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コンプレッサー
産業用コンプレッサーは幅広い産業に活用されている。一方でその電力消費の割合は多く、脱炭素社会を実現するにはエネルギー効率の向上や環境負荷の低減が欠かせない。コンプレッサーメーカー各社は、環境にやさしいコンプレッサーの開発を進めている。ここではモーター高効率化、温室効果ガス(GHG)への影響が少ない冷媒の採用、デジタル化によるメンテナンスや予防保全など、業界の動きを紹介する。
AI・IoT活用-進む「スマート化」
デジタル化とIoT技術の活用
産業用コンプレッサーのデジタル化により、IoT技術やAI(人工知能)を活用した「スマートコンプレッサー」の市場が拡大している。社内ネットワークやクラウド上でデータを管理することで、工場の異なる拠点や複数のコンプレッサーの運転状況をリアルタイムにスマートフォン、タブレット、パソコンから遠隔監視することが可能だ。これによりユーザーとコンプレッサーメーカー、サービス会社でコンプレッサーの稼働状況、保守点検情報を共有し、メンテナンスや予防保全が行える(当社では同様のサービスをZ-mateⅡやZ-Cloudという名で提供している)。
近年、日本をはじめとする多くの国で労働人口の減少が深刻な課題となっている。少子高齢化の影響で労働人口が減少し、多くの業界で人手不足が顕在化している。コンプレッサー業界でもこれを解決する一つの手段として、メンテナンスや予防保全にAIの活用が期待されている。
コンプレッサーの台数や容量、運転状況はユーザーによって異なる。ユーザー個々の運転状況をリアルタイムで監視して、蓄積されたビッグデータをAIで解析することで運転状態を最適化し、運転コストの削減が可能となる。また予測分析を活用することで故障やメンテナンスの予兆を早期に検出し、ダウンタイムの最小化を図れる。
これにより、設備の長寿命化が実現し、全体的な運転効率がさらに向上する。ある調査では、コンプレッサーに使用されているモーター軸受の予兆検知を行うことで異常をいち早く検知し、生産ラインのダウンタイム回避により数億円の損失の回避ができるとの試算もある。
おわりに
コンプレッサーはかつて過酷な環境下で使用されることが多く、クリーンなイメージとは程遠い存在だった。それが近年ではオイルを使用しないオイルフリーコンプレッサーが一般的となり、食品や医療、電子部品など、より幅広い産業で活用されている。空気を圧縮する際に発生する排熱の再利用や、水素コンプレッサーとして再生可能エネルギー由来の水素を利用する技術も注目されている。
冒頭で述べたように、産業界におけるコンプレッサーの電力消費の割合は多い。そのため脱炭素社会を実現するにはエネルギー効率の向上や環境負荷の低減による、やさしいコンプレッサーの存在がますます不可欠となっている。
当社はこれからもコンプレッサーにおけるその時代の「あるべき姿」を追求していく。
本社主催 4展示会
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最新技術を見ようと多くの人が訪れる
(前回のMF-TOKYO)
日刊工業新聞社は7月までの間に、主催・共催で以下の展示会を開く。
5月14日から16日までマリンメッセ福岡(福岡市博多区)で開催する。234社・団体が食品加工機械や厨房機器、生産設備を展示する。
6月4日から6日まで愛知県国際展示場(愛知県常滑市)で開催する。次世代エネルギーやスマートシティーに関する技術が集まる。217社・団体が出展する。
●MF-TOKYO(プレス・板金・フォーミング展)
7月16日から19日まで東京ビッグサイト(東京都江東区)で塑性加工技術の国際展を開催する。268社・団体が出展する。
●未来モノづくり国際EXPO(同時開催:はたらく現場の環境展ほか)
7月16日から19日までインテックス大阪(大阪市住之江区)で開催する。モノづくり基盤技術やロボット、先端テクノロジーが集まる。
*出展者数は4月10日時点のもの。展示会詳細は各展ホームページで。