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南大阪地域産業
桃山学院大学は4月、同大学初の理系学部となる工学部を和泉キャンパス(大阪府和泉市)に開設した。南大阪地域初の私立大学工学部として、地域社会や産業界からの期待も大きい。学内だけでなく、学外の企業や行政機関などとも協力しながら、地域の成長と未来を担う新時代のエンジニアを育成し、地域社会の持続的発展への貢献を目指している。
桃山学院大和泉キャンパス 南大阪発の私大工学部開設
新時代エンジニア育成
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桃山学院大学和泉キャンパス(大阪府和泉市)
南大阪には、公立大学である大阪府立大学(現・大阪公立大学)のキャンパスが堺市中区にあるものの、私立大の工学部が一つもないという状況が長年続いていた。私立大で工学部を目指すなら、近くても近畿大学(大阪府東大阪市)や大阪工業大学(大阪市旭区)など大阪府内であっても別の地域の大学しか選択肢がなかった。
多くのモノづくり企業が集まる南大阪地域であるにも関わらず、「人材供給源」となる私立大の工学部がない。今回の桃山学院大の工学部開設は単なる1大学の学部新設にとどまらず、南大阪でその状況が変わる歴史的な節目であるとも言える。
秋学期に合わせ新棟8月竣工 学び合える施設・機器整備
地域の需要が高い機械システム工学、電気電子システム工学、都市デザイン工学の三つの工学の専門領域を軸に、情報・データサイエンスとビジネスについても横断的に学ぶ「工学部工学科」を設置。1学年の入学定員は160人。製造業や官公庁の現場マネージャーなどを養成することを目標としている。
工学部の実験や実習が始まる2026年度秋学期に合わせ、地上5階建て、約5600平方メートルの工学部新棟が8月に竣工する予定。「ものづくり工房」や各種実験室、研究室など工学の学びを支える施設や機器を整備する。
開設した工学部は、文部科学省が推進する「大学・高専機能強化支援事業」にも選定されている。同事業は、デジタルやグリーン分野をはじめとする成長領域で活躍する高度専門人材の育成を目的としており、教育内容の先進性や地域課題への対応力が高く評価されたという。
「課題解決型工学部」を標榜している。1年次に「基礎工学」「産学官共創演習」などを履修し、三つの専門領域の学びが将来の進路にどのように関係しているかを体験し、2年次に専攻を決める。教員1人に対して学生17人という少人数教育を実践。また高度な専門知識と研究実績を持つ基幹教員と、大手メーカーなどで豊富な実務経験がある産学官連携コーディネーター(実務家教員)が連携して指導に当たる独自の指導体制も特徴だ。給与を得ながら学ぶインターンシップや連携企業から提供された課題解決や新しい価値の創造に取り組む「工学PBL実践演習」などユニークなカリキュラムも計画している。
産学官連携、協力体制を構築 教員らの交流で得た新しい知見伝える
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協定書を手にする桃山学院大の中野瑞彦学長(右)と大阪公立大の綿野哲工学部長・工学研究科長 (25年3月) -
協定書を手にする桃山学院大の菊田久雄工学部長(左)と和歌山大の中村恭之システム工学部長・大学院システム工学研究科長 (4月)
連携する企業や行政などは約40社・団体を数える。大阪ガス、JR西日本、NEXCO西日本、極東開発工業、大阪チタニウムテクノロジーズ、新菱冷熱工業、モリ工業、奥谷金網製作所、ダイネツ、東尾メック、堀内機械、三進金属工業、スーパーツール、HCI、南海辰村建設、NIPPOなど多彩な企業が名を連ねる。自治体は和泉市。他大学や研究機関とも連携しており、大阪公立大学工学部・大学院工学研究科とは2025年3月、連携・協力に関する包括協定を締結した。教育・研究に関する支援・交流、教職員・学生の交流、施設・設備の教育的利用などが目的で、今年4月の工学部開設に先立ち、これまで大阪公立大の数人がアドバイザーとして関わってきた。
今後は教員らの交流を通じて得た新しい知見を学生に伝えたり、工学系のインターンシップ(就業体験)など桃山学院大にとって未経験の取り組みについて、大阪公立大からアドバイスを受けたりしたいとしている。協定締結式で、中野瑞彦学長は「(南大阪地域初の私立大学工学部として、同)地域を支えていくために、どのような考え方がいいか、どのように将来を展望するかについても、いろいろと知見の交流ができれば」と述べた。
また他大学との連携協定締結として2例目となる和歌山大学システム工学部・大学院システム工学研究科との連携・協力に関する協定を4月に締結。協定に基づき、教育・研究に関する支援や教職員・学生の交流、施設・設備の教育的利用などを進める。具体的には、教員交流による共同研究の推進や人材交流のほか、桃山学院大の学生が和歌山大を訪問して早期に研究現場に触れる機会の提供などを計画している。
協定締結式で、桃山学院大の菊田久雄工学部長は「桃山学院大(工学部)は大学院を設置する計画がない。いまの工学部は大学院に行くのが大きな選択肢になっている。(将来、和歌山大院が学生の進学の選択肢の一つになるように)つなげていきたい」と語った。
公設試験研究機関の大阪産業技術研究所とは教育研究連携に関する協定を締結しており、「工学キャリアデザイン演習」をはじめとした連携を通じ、地元中小企業を支える人材を育成する。
