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兵庫・神戸産業界
活力ある経済・くらし創出へ
顧客企業の持続的成長支援
変化の激しい時代に並行し、解決すべき課題も多様になる。地域経済と住民生活の維持・拡大を後押しする金融機関にも、これまでとは異なった新たな活動が求められる。金融サービスだけではない支援の取り組みを、みなと銀行の持丸秀樹社長に聞いた。
みなと銀行社長 持丸 秀樹 氏/信託業務にもより深く踏み込む
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みなと銀行社長 持丸 秀樹 氏
—兵庫県経済の進展をミッションとしています。
「原材料価格の高騰や人手不足の課題に加え、いわゆるトランプ関税など動きの激しい世の中であり、事業者にとっては負担が増している。新卒採用の確保や事業承継、国内外を含めた販路拡大など多様な取り組みが求められている。加えて生産性向上に向けたDX化やスタートアップ育成によるイノベーション創出も避けられず、これに応じた事業者の“再成長”が不可欠。持続可能な成長に向けた取り組みが重要であると考えている」
—具体的な取り組みを教えてください。
「事業承継支援では、アトツギ(後継者・後継予定者)に特化した新事業開発支援プログラム『HOJO』や、みなとアトツギ事業創出プログラム『SENJIN』を展開。事業をそのまま引き継ぐのではなく、付加価値をプラスして承継できるようサポートしている。また、同族後継者が不在の事業者に向けては、第三者承継を後押しする取り組みを、事業承継機構と連携して進めている」
「スタートアップ支援については、兵庫県内スタートアップなどの成長を応援する『みなと成長企業みらいファンド』や、過去の経営成績を重視した審査から将来の事業性やキャッシュフローに着目した与信判断を行う融資『みなと成長応援ファンド』を実行している。加えて本年度より新たな取り組みとして、取引先企業の新卒採用を支援する『みなと採用応援パック』の実施。その他、神戸大学との包括連携協定による『神戸大学イノベーション』への当行の従業員派遣などにも力を入れている。兵庫県内で最も先進的な大学の多様な知見と当行のノウハウを融合させる取り組みだ。神戸大学発スタートアップ企業の支援に加え、大学内に当行の従業員を常駐させることで大学研究と取引先企業をつなぎ、地元でのイノベーション創出を目指す」
—地域住民の皆さんに向けた取り組みは。
「“地域の方々が安心して暮らせる社会を実現する”ことが当行の存在意義の一つである。特に、個人の資産をしっかり守ることが重要であると考えている。その点においては、今年1月に実施したりそなグループのシステムリニューアル・統合に伴うグループアプリの利用拡大など、利便性が向上している。お客さまの評判も良好であり、さらにデジタル化を進めていく考えだ。こうしたデジタル化は店頭業務の効率化にもつながり、お客さまとの相談業務に充てる時間が増加したため、今後はより深く信託業務に踏み込んでいく方針。2026年3月までに信託兼営許可を取得し、信託業務を自社で完結できる兵庫県内唯一の地域金融機関を目指す」
海外人材採用を後押し
日本政策金融公庫神戸支店は6月16日、神戸市産業振興センター(神戸市中央区)で「海外展開セミナー」を開催した。人手不足を背景に、海外人材の採用を目指す企業から多くの担当者が聴講した。
第一部では日本政策金融公庫総合研究所の藤田一郎グループリーダーが「全国の事例に学ぶ中小企業の外国人材の活用について」をテーマに講演。外国人材採用企業の事例を用いて、外国人材活用の現状やメリット、重視する課題などについて詳しく解説した。
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外国人材の活用について自社の事例を説明するフルヤ工業の降矢社長(中央奥の登壇者)
第二部ではフルヤ工業の降矢寿民社長が「当社の外国人材の活用について」をテーマに登壇し、同社の現状や効果、留意点などについて経験や感想を交えながら発表。コミュニケーションの重要性や働きやすい職場づくりについても説明した。
関係機関からの情報提供となる第三部では、兵庫県産業労働部能力開発課の田口修由課長が「ひょうご外国人雇用認定制度について」、神戸市経済観光局国際課神戸市海外ビジネスセンターの岩尾幸一所長が神戸市海外ビジネスセンターにおける支援メニューについてそれぞれ紹介。加えて、国際人材協力機構大阪駐在事務所の尾﨑哲一所長、日本貿易振興機構ジェトロ神戸の清水一憲コーディネーターも、それぞれの取り組みを案内した。セミナー参加者は公的支援などについても真剣に耳を傾けた。