-
業種・地域から探す
続きの記事
兵庫工業会
企業課題解決へ多様にアプローチ
兵庫工業会は、兵庫県工業の振興を図り、地域社会の発展に寄与することを目的として活動している。本年度は特に、県内モノづくり中小企業の共通課題である「人材難」に対して、人材の確保・育成やDXの推進、さらにはSDGsの推進を通じて総合的にアプローチしており、それぞれの取組みを紹介する。
人材確保/女性活躍や海外人材採用後押し
-
人材難課題の解決をテーマに開催した「テクノフォーラム2025」
人口減少、少子高齢化、理工系離れによる人材難は、モノづくり企業の経営者にとって深刻な問題となっている。兵庫工業会では、この人材難に対する総合的なアプローチとして、毎年開催する大規模イベントである「テクノフォーラム」を2025年度は「人材難をチャンスに変換!未来へ放つ3本の矢!!!」と題して開催。データ解析から始める採用活動、海外人材の活用、デジタルと生成AIを前提に考える新事業創出の三つの視点で、それぞれの専門家が講演した。
モノづくり分野における女性の就業を促進する事業も、21年度から行っている。その中心となるのが「業務仕分け」である。これは、業務を細かく洗い出して分析して仕分けることで、女性が活躍できる業務を明確化するもので、業務仕分けに取り組む企業に伴走型の支援を行っているほか、この考え方を紹介する「ものづくり分野における女性就業促進セミナー」を毎年開催している。
採用活動については、この「業務仕分け」に「データ解析から始める採用活動」「デザイン手法」「マッチング」を組み合わせた「採用イノベーションスクール」を通じて採用力の向上を支援している。
海外人材の活用については、既に数多くの海外人材が活躍している企業を訪問しての勉強会や、海外理工系エンジニアの採用にフォーカスした「変革へのチャレンジセミナー」を24年度から継続して開催している。
このほか、「理系学生によるものづくり企業見学」「留学生向け合同企業説明会」などの従来から実施している事業に加え、「県内工業高校との交流事業」など新たな事業にも積極的に取り組んでいる。
DX推進/挑戦する企業を伴走型で支援
-
デジタルを活用して新規事業の創出を目指す企業を支援する「DXゼミナール」
兵庫県工業の振興を目的とする兵庫工業会にとって、デジタル技術を活用してモノづくりを変革するDXの推進は大きなテーマであり、2023年度から重点事業として注力。特に、事業変革(トランスフォーメーション)を強調した「トランスフォーメーション バイ デジタル」をテーマに支援活動を進めている。
その中核となる事業が「DXゼミナール」である。このゼミナールでは、実際に新規ビジネスの創出を目指してDXに挑戦する企業を、経験豊かなDXアドバイザーとの対話を通じた科学的なアプローチにより伴走型で支援し、その様子をオブザーバーに公開している。オブザーバーは、時には挑戦企業への助言、アイデア出しを行い、事業変革・創出への考え方を学ぶことができる。23年度から毎年開催しており、23年度は2社、24年度は1社、25年度も2社が挑戦、それぞれ10—20人がオブザーバー参加している。生成AIの進歩にも歩調を合わせ、24年度はヒトとの議論のサポート、25年度にはヒトと生成AIで新事業創出を共創する段階に入っている。24年度には、毎年開催する大規模イベントである「テクノフォーラム」も「トランスフォーメーション バイ デジタル」をテーマに開催。「DXはデジタルから入るな!~DXのヒントは織田信長にあり~」と題した基調講演に加えて、23年度に「DXゼミナール」に取り組んだ会員企業にパネル討論してもらった。
DXを推進していくうえでは、セキュリティーも大きな課題であり、24年度にはサイバーセキュリティーに関するセミナー・演習を開催。25年度も計画している。
人材育成/学びの機会創出し人・企業応援
-
技術者や技能者、現場管理・監督者に対する研修事業「兵庫技術研修大学校」
人材育成支援は兵庫工業会創立以来の中心的な役割であり、人材難課題解決のうえでも重要性が増している。主要事業である「兵庫技術研修大学校」は、技術者や技能者、現場管理・監督者に対する研修事業として、機械工学、電気電子工学、機械製図、シーケンス制御などの技術的な講座から、現場改善や技術者リーダー育成まで多岐にわたる講座を開講。多くの受講者を集めている。2025年度は、より時代の要請にマッチし人材難課題の解決に資するプログラムを目指し、26年度からのカリキュラムのリニューアルを会員企業の協力も得て検討している。
研修事業としては他にも、距離的に受講が困難な地域や個別の企業ニーズに対応したカリキュラムで研修を実施する「デリバリー研修(講師派遣型研修)」や、管理・監督者向けの「管理監督者研修」がある。
加えて、業務革新を推進できる管理・監督者の育成を図る事業として「研究会」がある。品質管理と現場安全の2テーマで、参加企業間での課題や対処法の共有や、講義・事例研究などを行っている。
経営者や経営幹部向けには「ものづくり中小企業経営研究会」がある。この研究会は、参加者自身がテーマを設定。有識者の講義や現場視察などを交えて、経営者同士で議論を深めてもらうことを重視しており、25年度は「新市場・新規顧客開拓の道しるべ ~非ディスラプティブな市場創造を考える~」をテーマに活動している。
さらに25年度は40周年記念事業として「HYOGOものづくりビジネススクール」を開講。企業の次期経営者・幹部候補者を対象に、短期間の実践型プログラムで経営者としての視点と意識を醸成することを目指している。
SDGs推進/普及段階から活動ステップアップ
-
他県の事例に学ぶ「SDGs研修会」
「企業がどうSDGsに取り組んでいるのか」が、就職・転職時の大きな注目ポイントとなるなど、SDGsに取り組まないことは、人材確保にも影響する大きな経営リスクになる状況を踏まえ、兵庫工業会では2023年度より、会員企業に“SDGsを活用して企業活動を活性化してもらう”ため、まずは「SDGsの普及」を重点事業と定め、先進企業の視察を中心とした研修会、先進企業の取り組みに学ぶ講演会、SDGsの導入と活用の仕方を解説するセミナーなどを開催したほか、毎年開催する大規模イベントである「テクノフォーラム」も「SDGs夢と現実への活用」をテーマに開催した。併せて、県の「中小企業のためのひょうご産業SDGs推進宣言事業・認証事業」についても会員企業の参加を呼びかけるなど、普及に向けた多くの活動を実施した。
24年度は「普及」からさらに踏み込んで「普及・推進」として取り組み、SDGsを人材確保やDXに通底する企業変革戦略と捉える講演会や先進企業の視察を中心とした研修会を開催したうえで、会員企業の取り組みをまとめた「SDGs取組み事例集」を作成し、SDGs普及の一区切りとした。
25年度は「SDGs推進」として、個別目標の深掘りや採用に繋がる活動、地域の基盤づくりに資する活動などを展開していく考えであり、「地域の基盤づくり推進」「環境・脱炭素の推進」について他県の事例に学ぶ研修会などを開催、普及段階からのステップアップを図っている。
