-
業種・地域から探す
続きの記事
日本フルードパワー工業会 創立70周年
座談会② この10年の歩みと未来への展望
強み生かし産業競争力向上
司会 貴重な経験をお話しいただき、ありがとうございました。今後のフルードパワー産業について、産業競争力の向上、人材不足への対応という観点からうかがいます。
先進国の状況をしっかり見て勉強 丸岡氏
-
丸岡氏
丸岡 私も欧州との違いは実感しています。欧州では標準化されたネットワークプロトコルで機器がつなげられることが当たり前になっています。日本もそうしていかないとシステムの効率性や将来性が危ぶまれます。また、油空圧ビジネスをAIの力でどのように革新するかを考えると、グローバル競争力を高められると思います。
標準化に向け力を結集 嶋村氏
-
嶋村氏
嶋村 我々は今、コンポーネントの高度化・効率化と、さまざまな電子・制御技術を組み合わせたシステムソリューションの高度化の二つの課題に直面しています。国際標準化が欧州主導で進んでしまうと、日本がシステムを作っても欧州にシステムで対応できません。どのように業界の力を集めてリードしていくかが問われています。また、海外ではM&Aで非常に大きな企業グループができています。その市場で日本企業が競争しながら、いかにフルードパワー全体のレベルを引き上げていくかが大きな課題です。
石川 グローバル企業の下で仕事をしてきた経験から言うと、日本のフルードパワー業界の技術やコスト競争力は、現時点でまだ力を持っています。とはいえ汎用的な部分では、ものすごく安い中国製品と戦うのが厳しい現実もあります。
一方で、欧米は目的重視です。つまり顧客のニーズにフィットするものを買って入れて、他社が参入しにくくなる障壁を作る。付加価値の高いフルードパワー製品を織り込んだテクノロジーを売り込むことで、日本のフルードパワーが成長していくビジネスモデルを作るのがよいと思います。
梶本 タイムリーに製品化しなければ市場の要求に応えられないので、パートナーと手を取り合って取り組むことが求められると思います。
安藤 日本は50年に労働人口が、現状から約3割減ると言われています。その中で競争力を維持するためには、やはり日本らしさ、私はその一つに品質があると思いますが、それをいかに高めていくかがカギになると思います。
嶋村 日本の強みというと、アニメやゲームがあります。ある建機メーカーが自律化ショベルにより遠隔操作でショベルを操作するコンテストを実施したところ、eスポーツのチャンピオンが優勝したそうです。直感的に誰でも操作できるものを組み合わせた遠隔ゲームというのは、一つの方向性を出しているのではないかと思います。自動化、自律化、ロボット化を進めると、フルードパワーの技術的な段階を一気に上げるイノベーションになると期待しています。
川瀬 今後は生産現場に人型ロボットが進出すると予想されます。その際に一番大事なのは、油空圧のアクチュエーターが人の感性に合った動きをしっかり実現できることだと思います。そこにどう付加価値を足していくのか。業界にとって重要な岐路に来ていると思っています。
業界巻き込み情報発信
司会 今後の工業会としての取り組みに提案はありますか。
丸岡 すでにやっているかと思いますが、先進国の状況をしっかり見て勉強するのが基本になると思います。標準化の話がどのようになされているかを聞きたいです。
嶋村 ロボット産業と同様に、メーカーが異なる上での技術的な課題がありますが、どんなものを選んでもすぐ使える環境が必要です。より油空圧を使いやすくするための技術開発を、工業会が主導してまとめていく姿勢が必要だと思います。
永久 品質が上がって価格面でも優位に立つ中国製品に対し、付加価値のある製品を日本の独特で緻密な技術力で編み出して、国家戦略として打ち出すために、工業会には国に対してアピールしてもらいたいです。また国内外の油空圧と絡んだ付加価値をつける製品を生み出すための市場調査を進めてほしいです。
石川 我々は日本国内のサプライチェーンの一翼を担う立場で、日本の顧客とともに世界の市場で勝っていくビジネスモデルを追求することが重要だと考えます。日本で汎用的に使われている標準が、世界の標準としてしっかり存在感を示してほしいと思います。油空圧の融合を進める、業界で一つのプラットフォームを開発するといった取り組みはどうでしょうか。
安藤 PR活動に注力してもらいたいです。どれだけ業界として環境対策に貢献しているか、あるいは推進しているのかなどのアピールがもう少しあってもよいと感じます。
梶本 工業会として若い人に興味を持ってもらえる取り組みを考えてもらいたいです。展示会を3年に一度やっているので、もっと学生に来場してもらう働きかけを強化したらどうでしょうか。
川瀬 海外の工業会ではどういう動きをしていて、日本が遅れているところは何なのか。それに対し今後どうしていくべきなのか、というところに切り込める情報を整理すべきだと思います。また、どのように標準化を進めていくか、国内の関連する工業会との連携を強めて議論をしてもよいかと考えています。
司会 皆さま、貴重なご意見をいただき、ありがとうございました。本日の議論をフルードパワー産業のさらなる発展につなげていきたいと思います。
※座談会は一部抜粋。全文は今秋発行の「日本フルードパワー工業会創立70周年記念誌」に掲載予定
