素材で保護する封止工程において、卓越した技術で業界をリードしている。
同社の半導体自動封止装置「COSMO」シリーズは、パワー半導体向けに広く採用されている「COSMO―T」や、薄型成型に対応した「COSMO―TFlex」など、用途に応じた装置をラインアップする。
新技術の開発に加え、カスタマーサポートも重視するのが同社の特徴だ。顧客からの依頼は当日中に対応する。
台湾、マレーシア、シンガポールの拠点、中国のサポート事務所およびフィリピン、タイの代理店など、全7カ国でサポート体制を充実させ、世界中の引き合いに対応する。
精緻なダイレクトマーケティングでニーズを素早く捉え、高い顧客満足度を実現する。
唐津市内の新工場稼働/ニシハツ
新工場で非常用発電機を効率的に生産
ニシハツ(佐賀県唐津市、野中美智夫社長)は、唐津市内で非常用電源として使われる自家発電装置などを手がける新工場を稼働した。西九州自動車道の唐津千々賀山田インターチェンジ(IC)からすぐの高台に位置し、災害発生時の地域防災拠点としての役割も担う。旧工場で分散していた生産棟は棟続きとなり、これまで以上に非常用発電機を効率的に生産できる。
大型機種を製造するためにファイバーレーザー加工機やタレットパンチプレス、天井クレーンなど複数の機械が新たに導入された。旧工場は顧客や協力会社が非常用発電機を保守・点検する研修施設に転用し、メンテナンス指導を強化する。
新工場は調理した昼食を配膳できる食堂を備えるのも大きな特徴だ。昼休みには全社員が一堂に集まり、できたての日替わり定食などを楽しむ。唐津市内だけでなく、佐賀県内でも屈指の施設となる大規模食堂は社員同士のコミュニケーション促進に貢献している。