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千葉市産業
飛躍する千葉市の優良企業-1
物価の高止まりに加え、人手不足など景気の先行きに不透明感が漂う中でも、自社の強みを生かした新商品開発や新規事業、組織体制の強化などで、ピンチをチャンスに変えようとする企業が千葉市には少なくない。そのような持続的な成長を目指す企業の展開を特集した。
吉野機械製作所/板金曲げ加工ロボのティーチングレス実現 完全自動曲げシステム発売
吉野機械製作所(千葉市緑区、吉野友章社長)は、板金曲げ加工における産業用ロボットのティーチングレスを実現した「完全自動曲げシステム」を発売した。図面や金型データを基にソフトウエアが曲げる順序を提示した上でロボットの軌道を自動生成し、同社のプレスブレーキで加工。複数回の曲げが必要な複雑形状で作業者が曲げ順を判断する必要がなく、経験の浅い人でも正確に加工できる。建材メーカーなどの導入を見込む。
加工前に3次元(3D)シミュレーションし、機器間の干渉の有無やロボットの軌道を確認できる。ティーチングペンダントによる教示には3、4日かかるが、同システムではロボットの動作修正を含め数時間程度で完了する。
ACサーボプレスブレーキ「YSP200-30」は加圧能力200トン、曲げ長さ3000ミリメートル。油圧式に比べて消費電力を4分の1に低減できる。ロータリー式の金型交換装置を搭載し、10秒弱で金型交換が完了する。
吉野社長は「ロボットの教示を不要とし、多品種少量生産や複雑加工を完全自動化できる」と説明する。
ハイテック精工/プレス機用金型外排出コンベヤー 空気圧で駆動、防爆環境に対応
ハイテック精工(千葉市花見川区、熊谷正喜社長)は、大型板金プレス機で打ち抜いた製品やスクラップを、金型外に排出するコンベヤーを発売した。空気圧で駆動することから、油や切り粉などによる電気関連の事故を防げ、防爆環境にも導入可能だ。自動車部品の生産工程での使用を想定している。価格は約50万-100万円。累計で30台を販売しており、2025年3月末までに50台の販売を目指す。
「大型エアーコンベヤ」は仕様変更を前提にした標準機で、ベルト幅500ミリ-700ミリメートル、長さ1500ミリ-2500ミリメートルまでそれぞれ対応できる。高さが65ミリメートルと低いため、プレス機の下金型を小型化でき、コストダウンにもつながる。可搬重量は15キログラム。
ワーク(加工対象物)の自重ではなく、空気圧で強制排出することから、排出口にワークがつまることによる金型の破損も防げる。ドアパネルやボンネット、トランク、シート材などに加え、塗装や粉体、建材関連の産業にも販売を進める。標準機は自動化システムを構築する際の要で、単体での需要もある。
アイ・メデックスホールディングス/事業会社の技術融合、連携強化 グループシナジーを発揮
アイ・メデックスホールディングス(HD、千葉市花見川区、市田誠社長)は、事業会社のアイ・メデックス(千葉市花見川区)と、三恵(同)の連携強化に着手した。アイ・メデックスの電子機器技術と、三恵のアナログ技術を融合し、イノベーションをおこす商品開発につなげる。人材交流を始めており、海外拠点の有効活用を含めてグループシナジーを最大限化する。
まず三恵が国内外に持つ強力な販売ルートを活用してアイ・メデックスと三恵の商品を拡販。両社の部材調達先と外注先を共有化し、製造できる商品の幅も広げる。アイ・メデックスの品質管理責任者が三恵に転籍するなど人材交流をスタートしており、品質管理体制の強化やデジタル変革(DX)化などを挙げて進める。
今後、血圧計とその部材を製造する三恵のインドネシア工場に商社機能を持たせ、両社の商品や、医療・福祉機器以外を含めた他社商品を東南アジアで拡販する。
生体電極メーカーのアイ・メデックスは6月に三恵を完全子会社化。8月に両社を事業会社とする持ち株会社制に移行した。
NTTe-Sports/eスポーツとデジタルスキルを学ぶ 通信制サポート校、来春開校
NTTe-Sports(東京都新宿区、原田元晴社長)は、eスポーツとデジタルスキルを学ぶ通信制サポート校「NTTe-Sports高等学院」を2025年4月に千葉市内で開校する。通信制高校やサポート校を運営するディー・エヌ・ケー(同武蔵野市)と連携し、高卒資格取得を支援する。
教室には高性能ゲーミングパソコンを1人に1台配備する。eスポーツのゲームスキル向上に加えてイベント企画やビジネス創出などを学び、業界で活躍できるスキルを身につける。デジタルスキル学習では動画やゲーム制作、通信、インターネットなどeスポーツに関連するスキルを学べる。イベント運営会社やゲーム制作会社による講話やNTT東グループ各社への就業体験も実施。資格取得や進路開拓を支援する。
伊田英正担当課長は「eスポーツを入り口に生徒の得意な分野を伸ばし、社会が求めるデジタル人材に育てたい」と話す。
放課後や休日は教室を地域に開放し、小中学生向けプログラミング教室、千葉市と連携したeスポーツイベントの開催を検討するなど地域の集いの場を目指す。