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東大阪支局特集
3市・産業界の取り組み
東部大阪地域でオープンファクトリーの動きが加速している。いわゆる工場見学のような、製造現場を一般公開する取り組み自体は、旧来より各企業が独自に行っていた。しかし近年では地域企業が連携し、連合体となって行うオープンファクトリーイベントが急速に拡大。近畿経済産業局も積極的な参画を促している。東部大阪地域は国内屈指の産業集積地でもある。市内産業の価値を外部に宣伝する絶好の機会として、各市知恵を絞る。
東大阪市/非日常との出会いの場
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昨年度の「こーばへ行こう!」における、溶接体験コーナー
2024年で7回目の開催を迎えるオープンファクトリーイベント「こーばへ行こう!」は、オープンファクトリーイベントの先駆けとしても知られている。今年は50社近い市域企業が参画。東西にエリアを分割し、11月8・9日と11月15・16日の4日に分けて開催する。
同イベント実行委員会の代表も務めるCOBA(大阪府東大阪市)の草場寛子社長は、同イベントを「非日常との出会いの場」と位置づける。東大阪市ならではの特徴の一つとして距離の近さを挙げ、「普段入れない工場で、職人と対話しながら、普段見られない技術を間近に見ることができる機会」(草場社長)とアピールした。
草場社長は今後、盛光SCM(大阪府東大阪市)1階を改装し、交流施設「マチCOBAの駅」を新設予定。道の駅をモデルに、地域の工場や商店が扱う製品を地域住民に直接販売するほか、イベントスペースとしても活用する。町工場を身近な存在にするべく、アウトプットに趣向を凝らす。
八尾市/モノづくり 次世代につなぐ
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昨年度の「ファクトリズム」における、友安製作所でのイベント
八尾市の中小企業が中核となって開催している広域オープンファクトリーイベントが「ファクトリズム」だ。5年の間に市外企業も次々と参画し、その輪は広がり続けている。2023年には来場者数が初めて2万人を超えた。今年は近畿圏の13市から過去最多となる93社が参加し、10月24日から4日間にわたり技術を披露した。
2018年に近鉄八尾駅前に開設されたモノづくり体験施設「みせるばやお」(大阪府八尾市)に集う企業たちが、2020年に初開催したのが同イベントの始まりだ。サブタイトルとして「アトツギたちの文化祭」を掲げ、楽しみながらモノづくりを次世代につなぐことを目指してきた。
ファクトリズム副実行委員長を務めつつ、行政と連携しまちづくり事業を展開する友安製作所(大阪府八尾市)の友安啓則社長は「直接的な経済効果に加えて、工場のマイナスイメージを払拭し、雇用につなげる効果もある」とイベントのメリットについても述べた。
大東市/市内産業の活性化を図る
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昨年度のだいとうオープンファクトリーCONTACT
大東市のオープンファクトリーへの動きは近年急加速している。2023年より大東市は広域イベント「ファクトリズム」への参画を新たに開始。さらに同年大東商工会議所と大東市との共催で、地場企業による大東市独自のイベント「だいとうオープンファクトリーCONTACT」(以下コンタクト)が始動した。今年は13社の企業・団体が参画し、11月2日に開催された。
同市では「大東市親子探検ツアー」「だいとうキッズファクトリー」などの地域企業ツアーがコロナ以前から催されており、コンタクトはこの流れをくむ。同市は地域密着型イベントのコンタクトと、広域型イベントのファクトリズムとを両輪に市内産業の活発化を図る。
コンタクトの中核企業である明星金属工業(大阪府大東市)の上田幸司社長は「地元志向のイベントとしてスタートしたコンタクトだが、潜在企業はまだまだある。コロナで一時停滞していたが、今後さらなる展開を予定している」と語った。