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車載機器・電子デバイスの性能評価
1台に集約―大容量化対応
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エレクトロニクスの進化に欠かせない安定化電源や電子負荷は、自動車など産業の広がりとともに注目を集める(TECHNO-FRONTIER2023菊水電子工業ブース)
安定化電源や電子負荷は直流(DC)と交流(AC)のモデルがある。安定化電源と電子負荷を1台に集約した「双方向安定化電源」や、定格電力範囲で電圧と電流の出力が可変できる直流電源、大容量化に対応するなど、主要メーカーは顧客ニーズを先取りした製品投入や測定サービスを展開している。
テレビなどの家電製品は直流と呼ばれる電力で駆動する。家電製品はコンセントから交流の電力(商用電源)を受け、機器内部で直流に変換。直流安定化電源は商用電源を、直流の電気に変換してエネルギーを発生させる。
商用電源では電圧不足やノイズが混じっていると、正しい測定結果が得られない。交流安定化電源は周波数や電圧など安定させた交流電力を発生させることができる。
また電子負荷は電流や電圧を自由に変え、多様な負荷を与えて試験が行える。
大容量化する安定化電源や電子負荷において回生機能の搭載が進んでいる。この機能は電子負荷などが受け取ったエネルギーを商用の電力に変換し、工場など構内の照明や冷暖房用のエネルギーとして利用できる。省エネ化や二酸化炭素(CO2)排出抑制に貢献する。
一方、この回生機能未搭載の電子負荷では、エネルギーを熱変換して放出するためエネルギーロスが大きい。
カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)実現に向けて、エネルギー消費を意識して回生機能を求める声は高まっている。
双方向安定化電源といった新しいカテゴリーともいえる電源が登場し、1台で出力と入力が行える。
また計測電源(SMU=ソースメジャーユニット)は、電圧と電流を出力(発生)させる直流電源と、電圧や電流、抵抗値を測定するマルチメーターの二つの機能を1台に集約。半導体デバイスや電子部品の電気的性能である特性を評価できる。
こうした中、菊水電子工業の大容量ワイドレンジ直流電源「PXTシリーズ」は、3U(1Uは高さ44・5ミリメートル)のコンパクトサイズ。放熱設計で動作保証温度50度Cを実現しているため、高温環境下の試験に対応する。10台まで並列接続でき、最大200キロワットまでシステムが組める。
エヌエフホールディングス(HD)グループで交流電源などを手がけるエヌエフ回路設計ブロックは、プログラマブル交流電源「DP020AS」を10月に発売した。安定した出力性能による高品位波形、低ひずみと低ノイズを実現し、複数台の接続で容量拡張と多相化に対応する。
テクシオ・テクノロジーは、電子負荷機能付き高分解能多出力直流安定化電源「PDWシリーズ」を発売する。同社はパワーエレクトロニクスに注力している。車載インバーターなどの車載用途に向けて23年は好調に推移。電源ビジネスの売り上げで前年比5%増を見込んでいる。
クロマジャパンは変換効率が最大90%の回生機能搭載直流電子負荷「モデル63700シリーズ」の本格発売を予定している。同社の23年電源ビジネスの売り上げは、急速充電などで大容量と高電圧化要求を背景に二桁成長を示している。
TECHNO―FRONTIER 2024年7月24日東京ビッグサイト
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4万人来場を目指す(写真はTECHNO-FRONTIER2023)
「TECHNO―FRONTIER2024」が、2024年7月24日から26日の3日間、日本能率協会の主催で、東京ビッグサイト東展示棟で開かれる。オンライン展はリアル展閉幕後の8月1日から31日まで。リアル展とオンライン展の合計で4万人の来場を見込んでいる。
同展は電源システム、電磁環境適合性(EMC)対策、モーター技術を核としたモーションエンジニアリング・メカトロニクス制御など19の専門展で構成される。
特に39回目となる「電源システム展」は、国内唯一の電源に関する専門技術展。電動車(xEV)や車載部品など開発に欠かせない安定化電源や電子負荷に加え、産業機器に搭載される電源機器や電源モジュールなどが出品される。インバーターやパワーコンディショナー、DC/DCコンバーター(直流昇・降圧変換部品)、オンボードチャージャー(OBC)などの電力変換のほか、リチウムイオン電池(LiB)の評価試験など省エネルギーに関する提案が予定されている。
出展の通常申し込みは24年3月29日まで。