-
業種・地域から探す
続きの記事
第63回技能五輪全国大会/第45回全国アビリンピック(2025年10月)
10月17日から20日までの4日間、愛知県国際展示場(愛知県常滑市)を主会場に「第63回技能五輪全国大会」が開かれる。愛知県内の6会場と県外の6都県9会場で選手たちが技能を競い合う。同時開催で「第45回全国障害者技能競技大会(全国アビリンピック)」が17日から19日の3日間、愛知県国際会議場で開催される。技能五輪は2028年に開催が決まった国際大会まで愛知県での全国大会の開催が決まり、ますます盛り上がりを見せている。
卓越した技を競い合う熱戦の舞台
国際大会に向け競争力強化 中小の選手支援も
-
国際大会でも注目を集める「情報ネットワーク施工」職種
厚生労働省は、21年ぶりの自国開催となる28年の技能五輪国際大会を見据え、競技力強化の方向性を示した。メダル獲得を狙える職種への重点支援に加え、より多くの職種への選手派遣も目指す。所属先が中小企業など訓練機会の確保が困難な職種に配慮した支援策も講じる。先駆けて26年に開かれる中国・上海大会に向けた人材育成指針の中で、中長期的な観点として国際大会にも言及した。
技能五輪国際大会は参加国の職業訓練の振興と青年技能者の国際交流を目的に、2年に1度開催。次回は中国・上海、28年11月には愛知県での開催が決まっている。
フランス・リヨンで開かれた24年の前回大会には、日本は47職種に55人の選手が参加した。メダル獲得数は計14個で、全体としての成績は22年大会を除けば向上している。
しかし、中国・韓国の勢いはすさまじく、メダル獲得数でも大きく差をつけられている。日本が強さを誇ってきた製造エンジニアリング系や情報通信系の職種でもいっそうの競技力向上が求められる状況にある。
こうした競争環境の変化を踏まえ、メダル獲得が期待できる職種では重点的な支援を実施する。国際大会の競技課題に準拠した機材や設備の購入などを後押しする構えだ。
リヨン大会では、サイバーセキュリティーや重機メンテナンスなど12職種には日本選手は参加していない。こうした未派遣職種の解消に向けた取り組みも進める考えだ。
アジア大会、21人が出場
-
アジア大会への出場も決まったきんでんの常本雅哉選手
11月27—29日に台湾・台北市で開催される「第3回技能五輪アジア大会」に派遣される日本代表選手団が決定した。「情報ネットワーク施工」や「CNC旋盤」、「CNCフライス盤」など20職種に21人を派遣する。
技能五輪アジア大会は原則22歳以下のアジア地域の青年技能者を対象に国際大会が開催されない年に開催される。各競技には昨年の全国大会の優勝者らも複数参加する。
第3回大会にはワールドスキルズアジア(WSA)加盟国から383人が参加予定。第1回、第2回大会は18年、23年にアラブ首長国連邦(UAE)・アブダビで開かれた。
技能競技の定着目指す
昨年11月に愛知県国際展示場など13会場で開かれた「第62回技能五輪全国大会」では41職種、976人が参加した。
開催地となった愛知県は、20年連続で最優秀技能選手団賞の受賞。自動車関連企業を中心に、31職種に191人が出場した。金賞はトヨタ自動車が23連覇を達成した「試作モデル製作」や、「移動式ロボット」「フライス盤」をはじめ11職種で13人が金メダルを獲得。25職種90人が入賞した。自動車メーカーを中心に選手育成がされてきた同県だが、前回大会では「タイル張り」で金メダル、「和裁」「建具」でも3位内入賞など多彩なモノづくり技術が評価された。表彰式で愛知県の大村秀章知事は「選手の皆さんは、今回の努力を糧に、次なる目標に向けて発展を期待する。日本を引っ張る技能者として、さらに研さんを積み、後進を育ててほしい」とエールを送った。
同県では28年に国際大会、27年までは全国大会の会場となることが決まっている。国際大会の前に同じ会場で競技に挑みたいという選手らのために同県が調整を続け、実現した。大村知事は「『技能の甲子園』にすると言ってきたが、そうなりつつある」と盛り上がりを実感しているという。国際大会の開催に向け、さらなる機運の高まりが期待される。
会場でモノづくりの技術体験
-
体験コーナーは子どもたちにも人気が高い
メイン会場では、来場者に技能競技やモノづくりについてより親しんでもらうための併催イベントを開催する。
18日は昨年に引き続き、モノづくり体験ができるイベント「ものづくりチャンプ」が開かれる。製作体験ブースでは、技能職種として会場でも競われる「左官」の技術を用いた壁塗り体験と時計作りや、「フラワー装飾」の体験、また同大会のメダルにも使われている七宝焼の体験などができる。このほか、県内の高校生らがロボットのプログラミングや木工技術などを教えるブースも設けた。工業や工芸を専門に学ぶ県内の11校が参加する。参加は無料。一部の体験では整理券が必要となる。
さらに18—19日は小中学生向けとその保護者向けにツアーを実施する。県内の工業・農業系高校の学生らが技能競技の見どころを解説する。18日は技能五輪全国大会とアビリンピック、19日は技能五輪全国大会のみの実施だ。事前に公式サイトからの申し込みが必要となる。
また、会場では一般来場者向けに技能士や専門家らによる解説も実施している。普段技能競技にかかわりのない来場者にも興味をもってもらえるよう、県が2014年大会から続けてきた取り組みだ。競技の解説や、出される課題の難しさ、見どころなどを職人の目線で聞くことができる。
