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研削盤&研削加工
デジタルソリューションが支える次世代のモノづくり
【執筆】 ユナイテッドグラインディング マーケティングマネージャー 府内 房子
ユナイテッドグラインディンググループは、研削・放電加工・レーザー加工・積層造形などの分野で世界をリードするスイスの工作機械メーカー。当社ではデジタル化とスマート化によりメンテナンスの事前通知や生産状況の確認、加工プロセスの可視化や改善、機械間でのデータ交換などを直感的な操作で行うことが可能なオペレーティングシステムを推進している。ここでは、その中心となる技術「C.O.R.E.」について紹介する。
製造現場デジタル化/機械・人・プロセスつなぐ
当社はスチューダ、ワルターなど15以上のブランドを擁し、世界50拠点・約5000人の従業員を抱えるグローバル企業として、精密加工技術をけん引している。2025年にはスイスのGFマシニングソリューションズとの統合により、ユナイテッドマシニングを含むユナイテッドマシニングソリューションズとして再編され、より包括的な製品やサービスの提供が可能となった。
スマート化
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C.O.R.E.イメージ画像
当社が推進する製造現場のデジタル化を支援するソリューション「ユナイテッドグラインディング・デジタルソリューションズ」は、機械・人・プロセスをつなぐスマートなプラットフォーム。接続性、使いやすさ、監視、生産性の四つの柱を中心に構築されており、新規導入機械にはC.O.R.E.(Customer Oriented Revolution)技術が標準搭載されている(写真)。
既存機械にはサイトコントロールボックスを後付けすることで、レトロフィットが可能になる。また、工作機械インターフェース「umati(ウマティ)」を介してサードパーティー(第三者)製機械との統合も容易だ。
このプラットフォームはモジュール方式のアーキテクチャー(設計概念)を採用しており、段階的かつ柔軟にデジタル化を進めることができる。導入のハードルが低く、顧客の現在の状況に応じた最適なソリューションを提供できる点が特徴だ。また、ドイツのITセキュリティー評価機関TUViT(テュビット)が認定する高品質な接続を通じて、データの安全性と顧客の主権も確保されている。
指標可視化
「デジタルソリューションズ」には、製造現場を支援する複数の機能が搭載されている。例えば、稼働時間や生産数、ダウンタイムなどの主要指標をリアルタイムで可視化し、プロセスの最適化に向けた判断を支援する。設備に不具合が発生した際には、機械の画面上または遠隔操作により、迅速に当社のエンジニアに状況を通知できる。このため、トラブル対応のスピードが向上し、機械の稼働率を高く維持できる。
さらに、メンテナンスの必要な時期が事前に通知され、過不足のない保守作業が可能になる。これにより、設備の寿命延長にもつながる。スマートフォンやタブレット端末を活用すれば、現場を離れていても生産状況の確認やサービス依頼が行えるため、柔軟かつ迅速な対応が可能となる。
大きなスマホ
デジタル化の中心にあるのがC.O.R.E.だ。これは機械に知性を与える新しい基本ソフト(OS)であり、ユーザー中心の設計思想に基づいて開発された。まるで大きなスマートフォンのような、直感的な操作が可能なマルチタッチディスプレー、個別に構成可能なインターフェース、無線識別(RFID)チップによるユーザー認証など、オペレーターの使いやすさを徹底的に追求している(図1)。
RFIDによるログインでは、管理者・保守担当者・オペレーターといった役割ごとに異なる権限が適用され、それぞれに最適化された画面が表示される。必要な機能だけにアクセスできるため、操作ミスの防止や情報保護が実現されると同時に、作業効率も大幅に向上する。結果として、製造現場の安全性と生産性向上に大きく貢献する。
透明化・最適化
C.O.R.E.はデータの透明性と最適化支援にも寄与する。標準化されたデータ収集とインテリジェントな処理により、加工プロセスの可視化と改善が可能となり、IoT(モノのインターネット)やデータアプリケーションとの連携もスムーズだ。統合されたウマティの応用プログラムインターフェース(API)により、サードパーティー製システムとの通信も可能となり、柔軟なネットワーク構築ができる。
技術的にC.O.R.E.は強力な産業用パソコンとコンピューター数値制御(CNC)装置に対応したOSを基盤とし、イーサネット接続や多様なインターフェース・プロトコルを備えている。これにより、当社の各ブランドの機械間でのデータ交換が容易になり、デジタルソリューションズ製品へのアクセスも可能。さらに、C.O.R.E.パネルにはフロントカメラや近距離無線通信規格「ブルートゥース」が統合されており、リアルタイムで情報交換やサポートができる。人間工学に基づいた設計により、作業環境に応じた柔軟な対応が可能だ(図2)。
当社はC.O.R.E.とデジタルソリューションズを通じて、製造現場の効率化と生産性向上を支援し、顧客の成功を共に築くパートナーとして、未来のモノづくりを支え続けていく。
