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半導体産業
世界の産業界支える 台湾半導体の現在地
世界で最先端を走る台湾の半導体業界。中でもトップに位置する半導体受託製造(ファウンドリー)の台湾積体電路製造(TSMC)は、2025年末に2ナノメートル世代の量産体制に入ったことを明らかにした。TSMC以外にも、28ナノメートル以上の成熟プロセスで安定供給している台湾・聯華電子(UMC)、用途が特化された半導体の製造を行う力晶積成電子製造(PSMC)など台湾のファウンドリーが活躍している。さらにメモリー専業のナンヤ・テクノロジー、ウィンボンド・エレクトロニクス、後工程で世界最大手の日月光投資控股(ASE)、加えてファブレスのメディアテックやリアルテックなど、台湾の大手半導体メーカーが世界の産業界を支える。
AIブームをけん引するTSMC/2ナノ量産—台湾で始動
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エヌビディアのブラックウエル・ウルトラGPUを搭載したペガトロンGPUサーバー
生成AI(人工知能)は我々の生活にとって身近なものとなってきた。その進化を支えているのが米エヌビディアのAI半導体。同社が手がけるデータセンター向けAI用画像処理半導体(GPU)の最新チップは、アーキテクチャー(設計概念)「ブラックウェル」を採用し、4ナノメートルプロセスで生産されている。
スマートフォン用チップも微細化が進む。米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)17」に搭載されているSoC(システム・オン・チップ)のA19とA19PROは、3ナノメートル世代で生産されている。
この2社の先端半導体生産を受託しているのがTSMC。25年末に公表した同年第4四半期から世界最先端の2ナノメートル世代での量産を行う拠点は新竹ファブ20、高雄ファブ22。同世代の半導体は26年に発表されるといわれるアップルのA19や、エヌビディアの次世代最新チップ向けと見られている。
TSMCは米国アリゾナ州にファブ21、中国・上海にTSMCチャイナ、日本の熊本県菊陽町にJASMと、海外にもファブを展開中だが、経済安全保障という観点で「シリコンの盾」とされており、最先端の2ナノメートルで生産できるのは台湾のファブだけ。しかし、先端半導体はアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)もTSMCに生産委託しており、その生産ラインはフル稼働状態だという。
日本で3ナノ量産計画 熊本第2工場
こうした中、TSMCは2月6日、日本政府にJASM熊本工場で国内初の3ナノメートルによる量産計画を伝達。台湾で2ナノメートルの量産が安定に向かっている状況から、建設中のP2(第2工場)は当初予定の6ナノ—12ナノメートル生産から3ナノメートルに用途を変更するという。
AI向けの半導体製造の活況を背景に、実装・パッケージング・検査という流れの後工程が重視されるようになってきた。
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TSMCの「AP7」では2026年稼働に向けて工場の建設・設備の搬入が進む(台湾・嘉義県)
これまで半導体の性能向上は、前工程の微細化で進められてきた。しかし、AI向けはGPUの性能に加え、高帯域幅メモリー(HBM)がGPUにデータを送るスピードのアップがカギとなる。そこでGPUとCPU、HBMを3D(3次元)で接続し、高速通信させる先端パッケージングの開発が進む。
TSMCは独自開発技術「CoWoS(コワース)」と後工程パッケージングファブの展開で他社を引き離す。同社はすでにパッケージングファブとしてAP1から6までを設置。さらに台湾・嘉義県で26年に7カ所目となるAP7の稼働を予定している。
後工程で存在感増すASE/北九州に新工場検討 新たな供給網構想
一方、後工程受託で世界トップのASEも存在感を増している。25年1月、同社傘下のSPILの台中新工場で実施された開所式に、エヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)が出席したことはその証といえる。
ASEは日本法人を通じて、24年7月末、北九州市と同市若松区の北九州学術研究都市内に約16万平方メートルの事業用地を取得する仮契約を締結した。ASEが本契約へ進めば、前工程をTSMC、後工程をASE、装置と材料は日本メーカーというサプライチェーン(供給網)を構築できる。
九州にはTSMCのサプライヤーが進出しており、ASEの進出で後工程のサプライヤー進出も期待できる。「セミコンアイランド」として世界シェアの10%を占めていた九州地区は台湾半導体関連企業の進出で、再興の日が近づいているようだ。
