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高精度・高品位を支える円筒研削盤
駆動系精密部品の需要拡大に対応/ユナイテッドグラインディング
自動車産業では電動化に向けた対応に迫られている。こうした中、今後数十年の間に、駆動技術の多様化は平行して進むことが予想される。純粋にバッテリーだけで駆動する電気自動車(EV)に加え、クリーンディーゼルエンジン、水素エンジン、ハイブリッドエンジンなどが引き続き乗用車やトラックの駆動として使用される。また、ほかの駆動技術が開発される可能性もある。いずれにしても自動車メーカーやサプライヤーにおいては、駆動系部品向け精密コンポーネントの需要増が見込める。このため、車両製造における研削盤の需要が高まっている。
固定式研削ヘッドを搭載
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写真1:STUDER製の生産円筒研削盤S36
EVやプラグインハイブリッド車(PHV)といったEモビリティーとそのほかの代替駆動タイプの急速な進歩によって、車両製造におけるさまざまな新しいコンポーネント向けの研削盤需要が高まっている。精密コンポーネントにはシャフト、アクスル、ブッシュ、コンプレッサーホイール、カムシャフト、クランクシャフトなどが含まれる。
こうした需要に対応するために、円筒研削盤「S36=写真1」を開発した。小型ワークピース向けコンパクトタイプの同「S11」と中型ワークピース向け同「S22」の間に位置する。従来モデルは1000台をはるかに超える販売台数を記録しており、S36は従来機同様に多くの特徴を備える。車両用部品製造に加え油圧システム、ポンプ向け部品、さらに工具製造でも高精度研削加工を実現する。金型および工具製造から、航空宇宙産業、油圧システムや自動車産業向けの部品製造まで幅広い分野に対応する。
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写真2:S36の研削ヘッド
同機は固定式研削ヘッド(写真2)を装備する。研削砥石(といし)の角度は0度、15度、 度から選択が可能。センター間距離は650ミリメートル、最大ワークピース重量は150キログラムまで対応する。鋳物ではない花崗岩(かこうがん)を主原料としたGranitan(グラニタン)製の研削盤ベースや高精密転がり軸受のあるワークピースヘッドストックなどの実績が実証されたコンポーネントを採用し信頼性を確保している。また、直径610ミリメートル、最大幅125ミリメートルの大型研削砥石が装備可能。一般的な研削盤カテゴリーの標準を上回るサイズとなっている。
研削盤間のデータ交換用意に
S36のシステムには「CUSUTOMER ORIENTED REVOLUTION(C.O.R.E.)」OSを搭載した。UNITED GRINDING(ユナイテッドグラインディング)グループのブランド全体で統一された高機能なオペレ―ティングシステムには、タッチパネルが採用されており、直感的な操作が可能となっている。 C.O.R.E.ソフトウエアアーキテクチャーによって、研削盤間のデータ交換が容易となる。また、ドイツ工作機械工業会が提唱する工作機械のデータ標準プロトコルumati(ウマティ)インターフェース経由で、サードパーティー製システムともデータ交換が可能となっている。
さらに、追加のハードウエアを取り付けなくても、研削盤上で「UNITED GRINDING Digital Soltions」製品に直接アクセスできる。C.O.R.E.は、IoT(モノのインターネット)やデータアプリケーション向けの技術的な基盤を確立することに加えて、革新的で一貫性のある容易な操作を可能にする。
効率的な自動冷却潤滑剤送りを実現するため「SmartJet(スマートジェット)」ノズルを標準装備した。同ノズルによって、冷却を研削盤コントロールで制御が可能となる。その際に使用するコアコンポーネントは、周波数が制御されたポンプと動圧測定ユニット。体積流量を正確かつ粗削り、仕上げ、精密仕上げの処理に合わせて調整が可能。冷却媒体は、研削砥石にあるマニホールドおよび流れが最適化された調整可能なノズルで供給する。
同社では、今後も長年に渡って世界の各地域でモビリティーの動力源としてエンジンが重要な割合を占め続けると分析する。このため、モビリティーの変化によって機械加工生産が突然、崩壊することはないと指摘する。