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富山県産業界
自社の持ち味を生かす 社会的責任果たす
【ごあいさつ】 富山県知事 新田 八朗
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富山県知事 新田 八朗
富山県は、豊富な水資源と電力、三大都市圏からの交通の利便性など優れた立地環境に支えられ、医薬品などの化学やアルミなどの金属、機械・電子部品など、先端技術を有する多くのものづくり企業が立地している、日本海側でも屈指の工業集積を有する製造立県です。
近年、少子高齢化・人口減少などの課題に加え、激甚化・多発化する自然災害やエネルギー価格・物価の高騰などにより、社会経済情勢は大きくかつ急速に変化しています。
県では、さらなる経済成長の好循環に向け、「富山県ものづくり産業未来戦略」に基づき、強みである優れた技術や産業集積を活かしながら、新製品の開発やサーキュラーエコノミーの推進による製品の高付加価値化、人材の育成確保などに積極的に取り組んでいるところです。
今後とも、富山県で暮らす人も訪れる人も幸せを実感できる、「幸せ人口1000万~ウェルビーイング先進地域、富山~」の実現を目指してまいりますので、皆様のご支援、ご協力をお願いいたします。
かつてないほどの地政学リスクが存在する現在。金融経済への影響だけでなく、エネルギーや原材料の価格を不安定にする要因となっている。そのリスクは先進国の軍事費も増大させており、さまざまな点で経済への影響が大きい。それに加え、アメリカの関税問題が関係国の経済を揺さぶり、さらに混迷を深めている。部品や原材料を輸入する企業、製品を輸出する企業、どちらの立場でも先行きを見極めることが困難な状況が続く。こうした厳しい状況の中でも富山県の企業はくじけない。企業としての社会的責任を果たすべく、自社の持ち味を生かした取り組みを継続し、成長へとつなげている。
再生エネで地域の脱炭素化に貢献
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加賀市内の農業用ため池(琵琶ケ池)に設置する水上メガソーラーのイメージ図
北陸電力は再生可能エネルギーの導入をさらに加速し、地域社会の脱炭素化を積極的に推進する。特に自社の強みである水力発電のさらなる活用を進める。2030年代早期に再生可能エネルギーの開発量を100万キロワット以上上積みする目標を掲げ、水力発電所の新規開発5カ所、全面更新10カ所を計画。最近では、鶴来古町水力発電所(石川県白山市)を新設。白山水力発電所(同)と馬場島水力発電所(富山県上市町)は水車や発電機などを全面更新。栃尾発電所(岐阜県高山市)は出力を増強した。今後も地域の脱炭素化に貢献すべく、北陸地方の豊かな水資源を活用し、年間発電電力量の増加と二酸化炭素(CO2)の年間排出量削減にまい進する。
一方で太陽光発電を活用したオフサイトPPA(電力販売契約)の拡大を通じて、再生可能エネルギーの地産地消も推進する。最近では、加賀ふるさとでんきと連携し、加賀市内の琵琶ケ池に水上メガソーラーを設置する計画を発表。26年3月1日から加賀市庁舎や小中学校などの公共施設に再生可能エネルギー由来の電力を供給する予定だ。その他、加賀東芝エレクトロニクスや富山第一銀行の5カ所の営業拠点、アイシン軽金属本社工場に対し、隣地や遠隔地に設置した太陽光発電所から再生可能エネルギー電力を供給している。
新技術で環境負荷低減
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YKK APが実証を行う窓発電の実験場(羽田イノベーションシティ敷地内)
YKK APは、ビル窓用の建材一体型太陽光発電(BIPV)の製品化に向け、技術開発を加速している。3カ所目の実証実験を4月に開始し、内窓と外窓に設置したガラス型ペロブスカイト太陽電池で発電量の違いを計測。異なる透過率や、シリコン太陽電池との発電比較、垂直な窓と屋根上に設置した場合の違いなどもデータを解析する。第1弾はビルのFIX(固定式)窓のカーテンウオールを想定し、26年度末の発売を目指す。
実証実験は羽田イノベーションシティ(東京都大田区)敷地内での約半年間。内窓は外窓と比べて施工やメンテナンスがしやすく、紫外線や雨風をしのげる。断熱性や遮音性が高い利点もある。今後は課題である耐久性の確保やコスト調整を進め、停電時など非常時の電源活用も検討する。
暮らしの中でCNに貢献
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新たなアルミ樹脂複合窓「エスティナ」
三協立山はアルミニウム樹脂複合サッシの基幹シリーズ2種を集約した高断熱スリム窓「エスティナ」を8月に発売する。
住宅に対する省エネルギー化のニーズ拡大を受け、機能性を追求。複合窓のフラッグシップ(旗艦)モデルとして、断熱等性能の等級「6」に対応する。複層ガラスを採用し施工性やコスト性を向上させ、独自の設計手法でデザイン性を高めた。強風や豪雨に対する耐久性能も強化した。
エスティナは建築コストを抑え提案力を強化する。従来のアルミ樹脂複合窓ではトリプルガラスで実現していた断熱等性能の等級6を複層ガラスで実現。一戸建ての約15窓分でトリプルガラス仕様の価格が約250万円であるのに対し、複層ガラスは120万―150万円程度となる。
50年のカーボンニュートラル(CN、温室効果ガス排出量実質ゼロ)に向け、「住宅市場が縮小する一方で開口部の役割は大きくなる」(豊岡史郎三協アルミ社長)と見る。10年ぶりに新たな基幹サッシを投入し「暮らし方の多様化、断熱性能と快適性の顧客ニーズに対応する」(同)考えだ。
