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愛知県西三河地区産業界
西三河地区は、安城市、岡崎市、刈谷市、高浜市、知立市、豊田市、西尾市、碧南市、みよし市、幸田町の9市1町からなる愛知県の中央に位置する製造業の一大集積地。自動車産業を中心に幅広い分野の企業が集まり、優れた技術で世界のモノづくりをけん引し続けている。大企業だけでなく独自技術を持った中小企業らが新たな挑戦を続けることで、製造業を発展させてきた。中東情勢などで苦境に立たされる企業も多い中、同地区の企業らは日々取り組みを続けている。
蓄積した技術生かし、価値生み出す
ラリージャパン地域に根付く
西三河地区は愛知県内の製造品出荷額等総数の約5割を担う製造業の一大集積地。完成車メーカーや部品サプライヤーなど、自動車産業を中心に産業が発展している。各企業は独自技術を活用し、さまざまな分野に展開することで独自色を強めてきた。また、同地区の商業的な中心地である岡崎市が110周年を迎えるなど、深い歴史を持つ地域としても親しまれている。
トヨタ自動車や三菱自動車の工場などが立地する同地区では、自動車関連の取り組みが盛んだ。5月28―31日に開かれた世界ラリー選手権(WRC)の日本ラウンド「フォーラムエイト・ラリージャパン2026」では、豊田市長の太田稔彦氏が実行委員会会長を務めた。
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豊田市の足助地区を走るラリーカー
豊田市と岡崎市の一般公道が会場として活用され、トヨタ自動車や韓国・現代自動車(ヒョンデ)などが熱戦を繰り広げた。初日は伝統的な街並みを残し、観光地として有名な豊田市足助地区がコースとして選ばれた。ラリーは公道を走行するモータースポーツで、国内では22年から5年連続での開催となる。毎回規模を拡大しており、「女性や子どもの来場も増えた」(太田市長)という。
このほかラリージャパンの開催に合わせ、豊田市では先進モビリティーの展示試乗会も実施した。歩行領域バッテリー電気自動車(BEV)「C+walk」、次世代モビリティー「e-Palette」、都市型小型電気自動車(EV)「Lean3」を展示。ラリージャパンとともに「クルマのまち」として魅力向上に取り組んでいる。
光学技術が作業現場でも活躍
東海光学(岡崎市)は、主力の眼鏡レンズだけでなく光学技術を応用した多彩な製品も手がける。分光透過率測定装置「TLシリーズ」は、可視光線域や近赤外線波長域の測定など目的やサイズに合わせて6機種から選択できる。繰り返し測定誤差はプラスマイナス0・5%以内で、大型の据え置き型と同等の精度を実現した。
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自動車内装部品や半導体向け部品の検査にも活用される「TLシリーズ」
作業現場での操作性を考慮し、ガラスや樹脂などの透明基材やレンズの分光透過率を、ボタンを押すだけで測れる。重量約1キログラムと持ち運び可能。測定時間は2秒で、色を数値化して検査・判定ができるオプションソフトウェアの表示を含めても10秒程度と短時間のため、生産現場での評価、検査時間の削減に役立つ。眼鏡レンズや自動車内装のインストルメントパネル(インパネ)部分のシフトインジケーター、窓用フィルム、そのほか半導体向け光学基板など、光学部品の全数測定検査にも活用できる。工程内検査に用いることで透過率仕様値の品質異常をいち早く検知できるという。
また、同社は測定装置以外にも培ってきた光学薄膜コーティング技術を応用し、医療ヘルスケアやレーザー加工分野、センサー向けの光学部品も提供する。
長尺加工向けに横型MCをカスタマイズ
キラ・コーポレーション(西尾市)では、小型工作機械を中心とした販売戦略が成果を見せはじめている。特に中心的な取り組みとして、横型マシニングセンター(MC)「KN-40Hb」をベースにした長尺ワークの専用加工機を打ち出している。
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長尺アルミ引き抜き材加工専用機のイメージ
KN-40Hbにストッカーや大型のロータリーテーブルなど顧客の加工対象物(ワーク)に必要な設備をカスタマイズで取り付ける。搬入・出用のストッカーや、ガントリーローダー、ロボットを取り付ければ、自動化も可能だ。こうした設備を顧客に合わせて自社で設計・製造できるのが強み。まずは長尺アルミ引き抜き加工専用機と、長尺シャフトの端面加工専用機をベースに売り出す。航空機産業をターゲットに年間4台の受注を目指す。
同社は高いカスタマイズ性と柔軟な対応力を持つ。カバーや部品、周辺設備を専用設計することで、工作機械の枠を超えた専用設備を提供してきた。ユーザーからの「長尺ワークの両端を同時に加工したい」という要望に、MC2台をつなげて同期させる設備を開発するなど、自由度の高いモノづくりでニーズに対応する。小型工作機械を活用し、顧客の製造に合わせた設備を提供することで、大手メーカーとの差別化を図る。
製造業向け営業ツール提供
オフィス・キートス(安城市)は、製造業向けの会社案内や展示会出展物などを制作する。新開潤子社長は製造業での勤務歴があり、製造業向け専門ライターとして20年のキャリアを生かして差別化を図っている。
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「導入事例マイスター」で制作したチラシ
2月に始めた製造業向け装置・システムの導入事例制作サービス「導入事例マイスター」は、製造設備や関連システムを製造、販売するメーカーや商社に対し、販売促進ツールを制作、提供する。販売に成功した事例を取材し「なぜこの製品が選ばれたのか」を重視して記事を作成。ウェブ記事や営業用チラシなどにする。制作方法は、メーカーや商社が販売して客先に導入された装置などを現場に行って取材。それらの顧客がどんな点で選んだか、利用しているかを聞き取ってコンテンツにする。実際の導入事例を言語化し、顧客視点で製品の価値を深堀りした営業ツールとして価値を付ける。同サービスを導入した顧客からの評価は高く、顧客の別拠点からの引き合いによるリピートでの受注を獲得するなど着実に実績を重ねている。
CFRP活用広げるセミナー好調
共和製作所(碧南市)は炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の高精度切削加工が強み。金属加工で培った切削技術を生かし、自動車・航空機・ドローンなど向けに精密なCFRP部品加工で評価を得ている。
同社が現在、力を入れているのが「CFRP(カーボン)“導入・活用”セミナー」。産業界での利用促進を図るため、2024年にスタートし、これまでに30社以上で実績を持つ。うち3社ではすでにCFRPの導入も広がっているという。
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CFRP化したエンジン治具のミニチュアと、セミナー講師を務める大宮氏
セミナーは1社集中でCFRPの特性や導入のポイントなどを解説し、受講者のもつ課題の洗い出しや相談にも応じる。オンライン開催をメインに、愛知県内の企業であれば訪問でも実施する。
受講料は5万円(消費税抜き)で、同社の工場長・営業部長の大宮勝美氏が講師を務める。CFRPは熱膨張性の低さや振動を吸収するメリットがある。鉄やアルミニウムから代替することで、不良の発生率低減や部品の長寿命化を実現可能だ。コンサルティング事業も展開しており、設計や企画段階から携わることもできるという。
同社はCFRP加工品を「蕨山カーボン」として自社ブランドで展開しており、モータースポーツ業界での認知が広がる。今後は産業用途だけでなく、レース関連でもセミナーやコンサルティング事業を展開する。
