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第26回キャンパスベンチャーグランプリ(CVG)大阪
最優秀賞
【最優秀賞】新しい地平を開く、5ドル顕微鏡キット
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代表のキム・ヒョンウンさん
立命館大学 キム・ヒョンウンさん
奈良先端科学技術大学院大学 キム・ドヒョンさん
神戸大学 イェ・ドンヒさん
5ドル以下で製作できる簡易顕微鏡キットを販売する。東南アジアやアフリカなど発展途上国の過酷な環境下での使用を想定。農業や研究などの分野に訴求する。大麦、米、トウモロコシといった穀物の感染症の原因となる病原菌の識別や無精子症の判別、食中毒菌の検出などといった活用を検討している。
9割程度の部品を3Dプリンターで製造し、ユーザーが直接組み立てる製作キットとして販売することで人件費などの製作費用を抑えた。
一般的な低倍率の顕微鏡やデジタル顕微鏡は、拡大のみに焦点を当てたものが多く、倍率も50を超えるものはほとんどないという。
この顕微鏡はワイヤを介してX、Y、Z軸に0・05ミリメートル単位で精密な操作が可能で、プレパラートに入った内容物を均一に観察できる。50倍、150倍、300倍の三つの倍率の交換式レンズも用意した。スマートフォンのレンズと一緒に使用すれば、最大600倍まで拡大できる。
さらに、観察した内容物をスマートフォンで撮影し、提案者らのソフトウエアに送信すると、顕微鏡のレンズの歪み補正や精子の活性度判定、検出された病原菌の自動判定などのサービスが受けられる。
これらの機能を使えば、農業や医療の専門家でなくても、簡単に判断できる。また膨大なデータが集約できれば生物学の研究などでも活用できる。
緊急時にユーザーがその場で組み立てられることを前提に、プロトタイプを3種類開発している。このうち完成品の価格や組み立ての容易さ、別途道具が不要など、9条件を満たす2タイプを製品化に向け改良を進めている。
大規模農場を中心とした顕微鏡キットの販売や、撮影データの利用料などで収益化を図る。
【最優秀賞】お口のテーマパーク
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多和さん
京都大学大学院
多和実月さん
10歳未満の子どもがいる子育て世代を対象としたオーラルケアの教育事業「お口のテーマパーク」を運営する。
地域の歯科医院や民間企業と共催で、イベントを開催。人生ゲームや工作などの遊びを通じて楽しくオーラルケアを学べる機会を提供する。ワークショップなどの教育プログラムも実施。学校との連携も予定している。
またスマートフォンアプリケーション「LINE」を活用し、オンライン版の教材「お口チャンネル」をリリース。イベント参加者向けの復習や質問の回答用として配信している。
今後はユーザーの口腔(こうくう)ケアの習慣や健康状態に関するデータを収集・分析することで、パーソナライズされたケアを提案できるように開発を進めている。家族間のコミュニケーションや、オーラルケア習慣の記録としての活用も想定している。
提案者自身が歯科衛生士の経験があり、そのことから口腔衛生の重要性と予防習慣を主体的に楽しみながら学べるプログラムを着想するに至った。
すでに関西、関東、四国の10箇所以上でイベントを開催し、累計約900組の家族の参加実績がある。また30歳以下の活動家を対象にしたコミュニティー「お口サークル」を2年以上にわたり運営している。
現在はデバイスと連動した専用アプリの開発も目指している。また2024年度中にパイロットイベントを開催する予定。地域のボランティアや健康促進団体とも協力し、地域に根差した口腔衛生予防を推進する。「子どもたちが遊びを身につけるようにオーラルケアを」をビジョンに掲げ、子どもから親、祖父母へと多世代へアプローチしていく。オーラルケアの習慣化の推進を通じて、健康格差是正を力強く後押しする。
主に歯科医院や企業の協賛、広告費で資金調達を行う。企業の社会的責任(CSR)やCSV(共通価値の創造)の一環として、活用してもらう考えだ。