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粉体技術&POWTEX2025(2025年10月)
日常生活から最先端分野まで私たちを取り巻くあらゆる製品の製造を粉体技術が支える。粉体技術は粉砕やふるい分け、計量・計測、造粒、粒子設計など多くの単位プロセスで構成され、これらの技術革新が産業の発展に大きく貢献してきた。近年、扱われる粒子が微細化する中で各プロセス関連装置の高度化が進展。デジタル変革(DX)やAI(人工知能)活用も広がる。製造現場の担い手不足に対しては自動化、ロボット化が進む。粉体技術の革新が広く産業、暮らしを変えていく。こうした粉体に関わる最新技術・製品が一堂に会する「POWTEX2025 国際粉体工業展大阪」が開幕する。
自動化など最新技術アピール
小間数638、出展者203社・団体
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2023年大阪開催時の会場風景(主催者提供)
日本粉体工業技術協会(京都市下京区、角井寿雄会長)は10月15日から3日間、大阪市住之江区のインテックス大阪で「POWTEX2025—国際粉体工業展大阪」を開く。出展者は203社・団体。工程の自動化や省人化、安全性向上などさまざまな最新技術をアピールする。小間数は638で、2023年の大阪開催時から出展者数で17%増、小間数で24%増と大きく規模が拡大した。10月1日には先行してオンライン展が開幕した。
テーマは「未来をつくるPX(パウダーテクノロジー・トランスフォーメーション)」を引き継ぐとともに、「粉体技術で描く未来社会のデザイン」をサブテーマに掲げた。2025年大阪・関西万博の「いのち輝く未来社会のデザイン」を意識したもので、万博さながらに最新の粉体技術がもたらす「未来」をセミナーなどで紹介する。
POWTEXは毎年、東京と大阪で交互に開催している。前回の大阪開催はリアル展に7757人が来場。オンライン展は3392人を集めた。リアル展はコロナ禍の中での開催となった21年から急速に盛り返した形だ。今回は出展規模もコロナ禍前、19年に迫る勢い。23年と比べ新規出展企業も増えており、前回を上回るにぎわいになりそうだ。
リアル展は10月15—17日の10時—17時(最終日は16時半まで)。入場は無料だが、ウェブサイト(https://www.powtex.com/osaka/)で事前登録が必要。会期中は大阪メトロ中央線のコスモスクエア駅と会場のインテックス大阪の間でシャトルバスを運行する(乗車料金100円)。
初めての来場者にもわかりやすく
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POWTEX2025実行委員長(ハカルプラス社長) 三宅 康雄 氏
15日に開幕するPOWTEX2025。実行委員会はさまざまな企画を検討してきた。見どころや新たな取り組みを三宅康雄実行委員長(ハカルプラス社長)に聞いた。
—いよいよ開幕です。
「小間数638、出展者203社・団体で2019年の大阪開催の規模に迫る。コロナ禍を抜けて完全に平常に戻った。今回は『粉体技術で描く未来社会のデザイン』がサブテーマだ。2025年大阪・関西万博のテーマに寄せ、粉体技術でこんな未来がやってくるんだというのを併催イベントなどでも見せる。新しいことをやろうと思って来る人たちに未来を届けたい」
—今回も新たな取り組みがあります。
「出展社のイチオシ製品に『イチオシ!』のステッカーを貼ってもらう。シールを貼る製品はブースで一つだけ。その会社の主力事業がわかるし、粉体業界のトレンドになっている製品がわかる。『展示会の歩き方』ではないけれど、初めて来場する人はまずこれを見てほしい。情報発信基地の『PXステーション』では30社の『イチオシ!』ショートプレゼンテーションも実施する。ウェブでも目立つようにした」
—24年の東京開催では来場者の傾向に変化がありました。
「来場者アンケートで『会社として初めて来場した』と答えた人が一定数いた。人の入れ替わりはあっても所属企業で見れば同じ、というのが従来だったが、大阪もおそらく同じ傾向になるだろう。自分の業種と異なる展示会はいろいろと参考になる。“粉体”というくくりには、あらゆる業種、分野が含まれており、初めて来る人は何かしらのヒントを得られるはずだ」
—イチオシ!の効果が期待されます。
「PXステーションでは『注目業界PX』として司会とプレゼンターの掛け合いで最新技術や製品を紹介するイベントがある。また16日の粉体工学入門セミナーは『入門の入門編』を開催。基礎知識を得られるセミナーなどに出てから関連ブースの『イチオシ!』を回ってみれば、求めている答えにたどり着きやすいと考えている」
—今回の意気込みは。
「全国から人が集まる東京開催とは異なり、大阪はいろいろな企画を立てなければ集客が難しい。オンライン展、PXステーションは大阪開催からスタートし、東京にも続いた。『POWTEX』の展示会名称や、『PX(パウダーテクノロジー・トランスフォーメーション)』という造語も前回の大阪からだ。東京より身軽な大阪だからこそ、さまざまな実験ができる。今回は『イチオシ!』がある。浸透するのは次の東京かもしれないが、どんな評価になるか楽しみにしている。一方、展示会は来場者と出展者、人と人をどうつなぐかが問われる。来場者の中から粉体業界に関わる人を増やし、一緒に未来をつくっていけたら、うれしい限りだ」
