-
業種・地域から探す
続きの記事
エレクトロニクス京都2024
電子部品・半導体市況の回復遅れや電気自動車(EV)の成長鈍化などで、エレクトロニクス業界の先行きは不透明感が強い。米中対立や戦争による世界の分断、地震などの自然災害も企業の意思決定においての懸念材料だ。この混迷の時代をどう乗り越えるべきか。大局観を持った戦略で人・モノへの投資や研究開発に取り組み、幾多の難局を乗り越えてきた京都企業の動きから、次の一手を探る。
企業トップメッセージ②
未来志向で社会問題に挑戦/ニチコン社長 森 克彦 氏
日本経済は、円安に伴うエネルギーコストや物価の上昇が続きながらも緩やかな回復基調にある。世界情勢は予断を許さない状況が続き、先行きは不透明だが、当社は未来志向で社会問題と向き合い、挑戦を続けていく。当社グループは中期成長目標「Vision 2025」の達成を通して持続可能な成長の実現を目指す。お客さまの声を真摯に受け止め、QCDST(品質、コスト、納期、サービス、技術)向上に誠心誠意取り組む。
電気自動車(EV)化の加速と最新技術を搭載した自動車の台頭、第5世代通信(5G)から6Gにつながるエッジコンピューティング拡大、あらゆる分野での生成人工知能(AI)の活用、医療の飛躍的進化、エネルギートランスフォーメーションなどが今後の大きなトレンド。
当社の二本柱である「コンデンサ事業」と、エネルギー・環境関連製品が中心の「NECST事業」は、これらに対応する製品群を有し、投資も継続している。マーケットを知り、未来を見据えた持続的な成長サイクル確立のため、一貫性をもった取り組みで成果につなげる。
当社は今後も社会課題を解決し、「価値ある製品を創造し、明るい未来社会づくりに貢献する」という経営理念の下、事業の発展、成長を図っていく。
ありたい姿に向け土台作り/GSユアサ社長 村尾 修 氏
GSユアサは新たな価値を創造し続けるエネルギー・デバイス・カンパニーを目指します。「モノ・コトづくり」をキーワードに新しい価値創造を通じて、鉛電池事業とリチウムイオン電池事業それぞれの持続的成長につながる戦略的な企業活動を行っていきます。
2024年度は長期ビジョンで描く、ありたい姿の実現に向けた変革のための土台作りの期間と位置づけています。事業構造変革に向けて、バッテリー式電気自動車(BEV)用電池の開発、生産・供給体制の整備、既存事業の収益力強化、デジタル変革(DX)、新規事業推進などの施策を実行します。
当社の企業理念である「革新と成長を通じ、人と社会と地球環境に貢献する」を実践することが、事業の持続的な成長に結びつくものと考えています。CSR(企業の社会的責任)課題を事業戦略に取り込んだビジネスプロセスを確立し、財務・非財務の両面から経営の質を向上させ、事業と社会の持続可能な成長を目指していきます。
今後も常にステークホルダーから信頼され、世の中から必要とされる企業であり続けるために、当社は止まることなく挑戦を続けます。人と社会と地球環境に貢献することで、次の100年へ向けて成長していきます。
5000億円企業へ新中計始動/堀場製作所社長 足立 正之 氏
堀場グループのあらゆる価値を最大限に発揮することを表現した「MAXIMIZE VALUE」をスローガンに、新中長期経営計画「MLMAP2028」が2024年1月からスタートした。
「エネルギー・環境」「バイオ・ヘルスケア」「先端材料・半導体」の3フィールドに注力する事業体制で、グループの卓越した技術を融合してイノベーションを創出する。事業に加え、人財、サステナビリティーの3本柱の戦略を推進。28年12月期に売上高4500億円(23年12月期比約5割増)達成を目標に掲げ、その先の5000億円企業へと、さらなる発展を目指す。
社会課題の解決でも独創的な「はかる技術」で貢献する。カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)実現では、半世紀以上にわたって燃焼・発電の高効率化、低エミッション化を追求し続けてきた当社のガス分析技術に加え、水素製造評価装置、二酸化炭素(CO2)回収アプリケーションなど、多種多様なソリューションを地域ごとのニーズに合わせ提供する。
1月に制定したグループ共通のビジョン「おもしろおかしくをあらゆる生命へ」の下、次代を担う個性豊かな人財とともに企業価値を高め続け、社会から必要とされるよう持続的な成長を目指す。
改革推進、選択と集中/不二電機工業社長 八木 達史 氏
2023年度の重電機器市場の電力や公共・民需向け製品は、需要が底堅かったものの、顧客の一部で在庫調整が行われたこともあり、受注が低調だった。一方、鉄道用変電所向けは電子部品の欠品解消で、電子応用機器を中心に売り上げに寄与した。鉄道車両市場向けは徐々に引き合いが増えているが、コロナ禍以降の機器の更新先送りや延命傾向が継続しており、需要の回復時期を見通しづらい。
海外は東アジアを中心に電力設備の更新案件が堅調で、需要は回復傾向にある。24年度も今秋にかけて顧客の一部で在庫調整が続くことも予想されるが、全体の売上高は前年度並みを見込む。
コロナ禍以降続いたサプライチェーンの混乱による部品入手難は、その後の需給バランスにも影響を与えている。ニーズの変化、加速する人手不足はもちろんのこと、エネルギー価格や人件費・仕入価格などのコスト上昇による利益率の低下は喫緊の課題だ。
そこで改革に向けた選択と集中の一環として、仕入販売事業を終息し、経営企画室を新設した。労働人口減少という社会課題に対しては、現場での作業性や保守メンテナンスの効率化に貢献できる省力化・省人化と、デジタル化に対応する製品開発を迅速に進めて、事業の収益拡大を目指す。