-
業種・地域から探す
続きの記事
住宅産業
住宅展示場 見学のポイント/住まいづくり 成功に導くための活用法

住まいのナビゲーター、一級建築士、福祉住環境コーディネーター 亀井 真理
【執筆】住まいのナビゲーター、一級建築士、福祉住環境コーディネーター 亀井 真理
【プロフィル】2008年より一級建築士事務所主宰。20年より住まいづくりナビセンターの住まいのナビゲーターとして住宅相談、セミナー講師などを担当。
初めての家づくりでは「何から始めるか」などの疑問が浮かぶ。そのような時、最新の住まいを目にすることができる住宅展示場見学は、家づくりの第一歩となる。近年、働き方や暮らし方が多様化し、住まいに求められる空間が変化しており、耐震や省エネルギーなど住宅に求められる性能も大きく変わっている。実際に空間を体験することで、プランニングや最新の設備などのトレンドを知り、理想の住まい実現のヒントを得ることができる。計画的かつ効率よく住宅展示場見学をしてみよう。
住まいづくりで大切なこと
住まいづくりは家族全員が納得できる住環境を計画し、快適で安心して暮らせる空間を整えることが大切である。まず、今の住まいで気に入っていること、改善したいことなどを家族で話し合おう。それぞれの好みやライフスタイルを尊重しながら、将来の生活の変化にも対応できる理想の住まいをイメージすることが重要となる。
さらに、空間の質、例えば居心地の良さや使いやすさを追求することで、日々の生活がより豊かになる。また資金計画と要望のバランスを取りながら、計画を具体化していくことも重要なポイントとなる。住まいづくりのパートナーとして信頼できる依頼先と相談しながら、自分たちに合った理想の住まいを実現していこう。
リアルで見ることの意味
住宅展示場見学は住まいの快適さを自分の五感で確かめる貴重な機会である。もちろん、最近よくあるバーチャル見学は気軽にモデルハウスを見ることができて便利だが、リアルに見学する場合は、空間の広がりや雰囲気、質感などを実際に感じられることが大きな魅力である。例えば、吹き抜けのあるリビングでは、音の響きや光の入り方、反射、さらに温度の変化を身体で感じて心地よさを確かめることができる。
また、実際の空間に身を置いて家族のコミュニケーションがどのように生まれるかを意識することもできる。さらに、バリアフリーについても確認しておきたい。階段の段差や廊下の広さ、手すりの有無などを実際に歩きながらチェックすることで、年齢を問わず暮らしやすい住まいを実感することができる。家事の動線、収納の使いやすさも参考になる。
建材の質感や窓、設備などに直接触れると、住まいの機能や快適さをより実感できる。リアルに体験することで、理想の住まいの条件をより明確にすることにつながる。
見学のタイミングと情報収集
住宅展示場の見学は、住まいづくりの進行状況に応じて適切なタイミングで行うことが重要である。まず、初めのイメージを作る段階では、住宅メーカーの特徴を把握し、外観や構造、工法の違いを確認しながら、間取りやインテリアの好みを整理するとよい。依頼先を数社に絞り込んだ後は、自分たちの希望が実現できるか時間をかけて比較検討する。最終段階では、予算と希望のバランスを考えながら、具体的に詳細な打ち合わせを進めることになる(図1)。
見学時には目的を明確にし、希望する条件を整理しておくことが大切である。二世帯住宅や賃貸併用、3階建て、屋上テラス、防音室など、こだわりたい要素をリスト化することで、効率的に比較検討ができる。完成希望時期から考えたスケジュールも考慮しよう。
チェックリストを作成し、モデルハウスを回りながら書き込むことで、情報を整理しやすくなる(図2)。
また、各モデルハウスで同じ質問をすると、回答による違いでそれぞれの特徴を把握しやすい。
さらに、モデルハウスには標準仕様とオプション仕様があるので、気になるところの仕様はどちらなのかを確認しておくことも大切である。耐震性や断熱性能は、助成や減税などに関係することが多いので、説明を受けておこう。そのほかに、完成後のアフターメンテナンスや保証内容、さらに詳細な情報を得る機会があれば足を運んで、望ましい依頼先を見極めるとよい。
モデルハウス見の準備
見学では長時間歩き回ることが多く、快適に見学できるように動きやすい服装や脱ぎ履きしやすい靴を選ぼう。
事前に作成したチェックリストと筆記用具を手に、気に入ったデザインや設備はカメラやスマートフォンで撮影するとよい。さらに、モデルハウスと自宅を比較できるように、メジャーを持参すると便利である。事前に自宅の家具などの寸法を測っておくと、レイアウトをイメージする際に役に立つ。
事前の準備で、展示場での見学をより充実したものにできる(図3)。
住まいづくりを成功させるには
住まいづくりを進めるうえで大切なのは、計画的な準備と家族全員での意見の共有である。まず、土地選びから設計、施工、入居までの流れを理解し、それぞれの段階で何を決定する必要があるのかを整理しておくことが重要となる。
また、住まいのイメージを具体的にしておくことも大切である。家族がどのように過ごすかを考えながら、例えば家族が集まりやすいリビングでだんらんの時間を楽しむ、ワークスペースを設けて仕事がしやすい環境を整える、趣味やリラックスできる空間をつくるなど、それぞれのライフスタイルに合わせたアイデアをまとめるとよい。
間取りや材質などを考える場合、全てを満足させるのは難しい。希望する条件には優先順位を決めておくと、スムーズな意思決定ができる。好みのデザインや間取りについては、写真などを見ながら依頼先とイメージを共有することで、より納得できる住まいづくりにつながる。モデルハウス見学で、実際の空間の広がりや設備の使い勝手を体験し、暮らしやすさを確認しながら計画を進めよう。
将来の家族構成の変化や年齢を重ねることにも対応でき、省エネや環境に配慮した、長く快適に暮らせる住まいを目指したい。



