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南大阪地域産業
国内外から旅行者周遊/地域潜在力生かすアピール カギ
2025年大阪・関西万博開催を契機に、各地で機運醸成のための多くのイベントが実施されてきた。万博会場だけではなく、まち全体をパビリオンと見立て、社会課題の解決や地域創生につながるイベントやプロジェクトが進む。
堺市
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堺市を見渡せるガス気球のイメージ(アドバンス提供)
堺市や堺商工会議所が2月に立ち上げた推進会議で、万博の取り組みに関わる指標を公表。万博の関連事業者数は23年4月—25年10月で累計500社、万博を契機とした学びや体験機会の創出件数を24年4月—25年10月で70件とする目標を掲げている。万博では関連する地域に国内外からの旅行者が周遊することでの経済効果を見込んでいる。地域の潜在能力を生かしたアピールが重要になる。
堺市は1日、運行を延期していたガス気球事業を再開すると発表。万博開催中の10月上旬の運行を目指すとした23年5月に大仙公園(堺市堺区)で気球の運行が中断した理由となったガス漏出の原因を洗い出し、気球設備を一新した。アドバンス(兵庫県豊岡市)が気球事業を運営する。気球の調達や工事費用など投資額は3億円。年間6万人の利用を見込む。
都市部でのガス気球の運行は初めて。永藤英機市長は「気球から見る堺や大阪、関西の魅力を感じてほしい」と強調した。
気球はヘリウムガスの浮力で高度約100メートルに上昇し、機械設備で昇降する。運行時間は約15分。搭乗料金は大人1人4000円前後(消費税込み)を見込む。定員は30人。万博を契機に新たな観光名所を作り誘客する。
堺市は大仙公園で民間事業者による運行を目指すガス気球に堺市の小中学生を招待する事業に25年度当初予算を盛り込んだ。世界最大の墳丘を有する仁徳天皇陵を含む世界遺産「百舌鳥古墳群」や、堺の町並みを眺望できる気球体験を通し、世界遺産を次世代につなぐ。永藤市長は「気球が運行できれば堺市の良いコンテンツになる」と強調する。
堺市では25日に大仙公園で茶道三千家が一堂に会する大茶会を開く。世界の楽器で奏でられる音楽のステージもあり、お茶と音楽が楽しめる。万博に関連したイベントを通じ、観光資源の磨き上げや次世代人材の育成で堺市の活性化につなげていく。
岸和田市や泉佐野市など
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万博では大阪府のだんじりが集合し、パフォーマンスを披露した
万博期間中の9—10月には岸和田市でだんじり祭が行われる。5月の大阪ウィークで行われただんじりのパフォーマンスをきっかけに、高速で角を曲がる「やりまわし」など現地での迫力ある技術を見に多くの人々が訪れるだろう。
泉佐野市は地元の特産である泉州タオルを多くのイベントで配布している。後ざらし製法で作られた泉州タオルは抜群の吸水力を誇る。生地を織り上げてから洗い流すための作業工程が減ることで、水やエネルギーの使用量が少なくなり、環境に配慮している。
持続可能な開発目標(SDGs)への貢献を国内外にアピールする。
また泉佐野市は大阪府共通のふるさと納税返礼品として入場チケットを提供。19日時点での寄付総額は1億1280万円、チケット枚数は5500枚となった。集まったふるさと納税から経費を引いた金額を大阪ヘルスケアパビリオンの運営などに生かす。
オープンファクトリー
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オープンファクトリーに参加する町工場は万博のサテライト会場になる
さらに毎年恒例となっているオープンファクトリー(OF)の取り組みの準備が進んでいる。大阪府八尾市を中心とする地域一体型OF「ファクトリズム」が25年度は10月23―26日に開催される。南大阪地域からも堺市や和泉市、高石市などが参加。町工場が町のパビリオン、サテライト会場になることを目指し取り組む。万博をモノづくり文化発信の好機と捉え、世界の共創やコミュニケーションツールとしてOFを活用したい考えだ。出展企業の参加申し込みは31日まで受け付ける。
また泉州地域の製造業などが参加する体験型イベント「泉州オープンファクトリー」は万博開催期間中の9月27日—10月3日に開催される。モノづくりの工場やお店の見学、体験、販売などの形で一般公開する。開催エリアは岸和田市や貝塚市、泉佐野市、泉南市、阪南市などの泉州全域に及ぶ。6月17日に企業向けの参加説明会を実施する。
万博と各地のイベントの相乗効果で地域の魅力を国内外に発信し、地域の活性化につなげる。