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IIFES2025(2025年11月)
オートメーションと計測に関する先端技術や製品、ソリューションの総合展「IIFES(アイアイフェス)2025」が、19日から21日までの3日間、東京・有明の東京ビッグサイト東展示棟4—6ホールと会議棟で開催される。主催は日本電機工業会(JEMA)、日本電気制御技術工業会(NECA)、日本電気計測器工業会(JEMIMA)。開場時間は10時から17時まで。入場は完全事前登録制で、公式ホームページから参加申し込みができる。
ものづくりの未来が集う—革新・連携・共創
オートメ・計測—先端技術 集結/製造業・社会インフラ支える
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オートメーションと計測の最先端情報を発信する(IIFES2024) -
制御・駆動・計測を軸に、IoTやAIを駆使して製造業を支える技術が集結する(IIFES2024)
IIFESは「Innovative Industry Fair for E × E Solutions」の略称。オートメーションと計測の先端技術総合展として2年に一度開催されている。前身の「システムコントロールフェア(SCF)」と「計測展TOKYO」を一つの展示会として2019年に名称を統一し、IIFESとして4回目となる。227社・団体、914小間が出展し、来場者数は5万人を見込んでいる。オンライン展は実施せず、リアル展に注力する。
IIFESで展示される技術や情報は自動車、鉄鋼、化学などの産業分野をつかさどる制御・駆動・計測を軸に、IoTやAI(人工知能)などデジタル技術を駆使して製造業や社会インフラを支えている。
スマート工場
2011年にドイツが「インダストリー4・0」を提唱したことから、デジタル技術を活用して製造業の高度化を図る第4次産業革命の動きが世界に広がった。
目指す姿は工場内の設備、機械、機器、人がインターネットを介してつながり、自律的に生産の最適化を図る“スマートファクトリー”だ。日本では社会課題を解決する視点から“超スマート社会”を目指す「ソサエティ5・0」を掲げている。
2024年にアビームコンサルティング(東京都中央区、山田貴博社長)が調査した結果によると、日本の製造業でスマートファクトリーに取り組んでいる企業は4割未満にとどまっている。工場のデジタル化にとどまらずサプライチェーン(供給網)や研究開発(R&D)、設計との連携などに広がりを見せているものの、既存の工程・レイアウトの延長線上で進めた結果、自動化機器が高額化し、思ったほどの改善効果が得られていないといった課題が浮上しているという。
経営層の参加
スマートファクトリーで目指す姿としては「完全自動化の実現」が45・7%と最も多く、次いで化学や鉄鋼・非金属・金属などのプロセス産業では「工場とサプライチェーンデータの連携」が多かった。経営層の関与も成否を分けるポイントで、スマートファクトリーに対し「経営層の活動理解度が高く、積極的に参加している」という企業の83・3%は「うまくいっている」と回答した。
原点回帰
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来場者にワクワク感を感じてもらおうと注力した実行委員会の高柳委員長(右から2人目)と副委員長ら
IIFESでは進化する工場・施設設備、要素技術からソリューションまで集結し、標準化の動きなど最新情報が発信される。今回の開催テーマは「ものづくりの未来が集う 革新・連携・共創」。
オートメーションと計測の先端技術総合展として“原点回帰”し、実機を見て触れて、デモ展示で体験できる場を提供。IIFES実行委員会では「ワクワク感や未来感を感じてほしい」という思いを込めた。日本のモノづくりの未来のために、革新・連携・共創のためのプラットフォームの役割を担う。
【インタビュー】 IIFES実行委員会 委員長 高柳 洋一 氏(東芝スマートマニュファクチャリング事業部 技師長)
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IIFES実行委員会 委員長 高柳 洋一 氏(東芝スマートマニュファクチャリング事業部 技師長)
AIやIoTなどのデジタル技術を活用して製造業の高度化を目指す第4次産業革命の動きをいち早く捉え、情報発信してきたIIFES。日本の現状と展示会の見どころをIIFES実行委員会の高柳洋一委員長(東芝スマートマニュファクチャリング事業部 技師長)に聞いた。
—IIFESは第4次産業革命の動きを早くから発信してきました。現在地は。
「ドイツが『インダストリー4・0』を提唱し始めたのが2011年なので14年たった。標準化が進んでいる欧米ではスマートファクトリーやスマートマニュファクチャリングを実現する動きが進んでいて、自動車業界などのデータ連携も実装段階に入っているが、日本は思うように進んでいない」
—進まない要因はどこにありますか。
「多くの企業がIoTに対応した新しい機械・機器を導入しているものの、既存の機械については対応していないケースが多い。古い機械などをつなげるためのオープンスタンダードとして『アセット管理シェル』があるが、標準化が苦手な日本ではなかなか浸透しない。原因の一つとしてOT(制御・運用技術)をインターネットにつなぐことに対し、IT分野の知識にたけていない製造現場にはまだ抵抗感があることが挙げられる。とはいえ、企業のDXを進めるには避けては通れない。DXを進展させるには欧米のようなトップダウンが不可欠で、現場主義のボトムアップ型な日本ではITリテラシーの向上も重要になる」
新たな“共創”始まる/「IT」「OT」連携で全体最適
—今回のキーワードは「革新・連携・共創」です。
「最先端の革新技術として注目されるのは生成AI。関連のスタートアップも出展する。画像処理による不良品選別や、機械・機器の故障予兆、生産の最適化を実現するツールとして期待される。また、全体最適を図るために欠かせないのがITとOTの連携だ。IT企業の出展も増え、OTセキュリティー関連も多く提案される。さらに、スタートアップ、SIer、エンドユーザーといった、これまでにはない企業同士の共創が始まっている。新たなエコシステムが形成されている」
—IIFESのおすすめの歩き方はありますか。
「今回は“原点回帰”にこだわり、リアル展示会に注力した。近年、データ連携や最適化を図るシステムなどのソリューション提案が多くなっていたが、会場では駆動・制御機器の実機展示やデモも多く見られるはずだ。出展各社がさまざまな分野を複合的に提案しているので、テーマを決めて回るとよいだろう」
