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研削盤&研削加工技術
汎用性と自動化の両立を実現する研削盤
【執筆】岡本工作機械製作所 営業本部 マーケティングチーム 藤本 雄大
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写真1 汎用性と自動化を両立する「HPG500NC」
数値制御(NC)化、IoT(モノのインターネット)化、人工知能(AI)技術の進歩など、工作機械の周辺状況は目まぐるしく変化してきている。企業はコンピューター数値制御(CNC)化を進め、自動加工による「効率化」や、製品の品質を一定にする「平準化」を追求している。研削盤においてもその流れは如実に表れており、当社も全自動平面研削システムやロボットを使った自動化にも着手している。一方、マイクロメートルオーダーの超微細な仕上げ研削や、汎用性を必要とするような手作業での加工もまだ多く残っている。そこで当社は職人が五感を用いて加工を行う「汎用性」と、NCによる「自動化」を両立させるべく「HPG500NC=写真1」を開発した。
NC対話ソフトによる自動砥石成形と自動研削
本機は従来の手動機と同様に機械前面に操作用のハンドルがレイアウトされており、従来通りの手動加工ができる。また、前後と上下軸にスケールフィードバックが搭載されており、より高い精度で加工を行える。砥石(といし)の手動成形ができるほか、NCによる自動成形ドレスにも対応している。外周形(通常のストレート)、両凸R型、片凸R型、V型、角度型、R+テーパー、片凹R型、自由型から選択し、各種寸法を入力した後に砥石をティーチングするだけで、自動的に砥石の形状が成形される。
従来の汎用機で砥石に形状をつける際には、専用のドレッサーなどを用いて手動操作でドレスする必要があり、タイムコストと品質のバラつきが発生するという問題点があった。しかし、それらをNC対話ソフトで行うことで、自動的に砥石成形が可能となり、コスト削減と品質の平準化に貢献する。同時に自動研削も本ソフトで簡単に行える。
研削条件や寸法を入力し、座標をティーチングするだけで、プランジ加工、トラバース加工、サイド研削、テーパー加工、ピッチ加工が可能。作業者はその間に加工対象物(ワーク)の段取り替えなどほかの作業ができ、より効率的に仕事ができるようになる。さらに、ドレスの条件と加工条件を保存できるので、多品種少量生産の際に加工条件の呼び出しを行い、入力時間の短縮と条件をそろえることで品質を平準化できる。
手動の寸法計測で工程短縮
また、研削加工のユーザーを度々悩ませるのが計測による加工工程のリセットである。測定のためにワークを一度外し、マイクロゲージや工場内の測定器などで測定、削り残しがある場合は再度段取りを行い、砥石を当て直す。
このサイクルを繰り返すことで大きく時間をロスしてしまう。測定の工程集約のために機上計測装置を研削盤に付けるケースもあるが、測定器自体が高額で費用対効果を得るには長い時間を要する。
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写真2 オプションの計測ユニット「Quick Touch」は手動操作で寸法を計測できる
当社が提案する研削盤機上計測ユニット「Quick Touch」はこれらの問題を解決するのに最適なオプションだ(写真2)。
本ユニットは手動操作で寸法の計測が可能。専用のプログラム作成不要なため、加工後すぐにワークの寸法を計測、削り残しがあればワークをチャックから外さずに再研削ができるので、無駄工程の短縮に大きく貢献する。
電動ベルトモーターや油圧レス構造による環境対応
HPG500NCのもう一つのポイントは、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)に貢献できるという点だ。左右のテーブル駆動を油圧ではなく、電動ベルトモーターを採用することにより、作動油交換時に発生するコストと、テーブル駆動によるエネルギー損失を従来機よりも60%削減。また油圧レス構造により、1キロワットの電力を1時間使用した場合、油の処理によって発生する二酸化炭素(CO2)排出量を656キログラム削減した。近年、国や自治体が力を入れている省エネ補助金を使用すると導入しやすいといったメリットも備えている。
HPG500NCシリーズは汎用機とNC機の特性を併せ持ち、ユーザーのニーズに応じた加工を実現できる成形研削盤である。群馬県にある当社の本社工場のほか、大阪、名古屋、福岡、富山など当社の多くの営業所で展示しており、「Quick Touch」に代表されるオプションを含めた使用感を体験できる。