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ナゴヤビジネス
名古屋市は東京・大阪と並ぶ三大都市として知られる中部地区最大の商業都市。製造業の一大集積地である愛知県の中心都市であることから、都市部でありつつも多くのモノづくり企業が立地するという特徴を持つ。名古屋市だけでなく近隣の市町村と連携することで、工業都市としても発展してきた。三大都市圏の中心に位置し、国内有数の貿易港を有することから人やモノの往来にもメリットを持つ。2026年9—10月には「アジア・アジパラ競技大会」が開催され、その後も国際イベントが続く。こうした好機を生かし最新技術を導入しつつ、伝統や歴史、地域の魅力を発信する取り組みも進んでいる。
メッセナゴヤ20周年
次世代産業エリアを新設
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新設された次世代産業エリアにも注目が集まった
名古屋商工会議所、名古屋市、愛知県が主催する日本最大級の異業種交流の展示会「メッセナゴヤ」が25年で初開催から20年の節目を迎えた。同展は05年に同県内で開かれた愛・地球博(愛知万博)の理念「環境」、「科学技術」、「国際交流」を継承する事業として06年に初開催。現在では日本最大級の異業種交流展示会に成長した。
25年9月には記念式典を同市内で開催した。同展の開催に尽力した歴代実行委員長の紹介のほか、20回連続出展の17社の表彰などが行われた。
20回目となる「メッセナゴヤ2025」は同年11月5—7日に名古屋市港区のポートメッセなごやで開催され、844社・団体が出展。三日間で5万705人が訪れた。特別展示エリアの一つ、宇宙産業ゾーンには24年の前回比2倍の55社が出展。龍谷大学と京都大学による木造の超小型人工衛星の研究や、豊田自動織機がスタートアップと共同開発する大気圏再突入システム用耐熱材料などが注目されていた。
このほかスマートロボティクスや、女性の健康課題をテクノロジーで解決するフェムテックを紹介するゾーンを新設。ユニークな技術を持つ中小製造業16社が出展する町工場コーナーも設けた。
同展はさまざまな業種・業態の企業が交流することで新たなビジネスの種を創出するのが目的。ポートメッセなごやの3棟ある展示館のうち第1展示館のみを会場とすることは、こだわっている点とし、実行委員会は「大企業と中小企業が同じ場所で、すぐ直接対話できる」と効果を強調した。今後も企業の出会いの場となる商談会として名古屋都市圏内外で注目されそうだ。
行政課題を先進技術で解決
名古屋市では最新技術の早期実装を目指し、実証実験のフィールド提供が積極的に行なわれている。同市が主催する「Hatch Technology NAGOYA」は同市の行政課題や社会課題を解決するアイデアを募集し、市の職員らと一体になって取り組む実証実験事業。25年度は国民保険料の未納防止や、上下水道管の設計効率化といった行政課題と、公園の芝生の保護や、駅の案内業務における省人化対応などの社会課題、合計16件の中から8つの提案が選ばれ、スタートアップらと取り組みを進めている。
たとえば上下水道局 配水設計課・下水設計課がKK Generation(KKG、東京都港区)と取り組むのは、AI(人工知能)を用いて上下水道の改築更新のための設計業務を効率化する取り組みだ。
名古屋市の水道管の総延長は約8400キロメートル、下水は7900キロメートルに及ぶ。多くが高度経済成長期に整備されており、今後更新が大幅に増加する見込みだ。まずは過去の設計データをAIに学習させ、図面と見積書など複数の書類から記載漏れや数値の整合性などを検出するシステムの構築をめざす。KGGは建設図面に特化したAI開発を実施しており、水道事業にも応用できるという。
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地下鉄栄駅で試験導入したAMR
また、名古屋市地下鉄では訪日外国人や高齢者など駅で案内を必要とする利用者向けにロボットを用いた実証実験を米アクセンチュアの名古屋拠点と実施した。モニターを搭載した自律移動ロボット(AMR)を地下鉄栄駅に導入し、利用者との会話による接客案内の試運転を実施した。駅員のノウハウを学習させることで、乗り換えや観光案内など多様なニーズに対応する。
利用者が話しかけてロボットを使うため、実用化に向けて方言や地域独特の表現などにも対応する必要があるという。たとえば名古屋駅を「名駅(めいえき)」と呼ぶ慣習など、考慮すべき要素を今後検討していく。
こうした実証実験は名古屋市が主導し、このほかにも市内のさまざまな場所で行われている。市内の事業所や商業施設などをフィールドにした「なごやまちなか実証『NAGOYA CITY LAB』」事業でも観光や地域活性化を目指した取り組みが進められている。
エアモビリティーの実装目指す
自動車産業と航空機産業を中心に発展してきた名古屋都市圏では、次の時代に向けこうした技術を活用した取り組みを広げようという動きが活発だ。
名古屋商工会議所は「名駅スーパーモビリティハブ構想」をとりまとめ、愛知県に提言した。現在ある交通機関に加え、ドローンや空飛ぶクルマなど次世代のエアモビリティーの社会実装を進めることで、産業力や地域の魅力向上につなげる考えだ。既存の陸上交通と比べ、エアモビリティーは山や海などの地理形状に移動を制限されにくく、道路渋滞もない。このため移動速度が飛躍的に上がり、名古屋駅を起点として移動可能な範囲が広がり、経済圏が広がると考えられている。
たとえば、すでにプロドローン(名古屋市天白区)などは愛知県内で離島への自動配送の実証実験などに取り組んでいる。同県西尾市佐久島と一色漁港の間を会場に、ドローン物流の社会実装を通じて離島や中山間地域での生活インフラの持続可能化について検証した。
実験では、新開発の「ウインチ式荷物離脱システム」や「ドローン連動型信号機」を島内に設置。信号機システムはドローンが50メートル以内に接近すると黄色、さらに近付くと赤色に変化することで空域と地上交通の安全を一元的に管理。空と陸の道をリアルタイムに連携する新たな試みを検証する。
また、ウインチ式荷物着脱システムを活用し、ドローンを着陸させずに上空から安全に荷物を届ける運用も開始。これにより、ドローン配送をより身近な社会インフラに進化させることを目指す。
名古屋都市圏をけん引してきた自動車・航空機産業のノウハウが合わされば、エアモビリティーの発展にもつながると期待されている。
脱炭素の取り組み初認証
名古屋市が周辺地域と一体となって大きな都市圏を形成してきた理由のひとつに、名古屋港の存在がある。完成自動車をはじめ自動車部品や産業機械など県内で作られた製品が集まり、同港から世界へ輸出されている。陸上の交通網も整っており、名古屋第二環状自動車道と伊勢湾岸自動車道、国道302号線からなる「名古屋環状2号線」は名古屋港を囲むように整備されている。こうした利便性の高さから、20年以上にわたり総取扱貨物量は国内最多となっている。
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脱炭素化の取り組みが進む鍋田ふ頭
特に近年、同港が力を入れているのが、脱炭素化の取り組みだ。25年9月には、同港鍋田ふ頭コンテナターミナルが国土交通省の認証制度「CNP認証(コンテナターミナル)」に制度開始後初めて認証された。同制度はコンテナターミナルの脱炭素に向けた取り組みを1—5までのレベルに評価するもの。インバーター方式のガントリークレーンを採用するなど、荷役機械の電動化を進めてきた実績が評価され「レベル3++」の認証を受けた。
現在、国内の輸出入貨物のほとんどが港湾を経由している。サプライチェーン全体の二酸化炭素(CO2)削減には荷役業務や船舶などの脱炭素化の取り組みが欠かせない。国土交通省では、脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化や水素・アンモニアなどの受け入れ環境の整備を進めるカーボンニュートラルポート(CNP)の形成を推進している。同認証は現在までに名古屋港を含む9港が認証されている。
