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半導体産業
2025年 半導体「二極化」進む 変革の季節
製造装置・デバイス AIの恩恵—好不調の分水嶺
2025年の半導体業界は好調、不調が分かれる状況だ。半導体製造装置各社はAI(人工知能)関連の需要増が追い風。一方、半導体デバイスはAI関連以外は在庫調整の長期の影響を受ける。スマートフォンやIoT(モノのインターネット)などの普及を背景に成長してきた半導体業界は「変革の季節」に見舞われている。
製造装置 今年度2%増/日本製 4兆8634億円
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SKハイニックスは次世代品であるHBM4を投入し、トップシェアを維持する
日本半導体製造装置協会(SEAJ)によれば、日本製半導体装置の25年度販売高は前年度比2・0%増の4兆8634億円と予測する。好影響に寄与したのがAI需要だ。AIを学習・推論させるAIデータセンターに使う画像処理半導体(GPU)や広帯域メモリー(HBM)の生産増の恩恵を受けた。
現在のAI向け半導体はGPUの米エヌビディア、HBMの韓国SKハイニックス、世界最大のロジック半導体受託製造(ファウンドリー)の台湾積体電路製造(TSMC)が覇権を握る。この3社に採用される半導体製造装置メーカーは25年度業績予想でも好調だ。
代表格が東京エレクトロン。25年度業績予想の当期利益が前期比4・0%増の5660億円とする。AI需要を背景に、台湾や韓国向けの販売が伸びると見る。アドバンテストなども同様に好調を見通す。アドバンテストのダグラス・ラフィーバグループ最高経営責任者(CEO)は「(そうしたデバイスの)次世代品を立ち上げており、テストキャパシティーを増やす方向にある」と説明する。業界内では「AIに関わるメーカーは好調。それ以外は不調という二極化が進んでいる」と分析する。
懸念は中国だ。今後、米国による輸出規制の強化が予想される。各社は売上高のおおむね40%程度を中国向けで構成してきた。各社は規制強化を見越し、売上高比率が下がると見ている。また、中国現地の半導体製造装置メーカーも中国最大のファウンドリー、中芯国際集成電路製造(SMIC)などを中心に採用が進むなど、環境に変化も出てきた。半導体製造装置で好調な分野はAIしかなく、25年の市況はAIの投資動向に左右されることになる。
デバイス/車載—厳しい スマホ—頭打ち
対して、半導体デバイス。AI関連のロジックとメモリーを除けば、好調な分野は少ない。
車載半導体ではコロナ禍以降の在庫調整が長期化しており、各社の状況は厳しい。すでに独インフィニオンテクノロジーズなどは人員削減に動き出すなど、明るい材料は見つけにくい。
民生に関してもスマホの年間出荷台数が頭打ちになり、半導体搭載数の伸びが鈍化している。直近で増産投資などが起こる可能性は少ない。
半導体デバイスでも中国勢の影響力は見逃せない。車載、特にパワー半導体では中国メーカーのサプライヤーの現地化もあり、急速に力をつける。また、炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)の化合物半導体では中国政府の後押しもあり、技術力・価格ともに競争力をつける。そのほか、マイコンやメモリー、イメージセンサーなどでも、中国メーカーへの売り込みを中心にシェアを伸ばしている。
半導体業界にとって、デバイスと製造装置ともにAIの恩恵に預かれるか、否かが好不調を分ける要素になる。
半導体オンラインセミナー/後工程のパッケージング・実装・設計の基礎
日刊工業新聞社は8月26日13時から17時まで、オンラインセミナー「講師の経験や知見を詳しく解説!半導体製造における後工程のパッケージング・実装・設計の基礎」を開催する。元富士通でパッケージ開発実務などに豊富な経験を持つ、蛭牟田技術士事務所代表の蛭牟田要介氏が講師を務める。
セミナーでは半導体後工程の基礎・基本的なパッケージングの各プロセス技術などについて、解説する。半導体パッケージの基礎的な理解や、半導体製造プロセス概要のほか、2・5D(2・5次元)・3D(3次元)、3・5D(3・5次元)パッケージとチップレットなどの知識が習得できる。講義終了後10日間は録画視聴ができる。受講料はテキスト代を含め1人3万9600円。問い合わせは西日本支社 総合事業本部セミナー係(06・6946・3382)へ。