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第10回ものづくり日本大賞
「ものづくり日本大賞」は、日本の製造業において革新的な技術や優れた技能、社会的価値の高い取り組みを行った個人・団体を顕彰する政府主導の表彰制度。第10回の受賞者が選定され、3月25日に内閣総理大臣表彰などが首相官邸で行われたほか、また全国では地域ごとに各賞の授賞式が開かれた。環境対応、デジタル化、地域活性化といった多様なテーマを包含しながら進化する取り組みが、国内外で今後も重要な役割を果たしていくことが期待されている。
グローバルな競争力を支える人材顕彰
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内閣総理大臣賞を受けたナカシマヘルスフォースの高橋広幸氏ら(高橋氏は左から3人目) -
全国から授賞式にかけつけた受賞者
同表彰事業は2005年に創設され、経済産業省、国土交通省、厚生労働省、文部科学省が連携し実施されている。企業規模や業種を問わず、製造・生産現場の中核を担っている中堅人材や、伝統的・文化的な「技」を継承してきた熟練人材、今後を担う若年人材まで、ものづくりに携わっている各世代の人材を対象としている。
現場で活躍する技能者や大企業から中小企業まで光を当て、「現場発」の価値を社会全体で共有する役割も担っている。
第10回目を迎えた今回は、内閣総理大臣賞として8件25人が選ばれた。政府は首相官邸で高市早苗首相が出席した表彰式を実施し、受賞者の栄誉をたたえた。高市首相は「積極的な投資を通じた技術の社会実装を進め、さまざまな社会課題の解決に貢献してほしい」とエールを送った。
これに加えて経産省関連では経済産業大臣賞13件(58人、1団体)、優秀賞22件(111人)が受賞。同時に行われた表彰式で赤沢亮正経済産業大臣はヘルスケアや防災など今回の受賞事例を取り上げながら「現場のすりあわせの技術、人工知能(AI)の組み合わせなどが多く、これらはわが国のものづくりが再び輝くためのまさにカギとなる」と強調。受賞者に対して、「力を合わせて世界を変えていこう」と呼びかけた。経産省関連では全国から247件の応募が集まった。
このほか、国交省関連で3件5人、厚生労働省関連では卓越した技能者(現代の名工)の表彰受賞者の中から1人と技能五輪国際大会金メダリスト5人が受賞。文科省関連では文化を支えるものづくり分野から1件が選ばれた。
国交省関連で受賞したのは、竹中工務店と竹中土木の舟川将史氏ら3人による「汚染地盤の加温式原位置高速バイオ浄化技術」。地盤中の微生物活用などによる汚染地盤対策技術で、従来に比べてコストとCO2排出量を大幅に削減できる。
ものづくりの担い手の強さ体現
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首相官邸で行われたものづくり日本大賞表彰式であいさつする高市早苗内閣総理大臣
3月25日に首相官邸で開かれたものづくり日本大賞内閣総理大臣賞表彰式には高市早苗首相が出席した。今回で記念すべき第10回を迎え、高市首相は受賞者に対し、「現場で培われるノウハウ、顧客満足への妥協を許さない姿勢など、日本が誇るものづくりの強さを体現している」と評した。
また、「日本に徹底的に不足しているのは資本投入量だ」とし、「責任ある積極財政の下、事業者が大胆な国内投資を進めていける環境を整える」と宣言。「積極的な投資を通じた、『技術の社会実装』を進めて、さまざまなリスクや社会課題の解決に貢献いただくとともに、さらなる技術革新への挑戦や将来を担う後進の育成にも一層尽力いただきたい」とお願いし、お祝いの言葉を述べた。
積極投資通じた「技術の社会実装」を
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表彰式に先立ち、3月初旬に日本科学未来館(東京都江東区)では「第10回ものづくり日本大賞展示会」が開かれ、一般に向けたパネル展示が実施された
表彰式に先立ち、3月初旬に日本科学未来館(東京都江東区)では「第10回ものづくり日本大賞展示会」が開かれ、一般に向けたパネル展示などが実施された。革新を続けている日本のものづくり技術の紹介に、多くの来場者が足を止めた。
展示会では経済産業省関連で内閣総理大臣賞を受賞した福井経編興業ほか3団体の髙木義秀氏ら7人による「異業種間連携と歴史ある技術の組合せによる革新的な医療材料の開発」や、ナカシマヘルスフォースの高橋広幸氏ら6人による「世界初!金属3Dプリンターによる骨質を制御可能とする脊椎スペーサーの開発・製品化」を含む37件が展示された。
髙木氏ら7人により開発された医療材料は、体内で吸収される糸と吸収されない糸を特殊な方法で編んだ心臓・血管修復パッチで、患者の負担を軽減する悲願の製品となった。
