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葛飾区産業
東京都の北東に位置する葛飾区は、金属プレス、プラスチック製品、機械部品、工業用ゴム、皮革、玩具など多様な業種を手がける小規模の町工場が数多く集積する。区内企業は優れた技術力を生かした自社製品製造や、大学などと連携した研究開発に取り組むことで、モノづくりを取り巻く環境の変化に対応している。
中小企業の技術を集結
知的トレーニング装置の試作機/東京理科大と区内4社が開発
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知的なトレーニング装置の試作機「WING PROTO2」
葛飾区は産学公連携を進めてきた。区内にキャンパスがある東京理科大学とカインズ、ラヤマパック、ミヨシ、SOLINEXの区内4社とともに知的なトレーニング装置の試作機「WING PROTO2」を開発した。今後は1人ひとりの運動能力や体調に応じ、モーターを制御して荷重を調整し、従来のトレーニングマシンのように金属製ウエイトを付け替えて荷重を調整する必要がなくなるように開発を進める。
アスリートに対しては競技種目や競技日程に応じたトレーニングの実現が期待される。一般人についても、個人の体力・筋力に応じた効果的な運動が実施できるようになる予定だ。
「WING PROTO2」は東京理科大工学部の橋本卓弥准教授(橋本研究室)が開発中の知的なトレーニング装置の研究成果を社会に普及させていくための試作機だ。23年には「WING PROTO1」を発表し、その後、動作改良に加えソフトウエアによる荷重設定やトレーニング記録を可能にするなど大幅に進化させている。
2025年7月には、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催された国内最大級のスポーツ分野の見本市「SPORTEC2025」に出展した。19日から始まる町工場見本市では、さらなる改良版を展示する予定だ。
開発は21年度に東京理科大との産学公連携に関心のある区内企業を公募しスタートした。22年度には、公募で集まった企業4社と研究開発テーマを検討を始めた。
21年に厚生労働省がまとめた「健康づくりのための身体活動・運動ガイド」でも、子ども、成人、高齢者に分けて科学的根拠をもとに個人差に応じて強度や量を調整し、できることから取り組むよう推奨している。こうしたことなどを理由に、東京理科大の橋本研究室で開発を進めていた同装置の社会実装を目指すことにした。
第12回町工場見本市/「アトツギ甲子園」出場経験ある後継者 大集合
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東京ビッグサイトで開いた前回の町工場見本市
東京都葛飾区、東京商工会議所葛飾支部は、「第12回町工場見本市」を19、20日の両日、東京国際フォーラム(東京都千代田区)で開催する。開催時間は10-17時(19日は16時30分)。テーマは「中小にしかできない『技術(こと)』がある-モノづくりの見本市」。葛飾区内だけでなく近隣の墨田区、台東区、荒川区なども合わせ機械・機器、金属加工、ゴム、プラスチックなどの業種から54社が出展し、製品や得意とする技術を披露する。
今回の企画展示では多くの製造業で問題となる後継ぎ問題をテーマとした、他地域連携「アトツギの挑戦」がある。実際に「アトツギ甲子園」(主催=経済産業省・中小企業庁)に出場経験がある製造業後継者が集まる。会場では後継者であるアトツギらによる、事例紹介や事業承継から新規ビジネス立ち上げまでリアルな体験談やアイデアを聞くことができる。
19日には併催セミナーとして「中小企業の事業承継をイノベーションのチャンスと捉える。地域産業の新たな未来を切り拓く、ベンチャー型事業承継とは。」をテーマに、一般社団法人ベンチャー型事業承継(東京都千代田区)事務局長の山岸勇太氏が講演する。また「アトツギ甲子園出場者が全国から大集合~モノづくりGROWTHピッチin町工場見本市~」が行われる。アトツギ甲子園に出場した後継者のほか、葛飾区内企業の後継者らが参加する。
一つの部品に複数の中小企業が関わっていることもあり、1社が廃業し、欠けてしまうと全体として機能しなくなることもある。葛飾区では10年前から金融機関、税理士、中小企業庁との連携による後継者や事業承継問題に関する支援体制を構築している。
優れた製品・技術を認定 ストーリー漫画で発信「葛飾町工場物語」
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葛飾町工場物語の表紙
葛飾区は区内製造業の優れた製品、技術を分かりやすく伝えるため葛飾ブランド「葛飾町工場(まちこうば)物語」として認定している。2007年度にスタートし、認定された製品(製品・部品など)には町工場物語のロゴマークを使用する権利が付与される。認定製品は「葛飾町工場物語」として、どんな企業なのか、製品の開発、製造背景やエピソードを交えてストーリー性のある漫画で紹介する。漫画は冊子のほか区のホームページや広報誌に掲載し区内外に発信している。
また同ブランド認定製品を持つ企業には東京ビッグサイトで開催される国際見本市や「町工場見本市」「葛飾区産業フェア」などへの出展により、販路拡大や販売促進などビジネスチャンスを広げる機会も提供される。
認定の審査は、葛飾区と東京商工会議所葛飾支部が行う。認定の対象は葛飾区内に主たる事業所を有する製造事業者が国内で製造している製品、部品。認定時に製造販売、受注が可能で、十分な安全性を有している製品、部品が対象になる。
25年度は、ミズホ金属の「ドラム缶部品の製造」、カワイチ・テックの「高充填混練り技術」、カツシカの「繰出容器」、橋本精密工業の「避雷用コネクタ」、勝島製作所の「地震計測機器」と、5件の製品・技術が認定された。合計認定数は104件となった。
認定製品のストーリー漫画は冊子での配布や葛飾ブランド町工場物語のウエブサイトのほか、「Amazon」の「Kindle」で無料ダウンロード可能だ。
葛飾区は葛飾ブランド「葛飾町工場物語」プロモーション支援を25年度から始めた。葛飾ブランド認定企業に対し、プロモーションに特化した業者が企業に伴走しながら、PR戦略立案および実践を行うことで、企業認知度の向上、販路拡大・販売促進へつなげていく。
25年4月に募集し5社を選んだ。認定企業は、会社の認知度向上、YouTube、SNSの活用、新規顧客獲得、SNS運用強化など各社の狙いや課題解決のためにSNSなどを活用したプロモーション技法を身に付ける。そして自社製品などのプロモーションを自ら行えるように企業のリスキリングを実施する。個々の企業がプロモーション力を強化することにより、葛飾ブランド全体のPR力の底上げを図る。
ただ1年間の支援では、取得したデータの分析にとどまり、データに基づいた改善施策まで行えない。このため葛飾区では支援を受けている企業がプロモーションを自走できるよう2年目も継続支援する予定だ。
