-
業種・地域から探す
続きの記事
リチウムイオン電池&全固体電池
リチウムイオン電池(LiB)はエネルギー密度や出力密度が高く、繰り返し(サイクル)寿命が長いなど優れた特徴を持つ。電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)など電動車(xEV)市場の拡大に伴い、LiBの生産を支える部材メーカーは生産増強を図る一方、製造装置メーカーなどではこれまでの経験とノウハウを生かして電池市場での存在感を高めている。また電解質を固体で構成する全固体電池は量産化を視野に入れた動きにも注目が集まる。
経産省、3479億円助成
【リチウム電池】部材=増産/装置=存在感 【全個体電池】量産化
-
鏡面スリット加工品(仲代金属提供)
脱炭素社会に向けて、再生可能エネルギーに加え、EVやPHVなどの普及が進む中、キーデバイスとなる車載や定地用の蓄電池の重要性が高まっている。また、建機や農機のほかバイクの電動化やキックボードなどモビリティー関連の普及拡大似合わせ蓄電池の需要増大が見込まれている。
経済産業省は6日、経済安全保障推進法に基づき、EV用車載電池や部素材、製造装置に関する設備投資や技術開発の支援を行うと発表した。トヨタ自動車や日産自動車、パナソニックホールディングス(HD)など12件の投資計画を支援する。
総投資額は1兆70億円で、うち最大3479億円を助成する。国内の電池生産能力は、従来比約40%増の1億2000万キロワット時になる見通し。世界での調達競争激化を受け、電池のサプライチェーン(供給網)強靱(きょうじん)化を加速する。
経産省は22年8月31日、「蓄電池産業戦略」を発表した。30年までに車載用や定置向けLiB・材料の国内製造基基盤を年間で1億5000万キロワット時とすることを目指している。
また蓄電池産業戦略では全固体電池を中心とした次世代蓄電池技術への開発支援を強化。日本が強みとする研究開発力で国際的にリードする。LiBが主流の中、30年頃の全固体電池の本格実用化やハロゲン化物を含めた新しい電池分野で技術的優位性の確保を目指す。
車載用/再利用に安全基準
製品評価技術基盤機構(NITE)と日本自動車研究所(JARI)は、日本の蓄電池産業の強化に向けて包括的に相互協力する協定を今年7月26日に結んだ。次世代蓄電池の評価方法の確立のほか、車載用蓄電池を再利用する際の安全基準や評価方法の整備などで協力する。定置用蓄電池の知見を持つNITEと、車載用蓄電池の知見を持つJARIが組み、新たな評価方法の開発や標準化を進める。
脱炭素社会の実現に向けて、全固体電池をはじめとする次世代蓄電池の研究開発が各国で進められている。次世代蓄電池は、従来のLiBとは異なる材料系で構成されており、その性質に応じた適切な評価方法により、安全性などの性能評価が求められる。
EVの世界的な普及とともに、使用を経て中古となった車載用蓄電池の活用(リサイクル)が課題となっており、定置用蓄電池システムなどへの転用が模索されている。
中古蓄電池の内部状態は、新品時とは異なるため再利用時の安全性に関する基準や評価方法の整備も必要となる。NITEとJARIとの間で情報交換や試験・研究設備の相互利用などの協力、連携を行い、新たな蓄電池システムの評価方法の開発や標準化などを推進する。
こうした中、各種非鉄金属の受託スリット加工を専門とする仲代金属は、LiBなどに搭載するタブリード材料のスリット加工で多くの実績を持つ。タブリード材料は電池の機能性発揮に欠かせない部材。独自の「鏡面切り加工」により、EV用途の高度な加工要求に対応している。
極細スリット品に長手カットを施すシートカット加工にも注力しており、製造した微細ニッケル(Ni)小片L字型は、日本産業規格(JIS)「JISC8714:2007」の二次電池の安全性試験に採用された。電池本体向けと、安全性試験向けの双方で貢献している。同社は創業50年を迎える。
クボタと栗本鐵工所は、LiBなど二次電池の原料となる電極スラリー向けに、連続式の生産システムを共同開発すると2月に発表した。約2年間の共同研究開発契約を締結した。
クボタの重量式フィーダー(原料供給装置)と栗本鐵工所の2軸混練機を組み合わせたシステムを構築する。これにより開発スピードの向上と電池メーカーへの提案力強化につなげる。
今後、電極スラリーの原料の特性に合わせた装置の設計や、金属の異物が混入しない設備内部の材質などを共同で開発する。
電極スラリーは電極材やバインダーなど複数の原料で構成する。特性が異なる原料を適切な配合比で安定して供給できる技術や、できるだけ性状を変化させることなく均一に混練させる技術が電池の性能を左右する。
両社は二次電池の安定供給に貢献していくことで、電動化の推進やカーボンニュートラル社会の実現を目指す。