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ロボティクスがもたらす持続可能な社会
最新テクノロジー集結
トレンドとして特に注目されたのが、高精度の3次元(3D)ビジョンやセンサー、人工知能(AI)技術を駆使したロボットと一連のシステム提案の進化。安川電機はロボットが自律的に周囲の環境を認識・判断しながら動作する新シリーズを発表。AIなどを盛り込める自律制御ユニットを搭載し、センサーデータなどを基に、現実の世界を仮想空間に再現するデジタルツインによる動作計画と実行を高速で展開する。
川崎重工業は得意の半導体製造工程の最新ソリューションなどに加えて、手術支援やヘルスケア、社会実装を見据えたソーシャル分野を積極的に提案した。同社が手がけるロボット共創プラットフォーム「RoboCross」は、ユーザーやシステムインテグレーター、ベンダーなどが集い、システム検討から仮想試運転、据え付けなどロボットシステムのライフサイクルの効率化を図るソリューションを披露し、注目を集めた。
協働ロボットのアプリケーションの広がりも目立った。ファナックは食品向け専用協働ロボットを発表。またダイヘンは溶接用協働ロボットを披露し、アーク溶接の知見を生かし、小型で高品質な溶接を実現した。
物流分野の搬送ロボットシステムは国内外から出展が多く、人材不足や日本の2024年問題を念頭に置いた提案も目を引いた。
またロボットを構成する精密な機械要素、さらにそれらの応用製品まで活発な提案が行われた。知能・制御系、駆動系、センサー、コネクターや関連機器までラインアップが充実。海外からの来場者が「日本にしかない要素技術を見に来た」というように、国際ロボット展ならではの最新テクノロジーが集結した。
ロボ搬送装置歯車 負荷を自動計算
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小原歯車工業のラック&ピニオン潤滑システム
小原歯車工業はロボット搬送に欠かせないラック&ピニオンに関するシステムを展示した。ラック&ピニオンの選定は歯車が許容すべき負荷、求められる静粛性、必要な長さや、潤滑方法を事前に考慮する必要がある。
ラック&ピニオン選定ソフト「GRSW」は、ユーザーの使用条件(搬送距離、重量など)を入力するだけで負荷を自動計算し、使用条件に合ったラック&ピニオンの組み合わせを最大3種類提案する。標準品の図面や強度計算結果も確認でき、歯車設計の効率化・簡略化をサポートする。
そのほか給油自動化によるメンテナンスフリーの「ラック&ピニオン 潤滑システム」も紹介。トータルコスト低減をアピールした。
産ロボ操作スイッチ 安全・デザイン性向上
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短胴設計の非常停止用押しボタンスイッチ(NKKスイッチズ)
産業用機器のスイッチと周辺機器を扱うNKKスイッチズは、産業用ロボット向けの操作用スイッチを提案した。
「FF01シリーズ」はパネル下13・6ミリメートルの短胴設計、操作部径25ミリメートルという小型の非常停止用押しボタンスイッチ。ロボットに動きを教え込むための機材「ティーチングペンダント」といった機器の薄型化・小型化に貢献する。振動・衝撃が加えられた場合でも接点状態を維持する独自のスライディングラッチ構造を採用し、安全性を追求した。
そのほか機器のデザイン性向上に貢献する照光式押しボタンスイッチ「YB2シリーズ」や、電源スイッチに最適なロッカスイッチ「JWシリーズ」なども展示し、来場者に操作感を確かめてもらっていた。
危険箇所で人を感知 ロボ動作減速・停止
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小森安全機研究所は3Dレーダー安全装置を紹介した
小森安全機研究所はロボットや自動機周辺の危険箇所への立ち入りを監視・防止する3Dレーダー安全装置「SRD200シリーズ」を紹介。イタリアのインスペクトが開発し、同社が国内で販売する。危険箇所に人を感知するとロボットの動作速度を緩めたり、停止したりして危険を回避。安全度に関する国際規格のSIL2、Pldカテゴリー3に対応し、ロボットとの協働作業での安全を担保する。
レーダーで監視するため、ほこりや煙、汚れに強く屋外でも使える。従来のセーフティーレーザースキャナーは光学デバイスのため上下の死角が多いほか、レーザー光を出すレンズが汚れたり粉塵が多い環境では誤作動が起きやすいなど課題があった。
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4日間で14万8125人が来場した
国際展にふさわしく、今回は海外から121社が出展、9035人が来場。会場のいたるところで、国際色豊かな商談が繰り広げられた。
→2023国際ロボット展特集記事はコチラ(2023年11月28日 日刊工業新聞掲載)