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南大阪地域産業
万博を機に新たな挑戦
2025年大阪・関西万博が開幕し1カ月が経過した。堺市から南に位置する南大阪地域からも多くの企業が参加し、盛り上がりを見せている。万博を契機に多くの企業が新しい挑戦を続け、万博開催中だけでなく、万博終了後のレガシー(遺産)を残すべく奮闘する。
大阪ウィーク
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堺市はマインクラフトで古墳体験ができるブースを設置
堺市をはじめ、だんじり祭で有名な岸和田市、関西国際空港を擁する泉佐野市などの南大阪地域では、万博を契機に地域産業の活性化に取り組む。万博は関西全体をアピールする絶好の機会で、国内外から多くの人が来訪し、経済波及効果が期待されるだろう。
9—18日に万博会場で大阪府全体のイベントが行われた。9—10日にEXPOアリーナMatsuriで開かれた「大阪の祭!~EXPO2025春の陣~」では堺市や岸和田市、泉大津市など大阪各地のだんじりややぐら、太鼓台など40台が集結。会場中央で特色あるパフォーマンスを披露し観客を魅了した。
EXPOメッセでは9—11日、大阪府43市町村が参画するイベントを開催。「みなはれゾーン」では、堺市の打刃物や和泉市のいずみパールなどの伝統産品を展示した。「やりなはれゾーン」ではマインクラフトで古墳体験ができるようなコーナー、「たべなはれゾーン」では泉州地域の食材を活用したイタリア料理を販売するなど、大阪の食文化を発信した。
また泉大津市は17日、和泉市は18日に各市の独自イベントを実施。和泉市は同市内で伐採され、市内製材所で製材した和泉市内産木材「いずもく」を啓発するため、手作りのコースターを配布した。
大阪ウィークは7月24日—8月3日、9月5—17日にも開催予定。夏に向けて大きな盛り上がりが期待される。
全国の600以上の市町村が参加する「万博首長連合」が7月28—31日にEXPOメッセ「WASSE」でローカルジャパン展を開催。地域にあふれる日本の奥深さを五感で楽しみ味わえる体験型イベントで東北から沖縄までの43地域が参加する。泉佐野市と島根県益田市はコラボレーションによるステージイベント、岸和田市と貝塚市、香川県東かがわ市、高知県須崎市は手工芸に関するブース、泉大津市と泉南市、箕面市、京都府京丹後市は健康美長寿に関するブースなどを出展する。地域のコラボイベントを通じ、各地の魅力を発信する。
大阪ヘルスケアパビリオン
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大阪ヘルスケアパビリオンの各ブースに多くの人々が訪れている
南大阪地域の中小企業も多く参加している。メーンとなるのは大阪ヘルスケアパビリオンだ。
「めっちゃ人が来てくれている」—。MIZUKEN(堺市堺区)の待田裕美会長は目を細める。同社は水環境に関する体験型の「ウォーターラボミュージアム」を4月21—28日に出展。目玉は魚の絵がモニター上で泳ぐ演出だ。待田会長は「映像を流す時間になると子供たちがどっと押し寄せてくる」とうれしい悲鳴。ほかにも、川で採取した水の中の様子を顕微鏡で観察するブースを設置した。
またモアコスメティックス(堺市美原区)は4月13—20日、肌への刺激が少ないシャンプー製品を万博に出展。酢や塩基性アミノ酸を配合した弱酸性の洗浄剤で、皮膚への低刺激と高い洗浄力を実現した。亀田宗一社長は「目標は世の中からアレルギーをなくすこと。低刺激洗浄剤がそのきっかけになるとうれしい」と強調する。
また貝塚市はリボーンステージで、大阪河崎リハビリテーション大学と連携し、食と健康の課題解決に向けた取り組みを7月31日と9月8日に発表する。
海外との連携
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ヨルダンパビリオン前に掲げられた堺のこいのぼり
万博は自国の展示だけでなく、海外パビリオンとのコラボレーションが魅力の一つ。堺市は4月24日、伝統産業である堺五月こいのぼりを活用したワークショップを万博のヨルダンパビリオンで開催。全長5・4メートルの手描きのこいのぼりに、国内外の参加者が平和の願いや未来に向けたメッセージをクレヨンで書き込んだ。さらにヨルダンの伝統織物を縫い付けたこいのぼりが、8日から5月下旬までヨルダンパビリオンで掲揚されている。
こいのぼりの制作を手がける堺五月鯉幟・高儀(堺市西区)の6代目高田武史氏は「手作りのこいのぼりを知ってもらえる絶好の機会。海外の人からのメッセージもうれしい」と語った。
これ以外にも、和泉市が友好都市の中国江蘇省南通市から代表団を受け入れ、万博でコラボステージを開催する。他国の伝統や文化に触れ、国際交流を推進する。