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アキバ 計測器物語/樹のぬくもりとビンテージ計測器
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バーカウンターにはオシロや岩崎通信機のオシロリーフレット(左上部)が並ぶ
東京・秋葉原で米ウェスタン・エレクトリックのテスターなどヴィンテージ計測器が並ぶ計測器バー「Gauge(ゲージ、東京都千代田区外神田1―3―12)」を、東洋計測器が開業して7年目を迎える。ゲージのカウンターやテーブルは、1本のミンディの樹を使用。樹のぬくもりと、ビンテージ計測器とともに楽しいひとときを過ごせる。
東洋計測器の八巻秀次社長は「アキバで育ったことへの恩返し。ヴィンテージ計測器に囲まれながら、おいしい料理と心地よい音楽を楽しめる場所を提供したかった」と開業時を振り返る。
オシロスコープをはじめとする計測器はエレクトロニクスなどのモノづくりに欠かせないマザーツール。時代の移ろいとともに、計測器も進化を遂げている。「計測器は時代を映し、主役ではないがモノづくりの開発を支えてきた。ビンテージ計測器が果たした役割は大きい」と、八巻社長は強調する。
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路面から名機が楽しめた計測器ヒストリー館
こうした中、「エンジニアが苦労して開発した計測器を知ってほしい」(八巻社長)の思いから、約20年前に国内外のビンテージ計測器を集めた「計測器ヒストリー館」を計測器ランド店舗内にオープン。路面から、古の名機を眺める事ができた。
八巻社長の熱意が伝わり計測器メーカーだけでなく、計測器を使用するエンジニアが名機を寄贈。計測器メーカー日本法人社長は、米本社で目にしたビンテージをハンドキャリーで届けた。計測器を使用するエンジニアは、保持していた計測器を寄付するなどし、昭和初期から戦後の復興期にかけて各産業で活躍した国内外約200台のビンテージ計測器がそろう。
計測器ヒストリー館は、2020年にオンライン配信用の撮影スタジオ「AKIBA NET STUDIO」に生まれ変わり、計測器や測定手法を伝えている。
八巻紋子ゲージ店長は「開業から多くの人に愛される店に成長した。入店のしやすさからか海外からも来店される。チェコスロバキアから毎年、来店を楽しみしてくれているお客さんも、ビンテージ計測器を寄付してくれた」と喜ぶ。ビンテージ計測器は往年のエンジニアや来店者を静かに見守っている。