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第26回キャンパスベンチャーグランプリ(CVG)大阪
総評/講評/審査委員からのメッセージ
【総評】次の高みに登れる のびしろ評価/審査委員長 国際電気通信基礎技術研究所(ATR)社長 浅見 徹
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審査委員長 国際電気通信基礎技術研究所(ATR)社長 浅見 徹
キャンパスベンチャーグランプリ(CVG)大阪は、今年は30校92件のエントリーがあり、100件以上あった前年と比べてエントリー数は減った。
ただし、ダイバーシティー(多様性)が進み、学校別では国立2634件、公立4件、私立件、専門学校1件、所在地別は三重県を除く近畿圏全域から応募があった。
審査の結果、最優秀賞に立命館大学のキム・ヒョンウンさんらによる「新しい地平を開く、5ドル顕微鏡キット」と、京都大学大学院の多和実月さんの「お口のテーマパーク」が選ばれた。
前者は、顕微鏡の新しい市場を目指して3Dプリンターと木製パネルを活用した極めて低価格な顕微鏡キットを販売することを計画し、実際に作成実証している。対物レンズにアクリル交換レンズ(倍率は50倍、150倍、300倍)、接眼レンズにスマホカメラを使い前者のひずみ補正も行わせるという着想が面白い。
共同提案者3名が異なった大学に所属する留学生というのも応募者のダイバーシティー拡大の観点から注目したい。後者は単独提案であり、人生100年時代を鑑み、子どもと同伴する大人が楽しんで学べる教育・啓発プログラムの提供により世代を超えた口腔(こうくう)衛生習慣の定着を目指している。歯科クリニックや民間企業とのイベント共催、小学校と連携したワークショップ、オンライン教材の配信などによる行動変容や習慣化のサポートからなるビジネスモデルである。「お口サークル」を実際に運営してきた経験に基づく、歯科医師ならではの提案と感じた。
このほか、特別賞5件、奨励賞1件を決めた。審査の基準は「新規性・独創性」「事業・市場性」「表現力」からなる。2021年度全国大会から3年連続で経済産業大臣賞か文部科学大臣賞受賞者を輩出できるようになった大阪大会のレベルは高く、勝ちパターンを知っているチームが多い。CVGの未来をけん引してほしいとの願いも込めて、殻を破り次の高みに登れそうな伸びしろも考慮して評価した。
【講評:特別審査員】キープレーヤー誕生に期待/近畿経済産業局 産業部 創業・経営支援課長 砂川 嘉彦
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近畿経済産業局 産業部 創業・経営支援課長 砂川 嘉彦
歴史あるキャンパスベンチャーグランプリ大阪の受賞者の皆さん、おめでとうございます。今回もさまざまな領域のアイデア・ビジネスプランがエントリーされ、熱量の高い最終プレゼンに心を動かされた。
スタートアップはわが国の経済成長のドライバーであり、新たな社会課題を解決するキープレーヤーである。ぜひ、今回受賞された学生の中から、そのようなプレーヤーが誕生することを期待している。
【講評:特別審査員】学生の関心の広さに驚き/中小企業基盤整備機構 近畿本部 企業支援部長 坂口 裕得子
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中小企業基盤整備機構 近畿本部 企業支援部長 坂口 裕得子
チームメンバーのそれぞれの強みを持ち寄って練り上げたプランや、協力会社を探すための飛び込みでのプレゼン、例えばプロトタイプ製品の発注といった事業化に向け具体的に取り組んでいるプランなどがあり、学生たちの真剣さは本当に素晴らしいと思う。
また自分たちの生活での気づきや企業、社会が抱える課題へのソリューション、グローバルなビジネスとして期待できるものなどがあり、学生たちの関心の広さにも驚かされた。
中小企業や地域経済の成長発展を支援する中小機構として、プラン実現に向けて応援していきたいと思う。
【講評:特別審査員】地域のゴミ問題に貢献/きたしん総合研究所 代表取締役社長 三浦 一元
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きたしん総合研究所 代表取締役社長 三浦 一元
地方の時代といわれて久しいが、今回は地域貢献も意識した提案が複数件あった。北おおさか信用金庫賞に選出した、大阪経済大の堆肥生成サービスもその一つ。安全な堆肥の生成というサービスの持続可能性に加え、実証実験を通じて廃棄野菜のコンポストの量産の可能性を追求した点が評価されたが、農家の負担軽減ならびに地域のゴミ問題にも貢献する。
「きたしん」も地域サービスを重視しており、ぜひ応援したい取り組みである。
【審査委員からのメッセージ】自身のプラン信じて/創晶 代表取締役社長 安達 宏昭
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創晶 代表取締役社長 安達 宏昭
今回は個性あふれる魅力的なプランが多く、プレゼン力も高いことから、甲乙つけがたい内容で、審査員泣かせな面白い大阪大会であった。最終的には質疑応答が結果の優劣に大きく影響したと感じた。審査員からの質疑は応援や後押しの意味合いが強く、支援の言葉であると心得て、加点される対応を期待したい。
考え抜かれた事業プランであれば、自分たちの思いを貫く力があり、審査員の共感につなげて欲しい。自身のプランを信じて力強く推進されることを願う。
【審査委員からのメッセージ】今後の飛躍に期待/エクステンド 市場活動部長 野上 智之
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エクステンド 市場活動部長 野上 智之
このたびのプレゼンでは、ヒトをテーマにした内容が多かったように感じた。
具体的には人材不足や採用の困難さ、現役職員のスキルアップ、親子関係などである。また、健康や医療の問題にフォーカスしたものもあり、まさに現在の日本が抱えている大きな問題である。
日本の人口減少は、社会経済に対してさまざまな問題を引き起こしている。この問題に大学生が真正面から取り組んだプレゼンであり、今後の実社会での飛躍につながる大きな期待を抱いた。
【審査委員からのメッセージ】強い意志と情熱伝わる/ロボリューション 代表取締役 小西 康晴
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ロボリューション 代表取締役 小西 康晴
CVG大阪決勝大会に出場した8チームのプレゼンは、自らのプランに対する強い意志と情熱が伝わる素晴らしいものだった。
厳正なる審査の結果、誰でも手軽に使える科学ツールで世界を変える「5ドル顕微鏡キット」と健康格差のない社会を目指す「お口のテーマパーク」の2テーマが最優秀賞となった。学生らしい自由な発想と社会性の高いプランが目を惹いた。
そのほかのプランでは、高校の教員向け探究学習支援プラットフォーム作成事業など多岐にわたり、非常に魅力的で興味深いものばかりだった。出場した皆さんの今後の活躍を期待している。
【審査委員からのメッセージ】熱意と勢い生かして/大阪産業局 スタートアップ支援事業部 部長 松出 晶子
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大阪産業局 スタートアップ支援事業部 部長 松出 晶子
今回の提案は、身近な課題からグローバルに目を向けた課題まで幅広く、「今」を生きる学生ならではの視点で課題を捉えており、それらの解決に真摯(しんし)に向き合う姿勢が感じられた。
また、試作品を開発しているチームや既に企業と連携しているチームもあり、行動力には目を見張るものがあった。このままの熱意と勢いを存分に生かし、足りないところは周囲の大人の知識などを借りながら、実現に向けて取り組んでほしいと思う。
【審査委員からのメッセージ】もう一歩踏み込みを期待/デロイトトーマツベンチャーサポート 井村 仁香
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デロイトトーマツベンチャーサポート 井村 仁香
人手不足や環境問題などの社会課題をはじめ、自身や身近の人々の課題解決に根差したビジネスイデアの提案が多く、実際ユーザーヒアリングやフィールドワークにより課題調査を行っていたり、実証実験を行っていたり、プロトタイプの開発まで進めていたりと具体性の高い内容であった。
しかし、事業の市場性や継続性、収益性などの観点での検討が甘い部分も多く、実現に向けて、今後はさらにもう一歩踏み込んで検討いただくことを期待したい。