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ナゴヤビジネス
名古屋市は東京・大阪と並ぶ三大都市として知られる中部地区最大の商業都市。製造業の一大集積地である愛知県の中心都市であることから、都市部でありつつも多くのモノづくり企業が立地するという特徴を持つ。名古屋市だけでなく近隣の市町村と連携することで、工業都市としても発展してきた。三大都市圏の中心に位置し、国内有数の貿易港を有することから人やモノの往来にもメリットを持つ。2026年9—10月には「アジア・アジパラ競技大会」が開催され、その後も国際イベントが続く。こうした好機を生かし最新技術を導入しつつ、伝統や歴史、地域の魅力を発信する取り組みも進んでいる。
製造業の知見生かす
国内外の起業家ら集結
名古屋市は愛知県の中心都市であるだけでなく、東京都や大阪府に次ぐ商業都市として広く知られている。同市を発展させてきたのが周辺地域との連携による都市圏の形成だ。近隣の市町村やそこに立地する企業と密接につながることで、名古屋都市圏としての経済を生み出している。名古屋市のまとめた最新の経済センサス活動調査(令和3年度確報)によると愛知県に所在する事業所のうち約4割となる13万6851事業所が名古屋市に所在し、従業員数も県内の約38%を占める。
周辺地域には自動車産業や工作機械産業、航空機産業といった日本経済を支えてきた製造業が数多く立地する。近隣の企業が名古屋市内に拠点を構えるだけでなく、従業員が市内から通勤するケースも多い。
こうした地域特性から、近年期待されているのが次世代産業となるイノベーションの創出だ。製造業を中心とした地域産業のもつ技術やノウハウと、最新のテクノロジーが合わさることで、自動車・航空機産業に次ぐ新たな産業が生み出されることが期待されている。1月27—29日には、同市や愛知県、中部経済連合会、名古屋大学などが合同でスタートアップの祭典「テック・ガラ・ジャパン2026」を開催した。昨年に次いで2回目の開催で、名古屋市中心部の栄地区や、国内最大級のスタートアップ支援施設「ステーションAi」のある鶴舞地区を会場に、展示会やピッチコンテスト、商談会などを実施。国内外から5000人規模の起業家や投資家らが集まった。
名古屋都市圏は大手製造業などグローバル競争力の高い企業が多く、新興企業が生じにくい土地柄とされてきた。しかしモノづくりの大変革期にある現在、同地域では従来と異なる分野とアイデアや技術を組み合わせ、次の産業へ進化する力が求められている。
都市部のにぎわい創出
産業都市として知られる名古屋都市圏だが、相次いで開催される国際イベントや、リニア新幹線の開業を見据えて地域の魅力を発信しようという取り組みも加速している。2026年9—10月には「アジア・アジパラ競技大会」、27年の「アジア開発銀行年次総会」、28年の「技能五輪国際大会」など国際的なイベントの開催が相次ぐ。国内外から同地域への注目が集まる絶好の機会となる。
名古屋商工会議所と名古屋鉄道や中部電力など5社は25年12月、名古屋都心部の魅力向上を目指す産学官民連携のプラットフォーム(基盤)「NAGOYA都心会議」を設立した。初年度は都心部のあるべき姿を示すとともに、地域の価値を高めるためのヒト・モノ・カネを呼び込むための産学官民による戦略を「都心戦略ビジョン」としてまとめる。さらにリニア中央新幹線の開業機会を捉え、地域の活性化につなげる考えだ。
同会議の設立に当たっては、名古屋財界の中核を担い「五摂家」と呼ばれた5社と名古屋商工会議所が準備検討会を立ち上げていた。設立時の正会員数は36社で、随時会員を募集する。
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名古屋城南西の水堀で舟の運航を始める(名古屋観光コンベンションビューロー提供)
こうした市街地活性化の取り組みは、行政も乗り出している。名古屋市が取り組むのは、名古屋城や25年に開業したIGアリーナ(名古屋市北区)、高級ホテル「エスパシオ ナゴヤキャッスル」(名古屋市西区)周辺の「名城エリア」の魅力創出の取り組みだ。同9月に「名城エリアにぎわい共創基本構想」を策定し、31年の名古屋城一般公開・名城公園開演100周年に向けて観光・文化・スポーツの拠点機能の形成を目指す。名古屋城とIGアリーナなどがある名城公園北園エリアは隣接しているものの、回遊性が低いのが課題。名古屋市によると、名古屋城の来園者は約4割が県外からの観光客である一方、北園はランニングや憩いの場として使われるため利用者は県内や市内からがほとんどだという。
同エリアの魅力を引き出し、名古屋城―北園を一体で観光化するため、今後取り組みを進める。同市は26年度予算案として新たに3億円を予定し、名城エリアの活性化を目指す。年度内には名古屋城水堀での舟の運航を開始し、新たな観光資源とする見込みだ。
名古屋商工会議所 会頭 嶋尾 正 氏/国際イベント起爆剤に 中小の収益力拡大も支援
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名古屋商工会議所 会頭 嶋尾 正 氏
名古屋商工会議所の嶋尾正会頭が2期目の3年間に入った。2期目期間中には2026年の「アジア・アジアパラ競技大会」、27年の「アジア開発銀行年次総会」、28年の「技能五輪国際大会」と、名古屋都市圏で大規模国際イベントが立て続けに開催予定で、観光振興に向けた機運が高まる。中小企業は賃上げの原資を確保するため収益力向上が急務となっている。嶋尾会頭に現状や取り組みを聞いた。
—名古屋市では26年から国際イベントの開催が続きます。
「多くのオピニオンリーダーやインフルエンサーに近い(発信力を持った)人たちが当地に来る。当地を気に入ってもらい自国に戻ってから広めてもらう、いい機会にしないといけない。名商も気付いた課題・問題点などを行政や関連団体に伝える。(イベントを)国内外から人を呼び込む上での起爆剤とし、観光産業を当地に根付かせることが重要だ」
—厳しい経営環境下にある中小企業を、どう支援しますか。
「中小企業は人手が足りない、賃金を上げないといけない、売価が上げられないなど多重苦の状況にある。課題は収益力をどう上げるかに尽きる。一つは付加価値の創出による売り上げ拡大、もう一つは生産性の向上。この両輪を同時に回すことが求められる。名商では経営者に(両輪の)先進事例、成功事例を見てもらう場を積極的に提供する。聞くより実際に見て、中身を咀嚼(そしゃく)し、自分の会社・事業に合う形に作り上げることが重要だからだ」
—労務費の価格転嫁の状況は。
「名商の調査では労務費の転嫁について『まったくできていない』『転嫁率2割未満』と回答した企業が5割強に上った。今は賃上げをしないと人が集まらない状況にある。中小企業は労務集約型が多いこともあり賃上げした分を価格転嫁できないともたなくなる。1月1日に施行された取適法(中小受託取引適正化法)の理解・遵守を促すなど、商習慣の改善を推進する」
