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TECHNO―FRONTIER2024(2024年7月)
エレクトロニクスとメカトロニクスに加え、生産技術に関連する領域の最新技術と製品が集結した展示会「TECHNO―FRONTIER2024」が、24日から26日までの3日間、東京ビッグサイト東展示棟で開かれる。主催は日本能率協会(JMA)。電源やモーターといった要素技術、電磁環境適合性(EMC)対策などのソリューションや技術のほか、スマート工場によるカーボンニュートラル(CN、温室効果ガス排出量実質ゼロ)など、展示やセミナーを通じて横断的に幅広く紹介される。また「メンテナンス・レジリエンスTOKYO2024」が同時開催される。開場時間は10時から17時まで。入場は事前登録(無料)が必要。
電子・機械部品22専門展―最先端が競演
EV展示シンポ開催
TECHNO―FRONTIERは電子・機械部品などに関連する領域の最新技術や製品、サービス、システム、生産技術が紹介され、主催者企画やシンポジウム、電気自動車(EV)の実機展示などが行われる。
EVは中国の大手スマートフォンメーカーの小米科技(シャオミ)が、3月28日にEV進出の第1弾として発売した「SU7」を実機展示する。
同展は「第39回電源システム展」「第42回モータ技術展」「第33回モーション・エンジニアリング展」「第37回EMC・ノイズ対策技術展」のほか、「第17回メカトロニクス制御技術展」「第3回パワーエレクトロニクス技術展」など22の専門展やパビリオンで構成される。
モーター技術を核に電動・駆動・伝達・制御・計測・ソフトウエアの要素技術、生産技術、EMC/熱対策技術などが紹介され、国内外から465社・団体、904小間が出展。研究開発や設計に関わるエンジニアなど4万人の来場を見込み、展示会に合わせて新製品や参考展示品、新技術・サービスが披露される。
電源システム展
電源システム展は医療機器や産業機器に搭載される電源機器や電源モジュール、カスタム電源に加え、EVや車載部品などの開発に欠かせない安定化電源や電子負荷などが出品される。
インバーターやパワーコンディショナー、DC/DCコンバーター(直流昇・降圧変換部品)、オンボードチャージャー(OBC)など電力変換のほか、リチウムイオン電池(LiB)などの評価試験など省エネルギーに関する提案が行われる。電動化は自動車だけでなく、建機や農機、船舶、航空機と広がりを見せる。こうしたモビリティーの動きに加え、EVやプラグインハイブリッド車(PHV)用の急速充電器、V2H(ビークル・ツー・ホーム)、V2B(ビークル・ツー・ビルディング)は大容量・高電圧化の要求が高まっている。
こうした中、安定化電源や電子負荷はエレクトロニクスの進化を支える重要な電子測定器の一つ。研究開発や生産、産業機器の組み込み用途など幅広い需要に応えている。
安定化電源や電子負荷は直流(DC)と交流(AC)のモデルがある。電子負荷は電流や電圧を自由に変え、多様な負荷を与えることができる。近年は安定化電源と電子負荷を1台に集約した「双方向安定化電源」が登場し注目を集めている。
また「回生」機能の搭載が進んでいる。電子負荷などが受け取ったエネルギーを商用の電力に変換し、工場など構内の照明や冷暖房用のエネルギーとして利用できる。省エネルギー化や二酸化炭素(CO2)排出抑制に貢献する。
モーション・エンジニアリング展
モーション・エンジニアリング展はあらゆる機器と装置のドライブ・コントロールに関する最新の要素技術と、最適なソリューションの専門展示会。
モーションメカニズムや機械要素、アクチュエーター、モーション制御、モーションセンサー、軸受や歯車、位置決めユニット、ボールねじなどの駆動・伝達・制御に関し「高精度」「高効率」「高機能」を実現する技術と製品が出品。さらに部品の状態を数値の見える化で予兆検知する技術やサービスを通じて、最先端の自動化に関する情報が発信される。
モータ技術展
モータ技術展は精密機器から産業機械まで、あらゆる分野・用途に不可欠な最新モーター・ドライブ技術と最適ソリューションが提案される。特に高速道路向けサーボアンプや鉄道向けの圧縮機器用インバーター、病院向け加熱カート用小型インバーターなどが出品されるほか、産学連携の研究開発で培った高効率電力変換技術が紹介される。
モーターの効率レベルは国際電気標準会議(IEC)で規定されており、世界各国で普及する製品を決める効率規制が行われている。日本で普及する汎用モーターは、2015年に開始した規制の「IE3」レベル。主要モータメーカー各社は2段階上となる〝ウルトラプレミアム効率〟と呼ばれる、「IE5」規格モータや専用インバーターなど省エネを追求したラインアップに注力している。会場内の主催者企画「メカトロニクス企画展示コーナー」では、世界を代表するモーターメーカーによるIE5モーターなどが一堂に展示され、電力使用量の削減を実現する最新技術を披露する。
こうした中、インパルス試験器はモーターなどに使われるコイルに高圧のパルス電圧を加え、コイルの状態を調べる電子測定器。良品コイルの波形と、被試験コイルとの波形の違いを検証する。
EVに搭載されるモーターやインバーターでは大電流化にあり、正確な電力測定が求められている。高精度のセンサーとパワーアナライザーなどの電子測定器と組み合わせることで、大電流測定が実現し電力効率改善に貢献する。
EMC・ノイズ対策技術展
電磁波ノイズ対策部品・材料をはじめ、計測機器・測定施設からコンサルティングまで、EMC・ノイズ対策に関連する最新の製品・技術が紹介される。
EMC・ノイズの対策は電子機器や自動車が放射する「ノイズを出さない(EMI、エミッション)」だけでなく、「ノイズの影響を受けない(EMS、イミュニティー)」が求められている。
電子機器や車載機器は高密度化や周波数の高速化、低消費電力などの要求により、対策技術が欠かせない。EMC・ノイズ対策は多彩な無線技術による機器搭載や自動車の電子化などのほか、各国の無線規格適合などで存在感が高まっている。
さらに、電子制御化に対応した信頼性の高いEMC試験が可能なリバブレーションチャンバー(RVC)の導入が行われている。
展示会ではIECで規定されている手法による試験システムの紹介や最新の規格動向、基礎から応用までを網羅した対策事例など、EMC・ノイズに関する総合的なソリューションや電子測定器、解決策が提案される。
衣料などで発生する静電気放電に対する電子機器のEMS評価に適用される静電気試験は欠かせない。今回の展示会では国際規格の最新動向を視野に入れた試験器の出品や技術セミナーが行われる。
また国際無線障害特別委員会(CISPR)による国際規格「CISPR-A」で検討が進められているEMC試験の上限周波数40ギガヘルツへの改変に対応するアンテナなどが提案される。
出展者セミナー
TECHNO―FRONTIER2024の会期中、日刊工業新聞社の企画協力による主催者セミナーが行われ、無料で聴講ができる。
3日間で「ドイツ製造業の自動化最前線」や「IE5モーター活用社会」「地域における脱炭素化の実現」「次世代エンジニアの育成」「高速スイッチング化するパワー半導体の計測技術」など、有識者による国内外の課題解決に向けた15セッションが用意されている。