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エレクトロニクス京都2024
電子部品・半導体市況の回復遅れや電気自動車(EV)の成長鈍化などで、エレクトロニクス業界の先行きは不透明感が強い。米中対立や戦争による世界の分断、地震などの自然災害も企業の意思決定においての懸念材料だ。この混迷の時代をどう乗り越えるべきか。大局観を持った戦略で人・モノへの投資や研究開発に取り組み、幾多の難局を乗り越えてきた京都企業の動きから、次の一手を探る。
中小のサステナビリティ活動 京都FG、実践セミナー開催/企業トップメッセージ③
半導体・PFASの今後
環境対応や人権問題といったサステナビリティー(持続可能性)関連の取り組みが中小企業にも求められている中、先ごろ京都フィナンシャルグループ(FG)は京都市内で「中小企業のためのサステナビリティ経営実践セミナー」を開いた。
事例を紹介
同セミナーではSCREENホールディングスやロームなど京都のグローバル企業が登壇し、それぞれの活動状況や、世界を取り巻く環境、規制動向などの事例を紹介。大手や中堅、中小のメーカー、行政の幅広い層、およそ120人が聞き入った。
1兆ドル規模に成長
年率6―8%成長し、2030年に1兆ドル規模への成長が予測される半導体産業。ロームの担当者はクリーンエネルギーの確保、水の確保、製造プロセスで使う化学薬品の適切な扱い、人権侵害などに加担しない鉱物の使用、人材の確保・育成の五つが同産業のサステナビリティーで重要な要素と説明。「サプライチェーンやバリューチェーンが一体となって取り組まないといけない」と指摘した。
規制動向を紹介
SCREENは難燃性や撥水(はっすい)性などの優れた特性でさまざまな製品に使われるも、環境や人体への悪影響の可能性が指摘される有機フッ素化合物「PFAS」の規制動向を紹介。法規制が欧米では目に見える形で進む一方、中国での規制強化など、情報の入手が難しいアジアでもリスクがあることも指摘した。
取引先を支援
島津製作所はCSR調達を推進し、希望する取引先へ状況に即した支援を行っている事例など披露。社内浸透では、とっかかりのハードルを下げるため、自前の教育用コンテンツを定期的に提供するほか、テスト合格で木製「SDGsバッジ」をプレゼントする取り組みなども紹介した。
脱炭素へ、地域社会と連携/SCREENホールディングス社長 広江 敏朗 氏
生成人工知能(AI)活用やデータセンター需要拡大などを追い風に、2024年3月期は3期連続で売上高、営業利益とも過去最高の業績を見込む。半導体市場は今後も高水準で推移すると考え、生産体制のさらなる強化を図るべく、彦根事業所(滋賀県彦根市)に新工場「Sキューブ5」を建設。24年1月から操業を開始した。
医療関連機器などのライフサイエンス事業や、高次元なデータ処理技術が必要な事業領域への成長投資も活発に行っている。例えば、昨年6月に慢性心不全の発症を抑制するデバイス開発ベンチャーのアドリアカイム(東京都八王子市)の株式を取得。同12月には量子アニーリングに関する独自の根幹技術を持つシグマアイ(同港区)の株式も取得した。
持続可能な社会の実現に向けた取り組みでは、同6月に当社と滋賀県、滋賀銀行の3者で脱炭素に関する協定を締結。同11月に京都フィナンシャルグループとサステナビリティー(持続可能性)向上に資する包括連携協定も締結するなど、地域社会と連携を強化し、脱炭素社会に向けた取り組みを加速させた。
当社は人と技術で社会課題の解決を担うソリューションクリエーターとして、未来をひらいていく行動を実践し、持続可能な社会の実現を目指していく。
成果刈り取り、シナジー創出/日新電機社長 松下 芳弘 氏
日新電機グループは2021年度から5カ年の中長期計画「VISION2025」を推進中で、4年目の24年度は成果を刈り取る年です。「日新一新」「変化への適応・変化の創造」の方針を掲げ〝多様な価値観が尊重され、チャレンジ意欲を持った活動ができる環境のもと、一人ひとりが社会に貢献していることを実感でき、確かな技術力で持続可能な未来を創造する会社〟を目指しています。
同計画では環境配慮製品の拡大、分散型エネルギー対応、再生可能エネルギー対応、デジタル変革(DX)の製品・事業への適用、新興国環境対応需要の捕捉、電気自動車(EV)拡大に伴う事業拡大の六つの成長戦略に取り組んでいます。
24年度は環境配慮型や高効率・省エネ機器をはじめ、当社の最新技術を集結した特高変電所を新設し、実証運転を予定しています。23年度に住友電気工業の完全子会社となったことを活かし、両社のシナジーによる研究開発や新製品創出を加速するほか、海外事業のさらなる強化などもテーマに、課題と進捗(しんちょく)を明確にしながらスピードを上げて取り組みを推進します。
当社グループは市場・お客さま・社会ニーズにマッチした製品や事業の創出で、持続可能な未来社会に貢献していきます。