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兵庫工業会
地域の新たな活力創出/創立40周年特別座談会①
兵庫工業会はこのほど、新たに就任した会長、副会長を含めた5人による座談会を実施した。“人材確保・育成”“DX推進”など多くの企業が抱える近年の課題をテーマに、会長および「人材育成事業」「産業振興事業」「シン・ものづくり事業」「会員交流事業」を担当する各副会長に、会員企業サポートに向けたそれぞれの取り組みを聞いた。
【座談会出席者】
◇兵庫工業会
会長 三宅 俊也 氏
副会長 金井 宏彰 氏
〃 吉井 満隆 氏
〃 藤嶋 純子 氏
〃 岡田 兼明 氏
【司会】 日刊工業新聞社 神戸支局長 増田 泰久
—県下モノづくり企業の課題と、その解決についてどう見ていますか。
兵庫工業会 会長 三宅 俊也 氏/業務変革で人材難に対応
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兵庫工業会 会長 三宅 俊也 氏
三宅 多くの企業が“人材難”や“人材定着”に悩んでいる。当会会員企業についても“人材難”は共通の課題だ。ただ“定着”という点では、しっかりと従業員の満足度を高め、密なコミュニケーションを通じて“人材定着”に非常に努力されていると感じている。
当会の会員企業は、自動車、航空機、鉄道車両、産業機械部品など、幅広い産業分野で活動している。大手企業を中心としたエコシステムの中で重要な役割を担っており、また、独自の特色ある技術を武器に製品・サービスを社会に提供している。トランプ関税の影響、資機材・燃料費の高騰、賃金アップへの対応など、企業を取り巻く経営環境は激変している。こうした外部環境の変化に対応するためには、生産性向上が不可欠だ。
“人材難”という課題に対しても、大切なのは“省人化”の推進ではなく、1人当たりの生産性向上であると考えている。そのために、昨今進化が早いAIに代表されるデジタル技術をうまく活用した業務変革が欠かせない。それによって、人間にしかできない、より創造的な業務の時間を捻出し、創出することが重要だ。
兵庫工業会 副会長 金井 宏彰 氏/発想・価値観の見直し必要
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兵庫工業会 副会長 金井 宏彰 氏
金井 いわゆる“失われた30年”の間、新しいものを何も生んでこなかったと感じている。“攻め”よりも“守り”を重視し、クリエーティブな仕事に目を向けてこなかった。こうした日本の文化・思想・発想を変えることが重要で、価値観の変化が必要だ。例えば、人材を“どう定着させるか”と考えるより“定着しなくても、いかにしてやっていくか”という発想に変えることも大切。日本の成長には、過去の成功例や手法を捨て、次のやり方を考えることが不可欠である。当会の役割は、1社ではできないことを“団体としてどうフォローアップしていくか”ということ。そのため行政に向けても、当会から多様な施策・問題解決策などを積極的に提言していかなければならないと考えている。
兵庫工業会 副会長 吉井 満隆 氏/イノベーションの啓発が大切
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兵庫工業会 副会長 吉井 満隆 氏
吉井 大手企業は別として、中堅・中小企業にとっては、原材料高や燃料高によるコストアップを吸収すること、また価格転嫁することは難しい。賃上げについても同様で、人件費アップが企業経営にとって重荷になってきている。大切なことは、この先"自社の商材で戦っていけるのか"ということをそれぞれの企業がしっかりと見極め、自社のポートフォリオをいかに変換していくかを考えなければならないということ。そしてこれに乗り遅れると、優劣の差が広がるということを強く認識し、厳しさを持って経営していくことが欠かせない。モノづくりにおいてはイノベーションを続けていかないと厳しい状況になってくると考えており、こうしたことを啓発していくことが当会の役割だと思っている。
藤嶋 現状、中堅・中小企業は目の前の課題をクリアーすることで精いっぱいである。しかしそのような時に個社がそれぞれの接触を閉ざしてしまうことなく、有益な情報交流の場として当会を利用し、コミュニケーション・情報交換をしてもらいたい。課題解決していこうとする人たちを“巻き込んで”いくことも大切だと思っている。
兵庫工業会 副会長 岡田 兼明 氏/知恵出し互いに協力し活動
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兵庫工業会 副会長 岡田 兼明 氏
岡田 会員企業の中堅幹部の皆さんが、自身が有するノウハウや知恵を広く披露し指導することに前向きだと感じており、とてもありがたい。そういった皆さんの知恵を生かし合える、また協力し合える環境づくりが兵庫県には必要だと思っている。例えば、神戸市を例に取り上げると、必ずしも強いブランドとはいえないものの“医療産業都市”がある。水素などの新エネルギー関連についても、大阪ガスさんや関西電力さんの県内施設では次世代技術の研究開発が進んでいる。“医療産業都市”同様に“水素といえば兵庫・神戸”というような基盤づくりが、他にも多様に広がっていけばと思っている。
—担当するそれぞれの事業内容と、現在注力している活動を教えて下さい。
三宅 兵庫県には、近畿圏において非常に重要なエコシステムの一部を担っている企業が多く集まっている。大学も多く、産・官・学・金が緊密に連携しているのが特長である。
これまで当会は、こうした企業間のネットワークづくりや従業員教育などをコーディネートしてきた。これまで築きあげたネットワークは兵庫県や当会の大切な財産であり、こうした活動は継続していく。
会長就任後すぐに、理事企業を中心に会員企業を訪問し、そこで、多くの企業がやはり“人材難”の課題を抱えていることを再認識した。当会会員には中堅・中小企業が多く、「大手企業に人材が流れる」「事業内容や自慢の技術が学生さんや親御さんにまで十分に伝わらず、応募してもらえない」あるいは「せっかく採用できても、会社を理解しないうちにすぐ転職してしまう」といった声が多く、自社の発信力に悩んでいる。今後は、学生さんや親御さんに向けた入社前・入社後の情報発信の重要性がますます高まると考えている。また、人材難の解決に向け、ベトナムやミャンマー、インドなど海外から日本で働きたいという海外人材を活用している会員企業も少なくない。国内、海外を問わず、ともに働く仲間を増やす活動を、工業会としてもさまざまなイベントを通じてサポートしていきたいと考えている。
人材の育成に関しては、現在検討している「兵庫技術研修大学校」のカリキュラム刷新に力を注ぎたいと考えている。具体的には、従来の電気工学、機械工学などのカリキュラムに加え、生成AIの活用に関するカリキュラムを追加する。文系人材にも広くモノづくりに関わってもらえるように、基礎知識の教育も含めた内容に再構築する。これによって、人材難の課題解決と従業員のスキルアップの一助になればと考えている。
