-
業種・地域から探す
続きの記事
兵庫・神戸産業界
連携のチカラで“未来”動かせ!
兵庫県立大学社会価値創造機構は、産学官の連携による新規産業創造と地域創生を推進する。目下は2024年度に立ち上げた「はりま新産業創出エコシステム」の活動に注力。活動のさらなるブラッシュアップに取り組んでいる。
大学核に新産業創出へ/兵庫県立大社会価値創造機構
-
JR姫路駅前の兵庫県立大学社会価値創造機構
兵庫県立大学社会価値創造機構は徹底した産官学連携活動の推進を図り、2025年度より「包括連携推進室」を立ち上げた。大学の強みを生かした先端研究のけん引など、多様な取り組みに力を入れている。
中でも24年度に発足した「新ビジネス育成センター」は地域貢献への取り組みを核とした「はりま新産業創出エコシステム」の活動推進を担っている。重工業を中心とする播磨地域における新産業の創出を図り、産官学金が連携し、大学が核となって新産業創出のPDCA(計画、実行、評価、改善)を回す取り組みだ。
これまで、播磨科学公園都市や金属新素材研究センター、先端医療工学研究所などを含めた先端5機関への投資。ほかにも、新産業創出としてスタートアップや第二創業、人材育成、メタバースの整備などの後押しに特に力を注いできた。新ビジネス育成センターの松原弘明副センター長は「『はりま新産業創出エコシステム』と名付けてはいるが、実際には兵庫県全体の取り組みだ」と説明する。
こうした多様な活動を進めてきた同センターであるが、25年度はこれまでの取り組みを振り返り“人創り”“シーズ創り”“インキュベーション・戦略戦術創り”“経営指南”“経営資源創り”の5本柱をさらに強化する方針である。中でも“人創り”と“シーズ創り”を重視し、この取り組みをさらにブラッシュアップしていく。“シーズ創り”では、大手企業の逆見本市や事業ネタ提供イベントなど、また“人創り”ではスタートアップ人材育成セミナーやビジネスプランコンテストなどを開催し、地元先進企業と事業ネタを討議・提供。起業を目指す若手人材の育成に力を入れていく。
こうした取り組みの一環で本日9月26日、10時20分から神戸商工会議所会館(神戸市中央区)で「価値共創シンポジウム2025」を開催する。参加無料。河南治新ビジネス育成センター長が、はりま新産業創出エコシステムに関する講演を行う。
兵庫県立大学 社会価値創造機構 新ビジネス育成センター長 河南 治 氏/地元企業とのつながり強める
-
兵庫県立大学 社会価値創造機構 新ビジネス育成センター長 河南 治 氏
—兵庫県立大学に対する中小企業の期待をどう感じていますか。
「中小企業にとって、大学は敷居が高いと思われていると感じる。一方で、相談件数は多い。先日、当機構の水素エネルギー共同研究センターで地元中小企業を招いた見学会を実施した。参加企業は『自社の技術を活用し水素分野に取り組みたいが、何から手を付けて良いのか分からない』といった思いが強いが、このように実際の現場を見ることで自社の課題解決につなげたいというニーズが大きいと感じている」
—理系人材の育成については。
「新産業を創出し社会の活力を高めるには、若い世代が積極的にスタートアップを目指すことが欠かせない。そういった点から見れば“学生のうちから起業する”ということは、まだ少ないように感じる」
「2年ほど前から年に1回、『ひょうご科学塾』と銘打った小・中学生向けの科学イベントを開催しており、ボランティアの教員や有志を集めて実施している。高校生になれば既に文理選択がなされているため、小・中学生のうちに科学に興味を持ってもらい、高校で理系選択を増やしてもらいたいという狙い。当大学の実験装置を使用し“生”で実験するという活動だ。25年度から兵庫県のサポートを受けており、運営はみなと銀行さんに担っていただいている。当大学は協力機関というスタンス。保護者を含めかなり盛況で、今後、拡大していきたい」
—地元企業の人材確保に向けた後押しは。
「11月に『企業・大学・学生マッチング in HIMEJI 2025』を開催する。兵庫県や姫路市、姫路商工会議所などと連携して実施する。大学と企業のみならず、企業と学生の情報提供・交換を促す取り組みで、地元中小企業と学生の交流の場を提供する。当大学の工学部の学生に関して言えば約6割の学生が県内企業への就職を希望しており、関西圏全体まで範囲を広げると、これが8割程度にまで拡大する。こうしたニーズを背景に、地元企業とのつながりを強めるイベントは欠かせない」
