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埼玉県川口市
埼玉県川口市が市制施行90周年を迎えた。人口は60万人を超え、全国62市ある中核市の中で千葉県船橋市に次いで2番目に多い。埼玉県でも県庁所在地さいたま市に次ぐ規模。荒川を挟んで東京都に隣接する地理的な好条件もあり、古くから鋳物や機械の製造が盛んな街でもある。現在では高層マンションも増え、民間の住みやすい街ランキング調査では、連続1位を含め高順位を獲得している。2024年4月には川口商工会議所と鳩ケ谷商工会の統合も予定されており、産業振興施策のさらなる充実も期待されている。
金融機関一押し 個性派・実力派企業7社 -2-
アドバンスジャパン/歯科医院向け吸引装置 業容拡大
アドバンスジャパン(埼玉県川口市、古山裕社長)は、歯科医院向けの吸引装置を手がける医療機器メーカー。医療機器製造業登録と、全ての医療機器を流通できる第一種医療機器製造業許可を取得。許認可を生かし、海外から仕入れた医療機器の輸入代行も行う。自社の優位性について古山社長は「許認可の取得と維持は難しいが、参入障壁が高く同業が少ない」と話す。
古山社長は同業他社で営業・技術担当として10年勤務した後、2012年にアドバンスジャパンを設立。前職の知識を生かして歯科医院向け吸引装置を自社開発し、事業を軌道に乗せた。業容拡大に伴い、5月に同県松伏町に工場を稼働し、7月には神田営業所(東京都千代田区)を開設した。
次の展開として医師のウイルス感染対策につながる新たな吸引装置を開発中。国内での発売後、東南アジアなど海外進出を視野に入れる。「現地に技術提供し、メンテナンスを外部委託した上で5年以内に挑戦したい」(古山社長)とする。
埼玉縣信用金庫 川口朝日支店 阿部 勇二郎 支店長
当初は医療機器における特許を生かして事業開始しその後拡大中。今後も同社の事業展開に貢献していきたい。
アイゼン・ソリューション/地域密着 システム受託開発
アイゼン・ソリューション(埼玉県川口市、関秀樹社長)は、システム受託開発を手がける。金融業界に多くの顧客を抱えるほか、人事給与システムなどの基幹システムを得意とする。また、子ども向けプログラミング教室や保育園向けの管理システムなど地域密着型の事業も展開している。
プログラミング教室は公立小学校のプログラミング教育必修化に先駆け、2019年に開始。同社のシステムエンジニアが講師を務め、パソコン画面上のキャラクターやロボットを動かし、遊び感覚で問題解決力や思考力を身につけられる。
保育園や幼稚園向けに園児の入退室や給食注文履歴を管理するシステムを開発し、市内の保育園1園に導入済み。要望に応じて機能追加などを個別に対応し、採用実績を増やしたい考え。
今後は主力の大企業向けに加え、「地元に還元できるシステムを開発したい」と関社長。教員を対象とするIT研修、商店街向けの決算書作成システムなどを計画している。
川口信用金庫 本店営業部 松本 道和 部長
大手企業と取引をしながらも、地元川口へのこだわりに共感。今後も積極的に支援し、ともに発展したい。
協和合金/金型・受託加工 少量多品種強み
協和合金(埼玉県川口市、松本修一社長)は、金型設計から製作、ダイカスト鋳造の一貫生産による少量多品種対応を強みとする。金型設計はコンピューター利用設計・製造(CAD/CAM)で自動化しつつ、職人の手による製造にこだわる。空圧機器部品や自動化装置の接合部品などを手がけ、「製造業を支える縁の下の力持ち」(松本社長)を自負する。
本業の受託加工に加え、アルミダイカスト製スターリングエンジンの設計開発にも取り組んでいる。小型発電機付きの卓上模型は累計2000台、教育用の組み立てキットは年間100セットの販売実績がある。
同エンジンは外部からの加熱のみで動力を生み出す外燃機関。2011年の東日本大震災で小型発電機として再評価された。
研究団体との連携を通じて大学や企業OBと接点ができ、設計ノウハウは本業にも生かされている。同エンジンの原理を用いた自社製品を完成させ、自社の技術力を象徴する「広告塔」に位置づけたい考えだ。
青木信用金庫 江戸袋支店 藤波 正人 支店長
金型から鋳造まで一貫製造する高い技術力が強み。環境対策や産学連携にも意欲的な同社を今後も支えていく。