-
業種・地域から探す
続きの記事
コンプレッサー
排出量取引制度「GXーETS」の本格導入、イラン情勢を背景とする燃料費高騰や電気代上昇の不安などにより、工場における消費電力の多くを占めるコンプレッサーの電力削減が注目されている。アトラスコプコは顧客に最適なコンプレッサーや関連機器の運転方法を提案する各種サービスを含め、コンプレッサー室全体の最適化に取り組んでいる。ここでは同社の体験型デモブース、最新型オイルフリーコンプレッサーの特徴とその導入効果について紹介してもらう。
省エネルギー体験ブース・CO2削減をライブで「見える化」
【執筆】アトラスコプコ コンプレッサ事業本部 オイルフリーエア本部 本部長 山口 裕司
2026年は日本の脱炭素政策において大きな転換点を迎えていると言える。これまでは自主的な取り組みであったものが、政府の法的拘束力を持つ、排出量取引制度「GXーETS」が本格導入される(図1)。対象となる企業は二酸化炭素(CO2)の直接排出量が年間10万トン以上の企業であり、約500社にのぼる企業が所有する大規模工場が該当することとなる。
このことから、工場全体でのCO2排出量の削減は急務であり、工場全体の2ー3割の電力消費先と言われているコンプレッサー電力の削減が、直接的なCO2削減につながると言える。
加えて昨今のイラン情勢を鑑みると、さらなる燃料費の高騰、電気代の上昇が危惧される。このことからも、CO2と電気代の二つの側面から、アトラスコプコはコンプレッサー単体にとどまらず、豊富な省エネルギー製品のラインアップを提案できる体制を整えている。さらに、最適なコンプレッサーや関連機器の運転方法を提案する各種サービスも含め、コンプレッサー室全体の最適化に取り組んでいる。
体験型デモブース
当社は2024年、給油式インバーターコンプレッサー「GA VSDs」と「GA VSD+」を常設展示し、排熱回収(ER)システムの実演が可能なデモブースを開設した。コンプレッサーからの排熱を温水として再利用できる仕組みを、実機で「見て」体感できる場として、好評を得ている。
25年12月には、最新型オイルフリーツースインバーターコンプレッサーを実運転で体験できる「省エネルギー体験ブース」を新たに開設した。ここでは22キロワット・37キロワット機による、リアルタイムの消費電力、吐出空気量、動力原単位(1立方メートル当たりキロワット時)、そこから見込まれる年間電気代とCO2排出量をリアルタイムでモニターから確認できる。これにより、ユーザーが「数字で見る省エネ」を体験できる。 3日間にわたるオープニングイベントでは、当社販売代理店、商社、エンドユーザーを招待し、合計約70人に来場いただいた。
このオープニングイベントでは、効率改善を達成した技術の説明、スタンダード機である「ZT22VSD Std FFID」(22キロワット)、プレミアム機の「ZT37VSD+FFID」(37キロワット)をそれぞれ稼働させ、実際の数値の違いを確認いただいた。デモ運転終了後には、事業所内の見学を行い、緊急の部品出荷に対応するためにストックエリアを拡張し、在庫部品点数を5倍に増やした在庫体制を紹介した。
次世代オイルフリー機への期待
-
写真1 ZT30ー50VSD+シリーズ
■小型オイルフリー需要の高い日本市場
22キロー37キロワット帯の小型レンジは、世界的には給油式が多く使われているが、日本のユーザーはエアの品質に対する要求が強い。特に食品・医薬・半導体・化学といった業界でオイルフリーコンプレッサー需要が高まっている。
本デモブースでは、インバーター機2機種を設置している。その中でも、当社が25年に発売した新型プレミアム効率オイルフリーツースコンプレッサー「ZT30ー50VSD+(30キロー50キロワット)シリーズ」は、小型オイルフリー領域に革新をもたらす新製品として、大きな注目を集めている(写真1)。
■IE5モーター
-
-
写真2 自社製高効率永久磁石モーター
同製品の大きな特徴は、当社従来型の機器と比較して平均15%の動力原単位を改善した点にある(図2)。低圧圧縮部、高圧圧縮部をそれぞれ独立した自社製ウルトラプレミアム効率(効率等級IE5)油冷式永久磁石(IPM)モーターとインバーター盤でコントロールすることにより、実現している。
自社製モーターとインバータードライブユニットとの組み合わせによるコンプレッサー専用設計によって、幅広い回転数領域でのスムーズな運転を実現している(写真2)。
■スマートアルゴリズム
一般的な二段圧縮式コンプレッサーは、1台のモーターの回転を増速ギアで伝達し、低圧段と高圧段の各圧縮部を同時に駆動する仕組みとなっている。この方式では、インバーター制御により出口空気圧力を一定に保つが、各圧縮部の回転数比率が固定されているため、負荷変動時に最適な圧縮効率を維持することは難しい。
同製品は、出口空気圧力に加えて低圧段と高圧段の中間空気圧力も検知し、二つのモーターの回転数を相対的に加速または減速させる当社独自のスマートアルゴリズムを採用した。
このアルゴリズムにより、あらゆる回転数領域で両段の圧縮バランスを維持し、コンプレッサーユニット全体としての効率向上を実現した。他に主な製品特徴として、①100%オイルフリー②冷却ファン不要の油冷式モーター③安定した圧力下露点のドライヤー内蔵オプション④騒音値の減少⑤コンパクト設計ーなどが挙げられる。
また、同製品は日本産業機械工業会汎用圧縮機委員会の25年度優秀製品賞に選出され、社外からも高い評価をいただいた。
