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10月14日 鉄道の日
10月14日は「鉄道の日」。鉄道は輸送力や定時制に優れた公共交通機関として、現代社会に不可欠な交通インフラだ。高い安全性と信頼性を確保しながら、利便性向上を図るため、車両、軌道、管制、架線・電力設備、予約・発券など多くの要素を統合した巨大システム技術として進化を続けている。運行に伴う二酸化炭素(CO²)排出量が少ないなどの優れた特徴を持つことから、今もなお大きな期待が寄せられている。
東海道新幹線 開業60周年
高い安全性・正確性 海外展開狙う
東海道新幹線が東京-新大阪間で開業し、10月1日で60周年を迎えた。世界初の高速鉄道である東海道新幹線は、車両設計技術や運行システム技術の高さから、技術立国日本の代名詞の一つとして確立され、日本の産業や経済を支えている。
夢の“超特急”
0系車両をモデルにした童謡「はしれちょうとっきゅう(走れ超特急)」で歌われた夢の速度である時速250キロメートル(営業運転は210キロメートル)は、今や最高時速285キロメートルで運転されている。JR東海は日本の大動脈輸送の役割を担う東海道新幹線の競争力を維持・強化するため、安全かつ正確、高速、高頻度・大量、環境適合、快適という特性に磨きをかけている。開業以来、乗車中の乗客の死傷した列車事故はゼロを継続している。
N700S「ドクターイエロー」機能搭載
2020年から運転する新型車両のN700Sは、走行時の抵抗を低減した先頭形状を採用。床下の駆動システムには炭化ケイ素(SiC)半導体を活用し、小型・軽量化を図った。26年度から28年度にかけて17編成の追加投入を控える中、一部の編成には従来、点検用車両の「ドクターイエロー」で行っていた検測機能も搭載する予定だ。
また、ネット予約やチケットレス乗車を提供するなど、デジタル技術を活用してサービス面も常に充実させている。
さらに、地震時の脱線による被害拡大を防止するため、脱線・逸脱線防止対策が進められている。車両の脱線そのものを極力防止する「脱線防止ガード」の敷設などの対策を進め、28年度までに全線の対策を完了させる見込みとなっている。
1日372本
東海道新幹線は快適性、利便性、低炭素に加えて、開業以来、揺るぎない高い安全性と正確性を誇り、23年度時点で1日当たりの列車本数372本・輸送人員43万2000人を実現。こうした世界に比類のない実績を持つ高速鉄道システムは、米・テキサス州をターゲットに海外展開が進められている。
60周年発信
こうした中、東海道新幹線開業60周年を記念して、1日には東京、静岡、名古屋、新大阪駅の各駅で出発式を行ったほか、特設サイトを開設して情報を発信している。
60周年記念ロゴマークに加えて、新幹線の運行を支えるJR東海・グループ社員をはじめ、スポーツ応援やさまざまなシーンで新幹線を利用する乗客、沿線地域の名物・観光スポットをイメージした「ミニロゴ」を新たに60種類制作した。サイト内ではミニロゴ図鑑として、解説を交えて掲載している。また11月30日までの期間で、スタンプラリーも実施している。
このほか東京、静岡、名古屋、京都、新大阪の5駅に、観光スポットやグルメなどを取り上げた60周年記念デザインのフォトスポットが10月末までの予定で設置され、来場者を楽しませている。
よみがえれ「0系」 昭島市がクラファン
東京都昭島市のつつじケ丘公園に新幹線0系車両が設置され、市民図書館として多くの人が利用してきた。今、昭島市はクラウドファンディングを活用し、化粧直しに向けて広く協力を求めている。
0系車両がつつじケ丘公園にやってきたのは、1992年4月。
73年に山口県の車両メーカーで、100番目の車両「21- 100」として製造され、91年10月に引退。市民図書館分室として開館し、「新幹線電車図書館」の愛称で多くの人に親しまれ、多くの思い出とともに余生を過ごしてきた。2020年3月、教育福祉総合センター内に市民図書館が新たに開館し、新幹線電車図書館は惜しまれながら閉館した。
昭島市は解体や売却は行わず、市の大切な財産として未来へ残すことを決めた。車両はサビや塗装の劣化が進行している。車両を未来に残すには、これを修繕し、劣化の進行を止めることが喫緊の課題となっている。
こうした中、クラウドファンディングによる協力で、車両を美しくよみがえらせ、そこに屋根を架け、開放的な憩いと交流の空間を提供することを目指している。第一期募集(23年9月29日から24年9月29日まで)は、目標金額1500万円に対して98%を達成。現在は24年12月26日までを予定する第二期募集を行っている。
設置されている0系車両は「ひかり」号として東京-岡山駅間を、山陽新幹線が全線開通した1975年からは東京-博多駅間を、86年からは「こだま」号として91年まで、多くの人たちの笑顔を乗せて走行した。走行距離は地球の約180周分に相当する720万キロメートルに達する。
クラウドファンディングのアクセス先はこちら
https://www.city.akishima.lg.jp/s004/100/050/20191003150027.html