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高精度・高品位を支える円筒研削盤
現場の効率化・環境負荷低減に貢献するCNC円筒研削盤/ジェイテクト
【執筆】ジェイテクト
工作機械・システム事業本部 工作機械技術部 標準機開発室 第1グループ
グループ長 清田 大
昨今の厳しさを増す経済状況の中で、工作機械メーカーの主な顧客である自動車メーカー、家電メーカー、一般産業機械メーカーなどは、製品コストや品質競争において常に優位性を確保していかなければならない。このため、研削盤設備に対してもより安定した加工精度、コスト低減のための高生産性、および製品ライフサイクルの短縮・多様化などに伴う設備のフレキシブル性の要求を一段と強めている。これらの要望にこたえるために開発した小型シャフト部品の量産加工に最適なコンピューター数値制御(CNC)円筒研削盤を例に紹介する。
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写真:CNC円筒研削盤「G1 Series Type Bt」
小型シャフト向けCNC円筒研削盤「G1 Series Type Bt=写真」は、両側駆動主軸台の搭載、普通周速度立方晶窒化ホウ素(cBN)ホイールの採用などにより、生産性向上や信頼性の向上に対応できる小型シャフト部品の量産加工に最適な研削盤として開発した。工作物の両センター穴と工作物を支持するセンターとの間に発生する摩擦力が研削時の接線研削抵抗力以上の摩擦力になるよう、センター加圧力を制御して工作物を保持する。この方式で左右の主軸を同期回転することにより、駆動金具を用いずに研削加工が可能となる。(図1)
同機に搭載した主軸台のメリットは①駆動金具やチャックが不要となるため、多種工作物を研削する場合の工作物変更の際、それらの交換段取り時間が不要となる。②工作物の両端部を研削する場合、従来、駆動金具やチャックがあると工作物の端部が研削できない。このため、2工程に分割し、ローダーなどの反転装置を用いて1台の機械で加工するか、あるいは2台の機械を必要としたが、本主軸台により両端部を1台の機械でワンチャッキング加工できる―などである。
全加工部1台で研削
また、従来は長さ違いの工作物に変更する場合、工作物に合わせて定寸装置の段取り替えをする必要があった。同機では工作物の長さに合わせて自動で主軸の心間調整をすることにより、定寸装置の段取り替えを不要にした。(図2)
同機を用いた小型シャフト部品の加工事例を紹介する。図3に示した部品は工作物の両端を加工する必要があるため、従来は2工程に分割し、ローダーなどの反転装置を用いて1台の機械で加工するか、あるいは2台の機械を必要とした。本機では前述の両側駆動主軸台を搭載することによって、1台の機械ですべての加工部をワンチャッキング加工できる。さらに同機は、普通砥石(といし)仕様に加えて、普通周速度(毎秒45メートル)のcBNホイール仕様を選択できる。
従来、cBNホイールを使った研削加工では、砥石周速度毎秒80メートル以上の高周速度の研削で生産能率を高めることによりサイクルタイムを短縮し、設備台数の削減を図ってきた。しかしながら、砥石周速度の高速化には、砥石軸モータや研削液供給装置の大型化、研削液飛散防止のための全体カバーの構造の複雑化などが必要となり、普通砥石仕様に対して設備費が高価になるという欠点があった。
同機が実現した普通周速度cBNホイールによる研削加工のメリットは①普通砥石仕様の機械構成を最大限に活用し、最小コストでcBNホイールによる研削加工を実施できる。②cBNホイールの持つ低ツールコストや高生産性のメリットを引き出すことができる―などである。これにより、実研削時間は普通砥石での加工に対して18秒短縮、砥石1枚で生産できる工作物本数は普通砥石に対して9倍になり、生産性を向上することができる。
80年の歴史の中で顧客とともに築き上げたノウハウを集積した研削サイクルを標準搭載。オペレーターが思う通りの研削サイクルを、自らプログラムを作成することなく、パラメーターの設定だけで作成できる。また、初心者でも簡単に研削条件を決定できる研削条件自動決定機能を標準搭載し、全研削サイクルに対応した。工作物の大きさなど4項目を入力するだけで、自動で研削条件を決定する。
カーボンニュートラル対応
設備の「非加工時間」「加工時間」それぞれのエネルギーを削減、ユーザーの生産工場での二酸化炭素(CO2)排出量を削減し、脱酸素化社会の実現に貢献することも重要になっている。非加工時間では待機エネルギーの削減に着目し、「スリープイン」「ウェイクアップ」機能を搭載した。スリープイン機能では、休憩時間に入ると、モーター・ポンプ類やエアパージなどを適切なタイミングで自動オフする。ウェイクアップ機能は、生産開始後の加工精度を維持できるよう、あらかじめ設定したタイミングで、暖機運転で必要なクーラント吐出や砥石軸を起動する。生産開始時には機械が万全の状態となっている。
加工時間については、研削抵抗を減らすことで消費電力を抑制する。多気孔構造を有し潤滑性が向上することで消費電力を10%削減できる、新cBN砥石「削楽~SAKURA~」をグループ会社のジェイテクトグラインディングツールと開発。これらの組み合わせにより、CO2削減量約年間11トンを可能にした。