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九州中央支局特集
~「Re」につなぐ企業
九州で「Re」をテーマにした取り組みが広がる。台湾積体電路製造(TSMC)が明らかにした、建設中の熊本第2工場(熊本県菊陽町)での回路線幅3ナノメートル(ナノは10億分の1)の先端半導体を生産する計画は、「シリコンアイランド九州」の存在感をさらに強固にする。その熊本は4月、熊本地震発生から10年を迎え、着実に再興(Revival)が進んでいる。
佐賀では体験型複合施設「スノーピークグラウンズ吉野ヶ里」が3月18日に開業する。九州最大規模のキャンプ場を備え、弥生時代の建造物をモチーフにした宿泊施設などは大型公園の刷新(Renewal)の好例だ。
長崎は8日の知事選で平田研氏が初当選。3月2日の初登庁から県政は新たな船出(Restart)を切る。鹿児島では「かごしま茶」の生産量が全国一に躍進した。文字通り全国にお勧め(Recommend)できる県産品となった。
九州中央支局(佐賀県鳥栖市)管内(佐賀県、長崎県、熊本県、鹿児島県と福岡県南部の一部)ではモノづくりなどで「Re」に関する活動を活発化させ、輝く企業が多い。独自の技術・サービスで再生(Reborn)や改修(Renovation)に取り組み、永年の事業継続でこれまでの歩みを思い起こす(Remember)企業は、地域経済の活性化に貢献する尊重(Respect)すべき存在だ。
産業界に多くの気付き(Remind)をもたらす「Re」につなぐ企業を紹介する。
アサヒエンジニアリング/金型製造機能を強化
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アサヒエンジニアリングは事業拡大に向けた投資を進める
アサヒエンジニアリング(福岡県久留米市、石井正明社長)は半導体産業の市場拡大をにらみ、自社製品に用いる金型の製造機能を増強する。本社がある久留米市内の工場で金型製造に必要な機械を導入するほか、2025年10月には精密金型を手がける協力会社の佑和プロテック(同大野城市)を子会社化。生産能力は従来比25%増となる見込みだ。
アサヒエンジニアリングが他の企業をグループ化するのは初めて。今後の企業成長を見据えた話し合いを重ねていく中で、子会社化に至った。
同社は半導体製造装置メーカー。後工程で使用される封止装置などを主に手がける。パワー半導体や薄型成型などの分野で同社の製品が使われており顧客のニーズに応じた製品のカスタマイズにも対応する。
国外にも拠点を設けるなど営業体制の充実も図ってきた。台湾や、シンガポールなどのアジアを中心に拠点を設置しており国内外からの需要獲得を狙う。
熊防メタル/新施設で検査サービス事業拡大
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センターにはトラック積み込みスペースを設けて、より短納期での納品を目指す
熊防メタル(熊本市東区、前田博明社長)は約1億円を投じた新施設「検査・物流センター」で、半導体製造装置部品の検査サービス事業を拡大する。加工会社から送られた部品に表面処理を施した後、検査・納品まで一貫して手がける。これまでは表面処理を施した部品を加工会社に返送。加工会社から装置メーカーへ納品されていた。検査サービスの利用企業からは工数削減、受け入れ事務の簡素化といった点で高評価を得られているという。
同センターでは在庫管理を一部担うことも見込む。装置メーカーからの突発的な需要に応えられるようになり、納期短縮にもつながる。顧客と在庫情報を共有できる管理システムを6月めどに立ち上げ、情報共有の密度を高める計画もある。
熊防メタルでは設備増強に加えて人材育成にも注力してきた。前田社長は半導体産業の市場拡大を見込み、「市場の様子を見つつ、事業を拡大していきたい」と意気込む。
フジヤマ/「エンジニアマインド」大事に
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エンジニアリング全般を手がけるフジヤマの本社
フジヤマ(鹿児島市、藤山和久社長)は、エンジニアリング全般を手がける。メンテナンスや設備・プラント工事、計装制御、自動機、コンピューターと、顧客のあらゆる分野をカバーできる。
システムエンジニアリングにも力を入れるが、単にコンピューターを利用したシステムではなく、「何でもやる」という持ち味を生かした総合エンジニアリングの足がかりと捉えている。機械、電気、コンピューターの担当者が全体の組み合わせを考え、最適なエンジニアリングとソリューションの提供につなげている。
同社の社章は「心」の文字に由来する。人の心を大切に、常に感謝の気持ちを持ち続ける。技術だけではなく、心も一流を目指す気持ちを込めた「エンジニアマインド」をテーマに総合エンジニアリングを創造する。
本社は「錦江湾」とも呼ばれる鹿児島湾近くにある。同湾北側には桜島を望む地で顧客のモノづくりを支えるために奮闘を続ける。
戸上電機製作所/独自のカイゼンに磨き
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開閉器の付属品は収納場所の棚が光るシステムを採用
戸上電機製作所(佐賀市、戸上信一社長)は高圧開閉器や制御機器などを手がける。電力会社向けの配電機器や電気工事の施工管理などを含めて、インフラ全般を支えている。
主力の開閉器の生産工程では「カイゼン」を加速させている。開閉器に組み付ける各種部品は複数ロットでまとめていたが単一の配膳台車で管理できるようにした。作業者が台車の上から下へ順に作業することで個人差が出ず、部品在庫を管理しやすい利点がある。
デジタル化対応も推進する。開閉器へのねじ付けも締め付け強さをデータ管理した。出荷する開閉器の付属品となるアース線やグリースなどはQRコード識別により収納場所の棚が光る「ピッキングシステム」を採用。作業者は瞬時に必要な付属品の場所が分かる。
製造本部機器製作グループの高柳典弘マネージャーは「製品だけでなく、生産工程の工夫も自前でやるのが当社の強み。今後も独自のカイゼンに磨きをかけたい」と意気込む。
湯川王冠/新工場稼働で受注・新規開拓 強化
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本社工場隣接地で新工場を稼働させる
湯川王冠(長崎県佐世保市、湯川紘充社長)は今春ごろをめどに、産業機械や半導体・液晶製造装置などの部品を製造する新工場を稼働させる。敷地面積は現工場と同等規模で稼働後の部品加工力を高めて部品加工力に余裕を持たせ、販路拡大につなげたい考え。
湯川王冠は本社工場に隣接する長崎県北部の佐世保機械金属工業団地(長崎県佐世保市)内の遊休地と、平屋建ての工場棟、2階建ての事務所棟を取得した。2棟は取り壊さず屋根の修繕後に”居抜き”で活用する。新たな機械導入の検討とレイアウト案を今後詰める。部品加工はインフラ設備やプラント、電気制御など、全国から幅広く請け負う。
同社の祖業は社名が示すように酒用キャップ製造だが、現在の主力は半導体・液晶製造装置や産業機械の部品加工、精密板金加工へと事業転換している。新工場稼働で強みの多岐にわたる部品加工への対応幅をさらに広げ、既存受注先と新規開拓の強化を目指す。
ワイビーエム/長期目標 自社機で「月に穴を掘る」
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ワイビーエムは地盤改良機やボーリングマシンなどを手がける
ワイビーエム(佐賀県唐津市、吉田力雄社長)は、地盤改良機やボーリングマシン、水処理装置などを手がける。長く培ってきた掘削の技術と地中熱や水を用いた開発力、応用力をもとに、持続可能な地球環境づくりに貢献している。顧客の課題に向き合い、多種多様な要望に応えるために営業から設計開発、製造までを自社一貫体制で取り組んでいる。
同社は4月5日、創業80周年を迎える。80周年を起爆剤に永続的な企業を目指す中、100周年となる2046年には自社機で「月に穴を掘る」ことを目標にしている。月面掘削を可能にする最先端技術に磨きをかける。
立命館大学と宇宙航空研究開発機構(JAXA)による「月面探査・利用を産業化するための宇宙機器開発・人材育成拠点」や、佐賀県内の製造業で構成する組織「佐賀県宇宙関連業務研究会(STAR WORKS SAGA)」など宇宙関連プロジェクトにも参画。同社の夢実現への事業を強化している。
ニシハツ/非常用発電機を効率的に生産
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非常用発電機を生産するニシハツの工場
ニシハツ(佐賀県唐津市、宮元俊樹社長)は非常用電源として使われる自家発電装置などを手がける。同社工場では非常用発電機を効率的に生産できる体制が整っている。大型機種を製造するためにファイバーレーザー加工機やタレットパンチプレス、天井クレーンなど、幅広い機械を設けているのが強みだ。
工場は福岡方面にアクセス良好な西九州自動車道の唐津千々賀山田インターチェンジからすぐの場所で、物流面での利点も大きい。
工場事務棟入り口近くには調理場を備え、できたての温かい昼食を提供する食堂が設けられた。昼休みに活気づく社員食堂は福利厚生の充実とともに製造やメンテナンス、営業、管理、事務など職種を問わず、全社員が一体となって交流を深める場でもある。
同社では地元の佐賀県立唐津工業高校や同唐津商業高校といった高校のほか、高等専門学校、専門学校、短期大学、大学、大学院などから集まった幅広い人材が活躍している。
