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千葉市産業
飛躍する千葉市の優良企業-2
大森工業/溶解炉・保持炉 製造・据え付け 部品内製化で高品質維持
大森工業(千葉市花見川区、阿部光雄社長)は、工業用の溶解炉と溶解保持炉の設計から製造、据え付けまでを手がける。強みは中核部品である鉄製の釜を含めて、ほぼ内製化していることや、メンテナンスまでカバーしている点だ。これにより高い品質を維持でき、安定的な受注につながっている。
主に自動車のエンジンやミッションなどのアルミニウム合金の部品と、自動車用ハンドルやパソコン筐体(きょうたい)などのマグネシウム合金の溶解向けに供給している。ファーネス事業部の東京事業所(川崎市高津区)と、名古屋事業所(名古屋市港区)の2拠点体制で事業を運営する。自動車業界はグローバルに事業を展開していることから、海外の据え付けなどにも対応している。
自動車の電動化が進むと需要の減少が懸念されるが、競合他社が炉事業を縮小しているほか、メンテナンスが収益の安定化に寄与している。社会を挙げてカーボンニュートラル(温室効果ガス〈GHG〉排出量実質ゼロ)に取り組む中、二酸化炭素(CO2)の排出量を削減できる新型炉の開発も進める。
DSデンタルスタジオ/歯科のインレー生産性向上 AIソフトで精密デザイン
DSデンタルスタジオ(千葉市美浜区、草深多計志社長)は、日本で初めて、人工知能(AI)でデザインするインレー(歯の部分的な詰め物)の受注を始めた。歯科医院・歯科技工所を対象としたもので、歯科補綴物をAIでデザインするソフトウエアを活用する。インレーの口腔内スキャナー利用が保険適用になったこともあり、クラウン(単独歯)やブリッジ(連結歯)などを含めて月間5000本の受注を目指す。
使用するソフトウエアは米グライドウェル(カリフォルニア州)の「ファイナル・タッチ」。DSデンタルスタジオと日本での独占販売契約を締結。
インレーのデザインには精密で高度な技術が必要とされ、歯科技工士がCADでデザインするには10分間以上を要するが、同ソフトウエアを使用すると1分間以内に短縮できる。その後、人手による微修正が可能で、完成度を高められる。発注はネット上の窓口から歯型のデジタルデータを送ることも可能。デザインデータもしくは完成品を納品する。歯科技工所の生産性向上と人手不足の緩和につなげる。
モノベエンジニアリング/操作性・機能向上、商品力強化 緊急用浄水装置を拡販
モノベエンジニアリング(千葉市花見川区、物部長智社長)は、災害時に生活用水を造水する「モノMAX緊急用浄水装置」を拡販する。千葉市の「トライアル発注認定事業」の商品として認定された信頼性を訴求。また千葉工業大学の長尾徹教授と共同で筐体(きょうたい)デザインを刷新した。今後も操作性を含めたデザインや機能の高度化を進め、商品力を強化して販売に結び付ける。
生活用水を1時間当たり2000リットル造水できる。能登半島地震では装置に使用されているバネ式フィルターで濾過した水が、石川県輪島市や同七尾市の避難所で洗濯や温水シャワー、足湯などに活用された実績がある。自治体に加え、老人ホーム、集合住宅を中心に販売する。
バネ式フィルターは隙間が60マイクロメートル(マイクロは100万分の1)のバネに、平均粒径が30マイクロメートルの珪藻土(けいそうど)で膜を形成し、この隙間に外側から流体を送り込んで濾過するもの。
フィルター本体は流体を逆流させ、バネに詰まった汚れを取り除ける。耐食性のステンレス製のため、半永久的に使用できる。