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福井県産業界2025
グローバル企業などによる最先端工場や研究開発拠点の新設・開設が続く福井県。北陸新幹線の福井延伸で、2024年に過去最多を更新した観光客やビジネス客は足元も堅調で、チャンスと捉えた再開発や投資の動きが広がっている。インバウンドが少ない課題はあるものの、2025年大阪・関西万博などを通じて国内外に魅力を広げていく。
福井の魅力を発信
4月に開幕した2025年大阪・関西万博は、福井の魅力を世界に発信する絶好の機会だ。万博会場では、福井の自治体や企業、大学などが持続可能な繊維産業の提案や、県内で多く発掘されている恐竜の化石などに関する展示で、存在感を示す。
繊維製品の資源循環
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2月にあったプレイベント。万博にも同様のものを出展する
福井大学は8月14—19日の6日間、展示会などに使われている施設のEXPOメッセ「WASSE」の文部科学省のブースの一角で、繊維製品の資源循環に関連した展示を行う。水を使用せずに染色・脱色できる「超臨界流体染色・脱色技術」を核に「未来のファッションのカタチ」を提案する計画。来場者は、現在着ている服が同技術によって脱色され、新しい服として生まれ変わる様子をデジタルで疑似的に体験できる。服の価値観を変えられるような体験で、繊維製品での資源循環の大切さを示す。
同技術は二酸化炭素(CO2)を気体と液体の中間の状態である超臨界状態にして、染料と繊維を入れると、繊維の中に染料が入り込み、染色できる技術。脱色についても、超臨界状態になったCO2に染料と親和性の高い物質を入れることで、染料を繊維から取り出し、脱色できる。
生地の染色は大量の水を使うため、繊維産業が与える環境負荷は大きく、大量消費に伴う廃棄も課題となっている。一方、装置コストが高いなど、同技術にはクリアすべきハードルもあり、今後も装置の設計などを見直しながら、繊維産業の課題解決に力を入れる。
恐竜王国の福井
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関西パビリオン内の福井県ブース
東ゲートゾーンの関西パビリオンにある福井県ブースは「恐竜王国」を全面展開する。実物大の恐竜「フクイラプトル」が入り口で出迎える同ブースは、「発掘体験」と「時空の旅」の2構成。
赤外線を照射する懐中電灯型機器を用いた恐竜化石のバーチャル発掘が体験できるほか、四方をスクリーンで囲まれたVR体験空間で恐竜時代に没入できる。
県は16日に同じゾーンにあるEXPOホール「シャインハット」で開くPRステージ「恐竜王国福井DAY」で、恐竜ライブショーや、福井商業高校(福井市)チアリーダー部「JETS(ジェッツ)」のダンスショーなども行い、さらなる魅力発信に取り組む。
IHIと県、産総研が連携/航空部品の研究ラボ設立
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産総研の北陸デジタルものづくりセンター
IHIと福井県、産業技術総合研究所(産総研)の3者は、航空エンジン部品の軽量化につながる革新的な炭素繊維強化プラスチック(CFRP)技術の創出を目指す「連携研究ラボ」を設立した。軽量化を通じて航空業界のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)実現を支援し、北陸地域の産業振興や国内航空機産業の発展にも結びつける。同県坂井市にある産総研の「北陸デジタルものづくりセンター」が主要拠点となる。
IHIと県は、航空機の軽量化につながる新材料や新技術の開発で共同開発の実績がある。一方、2023年に同センターを構えた産総研は、地場の繊維産業や金属加工業を高付加価値化するモノづくり技術の開発と支援を推進。IHIと県、県内企業で開発を進めてきたCFRP関連技術に、産総研の材料技術、製造プロセス技術、分析技術などを融合し、航空機の軽量化につながるCFRPと製造プロセス技術を開発する。連携期間は30年3月末までの5年間。
観光客数・消費額、過去最高/北陸新幹線の延伸効果
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福井駅前で恐竜の写真を撮影する観光客
直結した関東圏や信越地域からの来訪者が大きく増加—。
北陸新幹線が敦賀まで延伸した2024年の福井県の観光客入り込み数は前年比17・6%増の2069万人で、県が掲げた2000万人の目標を突破したほか、観光消費額は同23・5%増の1513億円となった。いずれも過去最高値で、北陸新幹線の延伸効果が如実に現れた格好だ。
延伸で注目度が高まったほか、アナウンス効果で北陸新幹線の沿線地域以外からも訪れる人が増加した。県外からの観光客では、アクセスが良くなった関東地区や信越地域からの来訪が増えた。また、延伸開業で新幹線と特急列車の乗り換えが必要となり、往来の減少が懸念された関西圏からの来訪者も増えている。足元も堅調で、効果継続に向けた取り組みが注目される。
主要観光地別の入り込み状況によると、県外客は恐竜博物館(福井県勝山市)や一乗谷朝倉氏遺跡(福井市)などを訪れる人が多く、人気だったようだ。