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コンプレッサー
産業用コンプレッサーは幅広い産業に活用されている。一方でその電力消費の割合は多く、脱炭素社会を実現するにはエネルギー効率の向上や環境負荷の低減が欠かせない。コンプレッサーメーカー各社は、環境にやさしいコンプレッサーの開発を進めている。ここではモーター高効率化、温室効果ガス(GHG)への影響が少ない冷媒の採用、デジタル化によるメンテナンスや予防保全など、業界の動きを紹介する。
高品質エアー「グリーン冷媒」へ転換図る
環境規制と対応
環境への配慮が進む中で、二酸化炭素(CO2)排出量削減を目指す技術や、冷凍式ドライヤーについてのエコフレンドリーな冷媒の使用が重要な動向となっている。
コンプレッサーで供給される圧縮空気には、潤滑流体の種類や圧縮の過程により、オイルや水を含有している。その程度は「エアの品質」という言葉で表現されることがある。コンプレッサーは「エアの品質」を確保するため、空気に含有している水分を析出させ空気を乾燥させる必要がある。そのためドライヤーの存在が不可欠で、一般的にドライヤー内蔵型コンプレッサーや別置き型ドライヤーが使用されている。
ドライヤーにはその乾燥方法によりさまざまな種類があり、その一つに冷凍式ドライヤーがある。冷凍式ドライヤーは空気との熱交換に冷媒を使用するが、GHGとして排出量規制の影響を受けてきた。フロン冷媒規制の国際的な流れとしては、モントリオール議定書により、オゾン層を破壊するCFC(クロロフルオロカーボン)、HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)などのいわゆる「特定フロン」から、オゾン層を破壊しないHFC(ハイドロフルオロカーボン)などの「代替フロン」へと推移している。
冷凍式ドライヤーにはHFC系のR134aやR410Aが使用されているが、HFCも温室効果への影響は高く、地球温暖化への影響が懸念される。そのため、温室効果への影響が少ない種類の冷媒やHFO(ハイドロフルオロオレフィン)などの「グリーン冷媒」へ転換する動きが出ている。
温室効果の大きさは地球温暖化係数(GWP)という指標で表現され、ドライヤーメーカーでは低GWP冷媒(R32、R1233yfなど)の対応に向けた動きが活発化している。ただ低GWP冷媒はHFCと比べると普及率に差があるため、まだまだ高価であることが課題だ。
地球環境の変化と対応
近年の異常気象により季節外れの気温上昇や、夏季の最高気温の更新などコンプレッサーの運転環境としては厳しさを増しており、冷却能力の低下や機器の負荷増大が懸念される状況となっている。
もとよりコンプレッサーは高温や塵埃の多い過酷環境下で使用されることも多く、電装部品の早期劣化やクーラー目詰まり・配管部品腐食など製品寿命を縮める可能性がある。その中でも安定的に運転するため、構成機器の耐久性の向上や冷却能力の改善が必要となる。